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【大公開】リクルートの「Airメイト」 カスタマーサクセス成功の3つのポイント

こんにちは、「Airメイト」のプロダクトマネージャーをしている福島です。

今回はSaaSプロダクトである「Airメイト」のカスタマーサクセスチームが、
どのようにして熱狂クライアント率3.2倍という成果を出すことができたかをご紹介します。

「Airメイト」カスタマーサクセス成功の3つのポイント
 ・ネクストアクションにつながる見える化
 ・効率化の徹底と属人化をなくす運用型化
 ・プロダクトマネージャーがカスタマーサクセスを兼任


「Airメイト」の概要

「Airメイト」とはお店の状況がひとめでわかる、データ集計・分析サービスです。日常の業務を行うだけで売上・人件費・原価などのデータが自動で集計・分析され、誰でもカンタンにデータに基づいた店舗経営が可能になることを支援しています。

現在は飲食店向けになっており、0円でカンタンに使えるPOSレジアプリ「Airレジ」の利用が必要です。

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日々の売上やコストなど、店舗運営に欠かせないデータをPCだけでなく、タブレットやスマートフォンでカンタンに確認できます。

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ワンクリックで月次業績のレポートが作成できるので、手軽に店長会議等で改善施策を検討できること等やスマートフォンからカンタンに日報が作成できること等、ユーザーから好評を頂いています。

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カスタマーサクセスチームの役割

カスタマーサクセスチームでは、大きく4つのタスクを持っています。

・初期設定や使い方をサポートするオンボーディング
・ユーザーの利用状況に合わせた利活用フォロー
・「Airメイト」を活用した成功事例の収集&展開
・プロダクトチームへユーザーの声を届ける

上記のオンボーディングや利活用フォローは全てWeb会議システムを使って非対面で行なっています。


Point1  ネクストアクションにつながる見える化

成功のポイントの1つ目は、次に何をすればいいか?が誰でもわかるようにユーザーの見える化を行ったことです。

「Airメイト」はデータを活用するプロダクトなので、活用できるデータがどれくらい蓄積されているかデータをどの程度活用できているかがとても重要です。
そこで、ユーザー毎のプロダクト活用状況を表す顧客ランクと顧客ランクをグルーピングした顧客セグメントを活用しています。

顧客ランクは以下2つの軸の掛け合わせで決まります。

Dataランク
 使いこなすために必要なデータ蓄積されているかを測る指標
Useランク
 各機能を使いこなしているかを測る指標

そして、このランクを4つのグループにわけて顧客セグメントとしてます。

セグメント

プロダクト全体でもこの顧客セグメントの割合をプロダクトの状態を測る指標としてモニタリングしています。
一方、カスタマーサクセスでは、クライアント毎の顧客セグメント・顧客ランクの変化を捉えることが一番重要です。

例えば、利用クライアントが離反リスクにダウンしたことがわかれば、Dataランク、Useランクのどこが変化したのかを理解します。
それにより、使わなくっている理由や改善策を想定してからユーザーヒアリングやフォローを行っていきます。

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設計段階では一般的に言われるヘルススコアを作ることも検討しましたが、ネクストアクションがわかりやすいのはスコアよりランク&セグメントだと判断しました。

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Point2  効率化の徹底と属人化をなくす運用型化

新規メンバーが参画しても、すぐに一人前のカスタマーサクセスメンバーとして活躍できるよう、運用の型化を常に意識し、テクノロジーを最大限に活用するようにしています。

カスタマーサクセスチームで利用している主なツール
 ・顧客管理をSalesforce
 ・活動や顧客状況の可視化をtableau
 ・社内コミュニーケーションとアラートをSlack


顧客管理:Salesforce

カスタマーサクセスの活動は全てSalesforceで一元管理をしています。
オンボーディング活動ではフェーズ管理を行っており、無料のトライアル期間で安定的に利用して頂くことをゴールに、実施すべきことが決められています。

このフェーズ管理では、以下のようなフェーズ移行条件があります。

・〇〇のメールを送付したら次のフェーズに移行
・ユーザーが〇〇の設定をしたら、初期設定完了フェーズに移行
・ユーザーが週〇回利用したら安定利用フェーズに移行

このフェーズ移行はメール配信履歴やプロダクトの利用データをSalesforceに連携することで、自動でフェーズ移行がされる設計になっています。
フェーズ管理を忘れてしまっていたという人的ミスを防げることはもちろん、作業の効率化によって、少しでも多くユーザーと向き合う時間を確保することにもつながっています。

