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仲間の可処分時間を増やしてこそ幸せ ―『SUUMO』の部長に聞いた、生産性を上げるために実践している3つのこと

リクルートで働くと聞いて、どんなイメージをお持ちだろうか?「昼夜問わず、猛烈に働いていそう」という方もいれば、「ストイックに“生産性の向上”を追求していそう」という方もいるかもしれない。はたして実際のところ、どうなのだろうか。
 
今回はそのイメージを検証すべく、『SUUMO』の部長を直撃!組織のメンバー、そして部長として「効率」「生産性」にこだわっているという白川圭太にセキララに語ってもらった。そこで見えてきた仲間想いの一面と、みんなでつくる生産性向上の仕組み。リクルートに興味をお持ちの方やノウハウをお探しの方にぜひ読んでほしい、検証&仕事術レポートである。

実は同じ日にもう1つ取材を受けていた白川氏

(プロフィール)
住まい領域プロダクトデザイン3部部長 兼 住まい領域プロダクトデザイン2部 賃貸・引越しプロダクトデザイングループGM
白川圭太
2011年に新卒で化粧品メーカーに入社。WebやECサイトの企画開発に従事。2017年にリクルート住まいカンパニー(現リクルート)に転職。賃貸領域のプロダクトデザインや商品企画を約2年経験。その後、ビジネス戦略を描く部署にてGMを約1年担当し、半年間の育休を取得。現在は注文住宅とリフォーム領域のプロダクトマネージャー組織の部長と、賃貸・引越し領域のプロダクトマネージャー組織のGMを兼務している。組織づくりや人材育成、プロダクトの中長期戦略などが主なミッション。



大学時代に自覚したせっかちな性格

――白川さんは生産性高く働くことをポリシーにされていると伺いました。それはなぜでしょうか。

(少しの間をおいて)人生、やりたいことにたくさん時間を割ける方がいいじゃん!っていう気持ちからですね。そのために「効率よくやる」のを重視するタイプだと自覚したのは大学生くらいで、授業の選択や就職活動のエントリーシートの作成など、作業ベースで効率化できる部分は自分なりに工夫して対処していました。言ってしまえば、学生時代の授業も今でいうところの仕事もやりたいことの一部ですけど、同じ結果だったら早くこなす方が残りの時間をさらに好きに使えていいなという思考からです。

――そんな白川さんが転職でリクルートを選んだ理由とは?

最終的な決め手は、労働時間と報酬のバランスでした。リクルートに入社する前は、かなり激務だと思っていたんです。でも面白そうだと興味はあって。転職エージェントの人に話を聞いてみると、それまで持っていたイメージとはかなり違っていました。自分でもホームページなどを確認してみて、残業時間が思ったより長くないなと感じました。きちんと成果で評価する会社なんだろうなと確信してリクルートを選んだと記憶しています。

――リクルート(当時のリクルート住まいカンパニー)に入社してから、どのように働き方を固めていかれたのでしょうか?

大きく分けて「効率化にこだわっていたフェーズ」と「生産性を上げるフェーズ」の二段階があります。効率化にこだわっていたときは、とにかくタスクを早くこなすこと、つまり業務にかける時間を短縮することを意識していました。

でも、リクルートで日々働く中で、効率化だけではなくて生産性を上げる、つまりよりよく効果的にアウトプットしていくための働き方もあるなと思うようになったんです。目標に対して「4人で100%」の仕事を「2人で100%」にすることが効率化だとすると、生産性を上げるというのは「4人で200%」を目指すこと。同じ時間の中で何をすればよりよいアウトプットになるのかを意識するように変わっていきました。

――今はどのような働き方を実践されているのでしょうか。

ひとつ重きをおいているのは18時以降に働かなくてもいい状態を(可能なかぎり)つくることです。子どもがまだ小さいので、18時以降はお風呂・ご飯・寝かしつけなどをしています。まだ業務中のメンバーがいる中で退社するのは最初は気が引けましたが、特に問題はありませんでした。

ただ、自分だけが18時に終わればいいわけではありません。18時以降もメンバーが仕事をしていて、僕の承認がないと仕事が進まないなんてことがあると、全体としての生産性は上がっていきませんから。

それに個人的な気持ちとしても、深い関わりを持つ仲間の可処分時間を増やしてこそ、自分も幸せを感じることができます。なので、どうやったら皆が仕事を早く・よりよく終わらせられるのかを常に考えてやり方を変えていくようにしています。

周囲への気持ちを話しながらちょっと照れている白川氏


生産性を上げるために実践している3つのこと

――では、具体的にどのようにして生産性を上げているのか教えてください。

①最適なコミュニケーションツールの選択

主に3つの方法があります。1つ目が「最適なコミュニケーションツールの選択」です。コミュニケーションは対面(リアル/オンライン)、チャット、社内Wikiなど様々な手段で行うことができます。僕は、コミュニケーションすることで達成したい目的に対して、生産性を上げるためにベストな手段を選択することを強く意識しています。

例えば今すぐ解決したい問題があって、近視眼的に1on1ミーティングを選んだとします。でも、その場で得られる情報が、実は他の関係者にも伝達する必要が生じた場合、結局はテキストに起こして回覧した方が生産性は高いですよね。このように、先を見据えて全体最適なコミュニケーション手段を選ぶようにしています。逆に残さなくていいでしょうという内容のものは残す労力を割きません。

②ドキュメントの活用

2つ目が「ドキュメントの活用」です。考え方は1つ目に近いですが、施策にかかわる様々な情報をドキュメントに残した方が、教育に工数ををかけずに済むことが多々あります。例えば僕が担当を外れて別の人がアサインされた場合、 商品化の背景や、どのような経緯でこの機能が実装されたのかということを確認したくなるはずです。でも、口頭で議論したものは残っていないことがほとんど。そこで施策立ち上げ当初の自分の思考や、当時の経緯・背景といったログを社内Wikiに残すようにしています。労力はかかりますが、情報を抜け漏れなく伝達するという意味では生産性が高い行為だと思っています。

実際のWikiは公開できなかったため、項目を記載

③会議と思考の時間を明確に分ける

3つ目が「会議と思考の時間を明確に分ける」です。皆さん経験があると思うんですけど、30分会議して、空白の30分を経て、また30分の会議がある場合。合間の30分で出来ることって限られると思うんですよね。なので、僕はできるだけ会議をくっつけるようにしています。思考する時間は1時間以上まとめてとるようにもしていますね。

――3つの方法を取り入れたことで、副次的に向上したスキルはありますか?

