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「リクルートが本気で考える、30歳から伸ばすデザイナーキャリア」株式会社ビビビット主催【真剣デザインチームしゃべり場】」(後編)

2022年8月4日に開催されたオンラインカンファレンス「リクルートが本気で考える、30歳から伸ばすデザイナーキャリア【真剣デザインチームしゃべり場】(主催:株式会社ビビビット)」では、リクルートプロダクトデザイン室に所属する30代40代のデザイナー5名が登壇。デザイナーの「30歳からのキャリア形成」について、腹を割ったディスカッションが行われました。その内容の一部を抜粋・編集して、前編後編に分けて公開します。(前編はこちら)


続いての話題は「マネージメントとプレーヤーの両立」について。20代は現場でデザイナーとして手を動かすプレーヤーに邁進してきたものの、今後はディレクションやマネジメントにシフトしていくべきか、それともデザインのスペシャリストの道を極めていくべきか。あるいはプレイングマネージャーとして、その両立を目指すのか。リクルートの若きデザインディレクターたちは、どのように考えているのでしょうか。

小島「僕の場合は上司の姿を一つの参考にしています。めちゃくちゃプレイングマネージャータイプの人で、常に楽しそうに仕事をしている。もちろん両立は簡単なことではないと思いますが、大変さよりも楽しさが上回っているように感じます。そんな姿を見ているので、僕自身も今はプレーヤーですが、機会があればマネジメントをやってみたいし、その場合でも手を動かすことは忘れたくないなと。どちらかというとプレイングマネージャー寄りにシフトしていきたいですね」

本田「今の私の上司も、完全にプレイングマネージャータイプですね。それを見ていると、マネジメントにもいろいろな形があるんだなと気づかせてくれるし、“やるべきことをやりつつ、やりたいこともやる”みたいなこともできるのかなと思えます」

金兵「私もリクルート入社前の転職面接などで『マネジメント経験はありますか? 今後、興味はありますか?』と聞かれたことがありました。経験しておきたいし、興味もあるのですが、それ(マネジメント)一本で行くことに対してはどこか不安がありますね。もう少しプレーヤーでいたい気持ちもありますし。ですから、やはり両立できる環境がいいなと思います」

こうした若手の発言を受け、参加者で唯一のマネジメント側である磯貝が自身の経験をもとにアドバイスを送ります。

磯貝「個人的には、本人ができると思うなら何も制限することはないのかなと。マネージャーだから手を動かしたらダメということも全くないし。本人が楽しくて、なおかつそのサービスをお使いいただくユーザーの皆さんも幸せなのであれば、どんな動きをしたっていい。リクルートは、どういうあり方も許容してくれる会社ですしね。
僕自身の話をすると、今はマネジメントに専念しています。でも、じつは前職の制作会社にいる時はバリバリのプレーヤー志向で、マネジメントなんて全く興味がなかった。考え方が変わったのは、前職の制作会社から事業会社であるリクルートへ転職してからです。事業規模の大きいプロダクトをより良いものにしていく際には本当に多くの人が関わっていて、自分一人ができることには限界があります。それに気づいてから、チームで協力することや、自分がマネジメント側として組織を良い方向に導いていくのもいいなと。30代中盤くらいから、そんなふうに思うようになりました」


30歳からのデザイナーのキャリア・働き方の選択は?


ここからはトピックが変わり、今回の主題である「30歳からのキャリア・働き方の選択」について。30歳というキャリアの節目、さらに、結婚・子育てなどライフステージも大きく変わるなかでどんな働き方を選び、どのようなキャリアを築いていけばいいのでしょうか。

まずは、今まさにその節目を迎えたメンバーたちが、不安に感じていることを明かしました。

小島「やはり、家庭と仕事の両立という点は、少し不安です。今後、時間的にも気持ち的にも家庭にかかる比重の割合が増えていったとき、果たしてこれまで通り仕事に集中できるのか。正直、今って気持ちが乗ってしまえば何時間でも集中して働けてしまうけど、それが難しい環境になったとき、どうバランスをとっていくかというのは課題になりそうですね。でも、周囲のメンバーを見ると子どもが3人いても嬉々として働いている人は結構いるし、意外と何とかなるんですかね?」

川端「周囲のメンバーを見ていると、子どもがいても働く時間をずらすなどして、うまく対応している人が多い印象ですね」

金兵「周りにそういう人が多いから、自分が将来そうなった時の働き方もイメージしやすいですよね。私が知る限り、子どものことで休みを取りにくいとか、時間をズラしにくいとかは全くないし。そもそも、私自身もバンバン休みをとっているし。その代わり、働く時には全力で働くという」

