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完全リモートワークで在宅可能なコールセンターシステムを構築した話

こんにちは!リクルートの君島です。
私は、Air ビジネスツールズをご利用中のお客様の「困った」に直ぐに答えられるよう、お電話やメール・チャットで質問に答えるヘルプデスクを運用しています。

Airのヘルプデスクでは、専用のPBX(電話交換機)と電話回線、電話機が用意された広いオフィスに、大勢のオペレーターが集まって協力しながらお客様のお問い合わせに回答しています。
これは、ほんの少し前まで、ヘルプデスクの一般的な在り方として、疑いようのないものでした。

しかし、2020年、新型コロナウィルスの世界的な流行によって、私たちの生活は大きな変化を余儀なくされました。
3密ーー窓がなかったり換気ができなかったりする場所(密閉)で、人がたくさん集まったり(密集)、互いに手が届く距離で会話や発声(密接)したりすることは、感染の恐れを高める行動であるとして回避しなければならなくなりましたが、それはまさに従来のヘルプデスクの就業環境そのものでした。

緊急事態宣言が出された2020年3月当時、Airのヘルプデスクが置かれた地方都市では東京ほどの感染拡大は起こっていませんでしたが、今後のことは誰にもわからない状況でした。
そこで私は、開発担当の堀之内と共に、在宅でも対応可能なコールセンターシステムの構築に挑みました。

今回のnoteでは、運用と開発の双方の視点から、半年に渡ったこのプロジェクトについて対談形式で振り返ります。

この記事に書かれていること
・運用と開発の協働体制
・リモートワークにおけるコミュニケーション
・遠隔でのシステムリプレイス

顔を知らない相手との二人三脚

君島 ということで、昨年4月から9月の半年間で、ヘルプデスクのシステムを在宅可能なものにリプレイスしたプロジェクトについて、思い出話をしていきたいと思います。

堀之内 はい、やりましょう。

君島 このプロジェクトって、2020年3月に「やる」と決まった時点では、運用担当の社員しかメンバーがいなくて、4月に内部開発担当のほーりーさん(堀之内)がジョインして大きく動き出したんだけど、アサインされた時ってどう思った?

堀之内 amazon connectを利用してクラウド上に在宅環境からでも対応可能なコールセンターシステムを構築するだけじゃなくて、指定されたASPに載せるって話だったから、どういう制約を受けるかわからなくて正直不安はあったね。

君島 顧客管理に利用するシステムや、対応履歴を残すツールなんかは、極力変えたくないっていう思いがあったんだよね。ヘルプデスクはどうしてもお客様の情報を扱うから、後々の安全な運用を考えるとできる限り情報の置き場所は一つにまとめておきたい。それに、現場で働く人の目線に立った時、集合での対応から在宅での対応になるだけでも大きな業務変更なのに、利用するツールまで変わったら負荷が大きすぎる。だから「ここは譲れない!」みたいなものは3月の時点でかなり固まっていて、そこは負担をかけたかも。

堀之内 あと、そもそもうちの会社は3月からリモートワークになってて、きみーさん(君島)の顔すら知らないままいきなり業務連絡が来たからびっくりした。

君島 確かに、思い返してみるとこのプロジェクト期間中に私たちって1度も会ってないんだよね。リプレイス完了後の10月にヘルプデスク現場で初対面するっていう。まとめたら、「知らない人から無理難題を押し付けられる」みたいなスタートでなんだかごめんなさい(笑)

堀之内 いえいえ(笑) ただ、最初の一週間で色々試してみてASPの制約に関しての不安が解消した後は、何の懸念もなく突っ走れたかな。

メンバーの守備範囲を尊重する

君島 そんなスタートだったにも関わらず、ゴールデンウィーク前にはもうツーカーというか、かなり良いチームワークで動けていた気がするよね。このプロジェクトのWBSをはじめに引いた時は、9月までにPoCを終わらせて年明けに運用開始を目指すスケジュールだったけど、5月頃には「これ、前倒しできるな」ってなった。

堀之内 お互い、顔は知らなくても守備範囲はパッとわかっていたのが大きかったよね。半年間のプロジェクトを通して、タスクの振り分けや合意形成に全く時間を使ってない。

君島 確かにね。私はヘルプデスクの現場の状況や、効率的な運用の仕方には詳しい自信があるけど、システム開発については全く知識がないから、とにかく「こういう問題があるからいつまでに解決する(whyとwhen)」っていう「課題とスケジュール」だけを解像度高く擦り合わせるように気をつけてた。課題に対して「何をやるの(what)」の部分は、共有はするけど口を出さずに信じて待つというか。