また、タスクの自動作成機能も活用しており、オンボーディングを実施した○日後にフェーズが進んでなければ自動でフォローのタスクが作成されます。


活動・顧客状況の可視化:Tableau

Point1であった顧客セグメント・顧客ランクはTableauを活用して可視化しており、ポイントはドリルダウン機能の活用です。

例えば、以下のように顧客セグメントの分布・対象の顧客一覧だけでなく、どのランクが達成できていないか最後にコンタクトをとった日付がリストで表示されます。

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この一覧が確認できるシートで、深堀したい対象をクリックすると、その対象の詳細情報が表示されるようになっています。
SalesforceにTableauを簡単に埋め込むことができるようになった為、併用のハードルだが下がった側面もあります。


スクリーンショット 2021-03-03 17.52.33※一部非公開データはマスクをしています


このように、誰でもカンタンに顧客情報がわかるようになることで、より顧客の状況を理解したカスタマーサクセスが実現できるのです。


社内コミュニーケーションとアラート:Slack
解約理由の共有やSalesforceで自動作成されたタスクの期限切れのアラートは自動でSlackに通知されるようになっています。

解約が起きてしまった場合、
・どのクライアントが解約になってしまったのか
・なぜ解約が起きてしまったのか
などは、Salesforceに記載をすると自動でその概要がSlackに連携されます。
普段のコミュニケーションツールであるSlackに連携することで、セールスメンバーやプロダクトメンバーなど、多くのメンバーに閲覧してもらえます

また、タスク漏れのアラートがSlackで通知されることで、管理者もタスク漏れに気付き、カスタマーサクセスメンバーのフォローもしやすくなります。

上記のように、人がやらなくても実現できることはプロダクトに任せ、人しかできないことに注力できる環境を作り上げるのがポイントです。


Point3  プロダクトマネージャーがカスタマーサクセスを兼任

最後のポイントは体制で、カスタマーサクセスの企画・設計はプロダクトマネージャーが行っています。
最初は人が足りないので兼務を始めたのですが、結果的にこの体制が上手くいっています。

プロダクトマネージャーがカスタマーサクセスを企画・設計するメリット
・新機能の伝え方を上手く言語化できる
・日常的にユーザーフィードバックがもらえる
・カスタマーサクセスに関わる機能の優先度を正しく判断できる


新機能の伝え方を上手く言語化できる

プロダクトマネージャーは新機能を開発するにあたり、ユーザーヒアリングや要件定義することで機能の理解だけでなく、ユーザーのどのような負を解消できるのかや、どのように活用をしてもらいたいのかをスムーズに言語化できます。
よって、カスタマーサクセスのメンバーにも細かく正しく伝えることができ、説明用のトークスクリプトもスムーズに作成できます。

日常的にユーザーフィードバックがもらえる
プロダクトマネージャーは常にユーザーフィードバックをもらうことが重要ですが、カスタマーサクセスを兼務することで自然とユーザーの声が集まってきます。
オンボーディング活動に同席して直接ユーザーからお話を聞くのはもちろんのこと、カスタマーサクセスチームの定例会議でもユーザーの反応が共有されるので機能開発の優先度を決めるのに役立ちます

カスタマーサクセスに関わる機能の優先度を正しく判断できる
プロダクト全体の機能開発優先度を決めるプロダクトマネージャーが兼務することで、直接的な価値を生み出しにくい機能リリースでも正しく優先度を判断できす
例えば、「Airメイト」では目標設定がされていない場合にユーザーに通知が届く機能がありますが、これはカスタマーサクセスを兼務しているメンバーの意見によって開発優先度を上げました。
一見、目標設定忘れを通知する機能より、新しいデータを見せる機能などの方がプロダクト価値に影響がありそうですが、目標設定ができないとプロダクト利用に繋がらないことがユーザーの声でわかったのです。

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上記のように、プロダクトの方針を決めるプロダクトマネージャーが兼務をすることで、プロダクトとユーザーの架け橋になることができます。


カスタマーサクセスの成果

今までご紹介したポイントを実践することで、運用定着前後では重要指標に大きな改善が見られました。

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まだまだ、カスタマーサクセスの改善すべきポイントはありますが、一定の成果を上げられていることを誇りに持って、我々カスタマーサクセスチームがよりサクセスすることを目指していきたいと思っています!

この内容が少しでもカスタマーサクセスやプロダクト開発に関わる方がのお役に立てば幸いです。



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