本田「最近、オンラインの懇親会に子どもがいるメンバーもたくさん参加していたんですけど、そういうのを見ると、私も両立できるのかなと思います。まだ自分がそうなった時の実感はないけど、わりと楽観的に捉えていますね。もちろん、リクルートがライフステージの変化に適応しやすい環境というのはあるんでしょうけど」

川端「柔軟に対応できるような制度も充実しているし、そもそも休みも増えましたしね。それは子どもがいる社員だけではなく、私たち単身者に対してもですけど。2021年4月に休みの制度が変わって、年間休日が145日に増えましたから」

磯貝「そう、めっちゃ休まないとダメになった(笑)。だから、そのぶん普段から効率よく仕事をしようと意識するようになって、ダラダラ時間をかけていた業務を圧縮できるようになりました。でもそれって、子育てが始まるなどしてライフステージが変わったタイミングで、多くの人が工夫をしながら時間をつくっているのと同じことですよね」

続いて話題は「40代以降のデザイナー像」へ。
まずは現在31歳の小島から「デザイナーとして、40代・50代の将来像が見えない」という悩みが明かされました。

小島「20代の頃は『30代でこういうデザイナーになりたい』という明確なイメージがありました。でも、30代の今は10年後、20年後がなかなか想像できない。いま40代の磯貝さんにお聞きしたいのですが、デザイナーとしてどういうビジョンを持っていますか? また、50代のイメージってありますか」

磯貝「正直言うと、若い時に想像していた40代とは全く違うことをやっているので、今から10年先を予測してもあまりアテにならない気がします。僕も今はプレーヤー側からマネジメント側に回っていますが、これもいろいろな偶然が重なった結果そうなったというか。目の前のことを一生懸命やっていたら段々と使える武器が増えてきて、その武器で人生の壁に立ち向かっていった結果、今に至るという感じです。だから、あまり先のことを考え過ぎず、今やれることを頑張れば大丈夫じゃないかと思います」

小島「少し安心しました」

磯貝「少なくとも、僕は今のマネジメントの仕事を楽しんでいます。プロダクトではなく、組織や戦略などをつくっていく立場になりましたが、むしろ今が一番『デザインをしている』という感覚があって、充実していますね。あんなにプレーヤーにこだわっていた自分からすると、信じられないくらいです。だから、やりたいことって20代、30代、40代で少しずつ変わっていくと思うんですよ」

一方で、マネジメント側ではなくプレーヤーとしての道を突き進むことを選んだ場合、「どのジャンルを極めていくか?」というのも悩ましいポイント。デザイナーといっても、例えばプロダクトデザイナーとビジュアルデザイナーでは大きく異なります。このまま今の領域を極めていくのか、それとも今後の市場価値の動向も見据えて他の領域にも手を広げるのか、あるいは思い切って方向転換するのか、プロダクトデザイン室のデザインディレクターはどのように考えているのでしょうか?

本田「私の場合、そもそも20代の頃からいろいろな領域に手を広げてきて、今に至ります。一社目ではUXの設計やユーザーインタビューがメインでしたが、もう少しデザイナーとして自分で手を動かしたいと思い転職しました。でも、そのうち動画もやりたくなったり、また全然違う領域に興味が出てきたり。
そうやって手を広げていくと一時的にパンクしてしまうこともありますが、やはり学べることは多いです。それに、先ほどの磯貝さんのお話にも通じますが、その都度やりたいことを頑張っていたら、やりたいこと同士がくっついてまた別のものになったりする。だから、ベースは自分が今一番やりたいことをやりつつ、プラスαで少しだけ幅を広げてみるのがいいんじゃないかと思います」

金兵「私も、最初に入った会社でグラフィックデザインを経験した後、転職してブランディングやUIデザインをやったり、いろんなことを経験してきました。どれも使う頭が違うし大変だけど、何かに特化するというよりは全部やりたいという感じでしたね。リクルートならそれができると思ったことも、転職を決めた理由の一つです。
今はプレーヤーとしてプロダクトデザインに携わりつつ、サービス全体の将来的なブランディングについて考えるような仕事もできていますし、上司も私が本来やりたかったことに時間を割けているかどうか、気にかけてくれるのがありがたいですね。環境にもよりますが、完全にどちらかを捨てるみたいなことはせずに、やりたいことは可能な限り突き詰めてもいいのかなと思います」


デザイナーの成長を後押しするプロダクトデザイン室の環境

最後のトピックは「成長やステップアップと働く環境」について。組織に所属するメリットとして、同じチームで働くデザイナーと切磋琢磨したり、ナレッジを共有し合うこと、それにより成長の速度を早められることが挙げられます。では、メンバーが共に成長し、ステップアップしていくために、プロダクトデザイン室ではどのような環境や施策が用意されているのでしょうか?