堀之内 それがわかってたから、俺はこまめに見た目のアップデートとかを共有するようにしてた。その方が運用のテンションもあがるし、テンション上がってるのを見て開発側としてもモチベーションになるしね。それにしても一つ共有する度にものすごい反応返してくれてたよね。

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君島 それは全然意識してなかったかも。進捗会議で「この操作導線だとこういう誤操作が発生し得る」とか「この入力方式だとこういう無駄がある」とか指摘すると、いつも爆速で修正版が返ってくるから、「この人は神様かドラえもんかな?」って本気で思ってたんだよね。

堀之内 会ったこともないしね(笑)とにかくお互いに相手の専門領域を尊重して自分の仕事に専念できたのがよかったんじゃないかな。

コミュニケーションツールを使い分ける

堀之内 後は、きみーさんがチャット廃人というかツイ廃みたいな人だったから、プロジェクトの進捗共有用slackチャンネルがなんでも書き込む場所に育ったのも意思疎通とるときには便利だったね(笑)

君島 廃人って言うな(笑) でも確かに、slackには何でも書いてたね。teamsでの会議はお互いきちんとまとまった進捗を持ってくるんだけど、そこに至るまでの悩みや葛藤も全部slackに垂れ流してたから、専門外の内容でもどこが難しいポイントなのかはわかって、スケジュールやゴールの調整がすごく楽だった。

堀之内 slackの投稿数分析したらきみーさんがダントツだったけどね(笑)

君島 やってたねー。「slackの投稿数を分析して各メンバーの心理的安全性を可視化しました」って言われた時はびっくりしたけど、そういうところまで気を配ったからこそ全員のモチベーションが高いまま進んだのかなとは思う。

堀之内 slackで個々の担当領域における思考プロセスを共有して、teamsで互いの領域にまたがる事項をディスカッションして、決定事項はドキュメントで共有するっていう型ができてたよね。

現場との目線合わせ

君島 コミュニケーションで言うと、ヘルプデスクの現場の皆さんともほーりーは全く会ったことがないままリプレイスを進めたんだよね。私はもともと毎月のように現場に行ってたから関係性の下地があったけど、結構大変だったんじゃない?

堀之内 そうだね。業務システムのリプレイスは、本来は現場に常駐して、目の前で使ってもらいながら進めていきたいもの。それがコロナ下で出張が制限されて、常駐どころか見に行くことすらできないのはかなりの制約だった。

君島 実際に使う人が使いやすくないと意味がないもんね。企画担当の私や現場管理者の意見だけでは、どうしても実対応に当たるオペレーターさんの躓きを拾いきれない。teamsで関係者を集めて「会議」で意見を募っても多数派や管理者寄りの意見が用意されちゃうから、敢えてアジェンダを置かずに一人一人にその場で質問してもらうオフィスアワーを設けたり、丸一日現場と音声を共有したまま実証試験をしたり、色々工夫したね。

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堀之内 関係者の多いプロジェクト進行って、コミュニケーションが大きな課題になりがちだけど、リモートワークでそこが関門になることがわかっていたからこそ先回りして問題を潰すことができて、結果としてとてもスムーズに進んだよね。

君島 新型コロナウイルスの流行っていうどうしようもない外的要因によって、制約だらけで進んだプロジェクトだったからこそ、全員が意識して開発・運用・現場の関係性が理想的な状態で進んだのかもしれないね。

まとめ

コールセンターに限らず、業務システムの構築プロジェクトでは「開発」と「運用(と現場)」の目線を合わせることが大切です。今回、それを完全リモートワークで、かつ顔を合わせたことのないメンバーと達成しましたが、ポイントは下記の2点だったと思います。

(1) メンバーの専門領域を把握し、解像度高く擦り合わせるべきところと、口を出さず任せるべきところの線引きをしたこと
(2) そのやり取りで達成したいゴール(思考共有、スケジュール調整、現場の不の収集etc)によって、コミュニケーションツールを使い分けたこと

ランチを食べながら自己紹介をして意外な一面を知ったり、会議で言い過ぎちゃったなと座席まで誤解を解きに行ったり、飲み会でぐんと距離を縮めたり。そんな以前の「当たり前」が奪われてしまった今、チームで仕事をすることに課題を感じることもあるかと思いますが、この状況をプロジェクトにおけるコミュニケーションを見直すチャンスと捉えて、より円滑な進行を目指していきたいですね。


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