そうだなぁ...ドキュメントの活用シーンを想像してから書くようになったので、情報に階層をつけてまとめるのがうまくなったと思います。

あと、3つの方法とは関係ない余談ですが、プライベートで整理収納アドバイザー1級の資格を取得したんです。整理整頓のノウハウを身につけたら人生に良い影響があるのではないかと思ったのと、ものを探している時間ほどムダなことはないなと思って勉強してみたんですよね。そうしたらすごく面白くて!管理するものを減らして物の場所を決めるといった考え方や、よく使うものを手前に置くといった細かいルールまであって、そのノウハウや考え方が仕事に活きていると思います。

整理収納アドバイザーのことまで話すと思わなかったな、と言っている白川氏


チームの生産性向上を目指すマネジメントの工夫

――現在、白川さんはプロダクトマネージャー組織の部長としてメンバーの育成とマネジメントにコミットしていらっしゃいます。管理職の立場で、生産性を上げるために工夫していることはありますか。

①メンバーのWiilを引き出す

ひとつは「メンバーのWiilを引き出すこと」です。ご存知の方もいらっしゃる気がしますが、リクルートでは、Will(やりたいこと)・ Can(できること)・Must(やるべきこと)を書き込むシートがあり、そのシートを上長と眺めながら個人が実現したいこと(Will)と業務ミッションや注力する能力開発のすり合わせを行う文化があります 。僕はこのWillをとても重視しています。というのも、人間は自分のやりたいことや、目指したい姿に向かって進んでいるときが、最も生産性高く働ける状態だと思っているからです。なので、僕の1on1ミーティングは業務の相談や進捗報告とは完全に切り分けて、メンバーの人となりやWiilを解像度高く把握するための時間にしています。

Willをまず明確化して自分が目指したい状態を言語化するために、可能な範囲でより深いところまで掘り下げさせてもらっています。

例えば、「経営者になりたい」というWillがあり、理由を聞くと「お金持ちになりたい」という答えが返ってきたとしましょう。その場合は、そこからさらに掘り下げて、お金が欲しいと思うようになった原体験まで聞くようにしています。そうすることで、Willの置き方や辿り着き方が変わってくる場合があるんです。

また、僕自身のメンバーへの理解が深まるので、それぞれのWillに応じた仕事の割振りが可能になります。「なぜこの仕事にアサインされたのか」とメンバーから聞かれた時にWillと照らし合わせて話すことが出来ますし、そうすることでメンバー自身がWill達成のためにモチベーション高く仕事に向き合えるのではと思っています。

――生産性向上とWiilを引き出すことは、一見すると遠い関係にあるように感じますが、じつは密接につながっているということですね。その他に工夫されていることはありますか?

②業務の話はクローズドな場で行わない

あとは、「業務の話はクローズドな場で行わないこと」でしょうか。僕のチームは基本的に、すべてのプロジェクトやテーマを一覧化し、週1回のグループ会で各担当者から進捗を教えてもらうようにしています。全部の進捗を誰がどう進めているか、情報をオープンにすると各々が自立して仕事を進めやすいからです。

ただ、大勢の前で発言することを不安に感じてしまうメンバーもいるかもしれません。そうならないためには、心理的安全性の担保が大切だと思っていますので、日頃から「間違っていても全然いいし、間違っていることがわかることに価値がある」と事あるごとにメンバーに伝えるようにしています。疑問に思ったことは質問すればいいので、うまく伝えることを過度に工夫してもらう必要もないです。

③「体調悪いけど頑張ります」には休んでくださいと返す

そうだ、それから「体調悪いけど頑張ります」っていうメンバーにも頼むから休んでくれって言います(笑)よく休んで、早く元気に復活してくれと。


最後に、これからについて

――地道なメッセージの発信と背中を見せることで、組織として生産性向上の土壌を耕していらっしゃることがわかりました。最後に、白川さんが考える「個人・組織、それぞれの生産性が高い理想の状態」について教えてください。

個人としては、冒頭と重なりますが「自分が割きたいことに好きなように時間を割いている状態」です。僕の場合は、仕事だけでなく家族や自分の時間も大事なので、できる範囲でコントロールしたいです。

組織としては「自律して動ける組織になっている状態」です。物事を進めるときに、必要な情報やリソースにすぐにアクセスできたり、情報がオープンだったり。まだまだやれることはあります。今の僕にとっては組織がある意味でプロダクト。組織というプロダクトを使って、もっと社会的な価値を生み出したいと思っています。

(編集後記)
ちなみに「家事も効率重視で、食洗器や洗濯機など可能な限り自動化してますよ。服を購入する際も、乾燥機にかけられる素材か確認するようになりました。」と話してくれた白川さん。「好きなことにバランスよく時間を割くために」というご自身の目的と、「周りの人にもそうであってほしい」という想いをあわせ持ちながら生産性向上に励んでいる姿勢に、とても共感を覚えたインタビューでした。note記事担当より


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