本田「月に一度、デザインディレクターが集まる『デザイン会』が開催されて、各チームのナレッジをシェアしています。一方的に発表を聞くだけでなく、いろんな人に自分が抱えている案件の悩みなんかも気軽に相談できて、デザイン会後にチャットでアドバイスをいただけたりするのはありがたいですね。そうしたデザイナー同士がつながりやすい仕組みや雰囲気は、とても魅力的だと感じます」

本田「デザイン会以外にも、少人数での勉強会みたいなことはわりと頻繁にやっています。例えば、先日から始めたのは新しいデザインツールの勉強会というか、週に一回、ツールをいじりながら実際にプロジェクトを進める場を設けています。新しい機能が出てきた時に、一人だと使い方が分からなくて悩んでしまうけど、みんなで話し合いながらやるとすぐに解決することがよくあるんですよね」

小島「それ、すごく分かります。そういう実践的な勉強会って、部内のいろんなところでやってますよね。先日もデータサイエンスの部署のメンバー主催で、データマートの構造についてシェアしたり、実際の事業の数字をSQLを叩いて出してみたりする場がありました。なかなか触れられない領域なので、すごく楽しかったですね」

こうした勉強会に代表されるように、領域を超えた交流はプロダクトデザイン室の大きな特徴の一つ。また、サービス間の異動のハードルも低く、本人が望めば多種多様なプロダクトの経験値を積めることも、成長につながる大きなポイントの一つです。

小島「僕は入社以来、1年半という短いスパンで異動を繰り返していますが、全てのチームでの経験が財産になっていると感じます。もともと新卒でリクルートを希望したのも、多様な領域やスケールの事業を経験したかったからで、実際、違うチームと仕事をする度にさまざまな観点を獲得できている実感がありますね。同じ部署でも領域によって、働くメンバーはもちろん、カルチャーも全然違いますから。しいていえば毎回『はじめまして』の自己紹介が大変なことくらいです(笑)」

磯貝「じつは僕も小島さんと同じくらい、いろんな領域を経験しています。結果的に、数多くの領域のやり方を知ることができたし、その良し悪しを相対的に見られるようになりました。考え方の幅もかなり広がったと思います。
また、さまざまなチームで仕事をする最大のメリットは、いろいろな人と知り合えることではないでしょうか。特に、リクルートは良い意味で“人”で成り立っている会社ですので、社内の人脈が広がれば広がるほど、やれることが増えていく。これはリクルートならではの強みだし、若いデザインディレクターにもぜひ積極的に、さまざまな経験を積んでほしいと思います」

今まさにキャリアの岐路に立つデザインディレクターによるディスカッション。参加者にとっても、改めて自分自身の働き方やこれからの方向性について考えるきっかけになったようです。

金兵「今回みなさんのお話を聞いて、改めて現時点でやるべきことが整理できました。今はやりたいことを一通りやらせてもらえているので、当面は将来どうこうを考えるよりも目の前のことを頑張っていきたいですね」

本田「私は今30代ですが、40代に向けた明確な目標を持てていないことに不安がありました。でも、目の前の仕事はもちろん他の領域にも手を広げながらいろいろな経験を積んでいくと、思わぬ道も開けるんだなと思いましたね」

小島「僕も、40代50代の将来像が描けないことに焦りを覚えていましたが、磯貝さんのお話を聞いて少し肩の荷が下りた気がします。そこまで深刻に捉えなくても、今やれることを必死にやっていたらおのずと新しい目標も見えてくるのかなと」

磯貝「3人と話をしてみて、みんな色々と考えているけど、すごく悩んでいるというわけではないのかなと感じました。それって裏を返せば、今のデザイン組織がある程度は良い環境を提供できているということなのかなと、少し安心しましたね。とはいえ、まだまだ改善できる点はあるはずなので、これからもメンバーが幸せに働ける環境を、しっかりデザインしていきたいと思います」


リクルートプロダクトデザイン室に所属する30代40代のデザイナー5名によるディスカッションは、デザイナーの「30歳からのキャリア形成」について多角的に捉える貴重な機会となった。
(前編はこちらから)

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