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「職種名募集中」 SaaS領域 PdMとUXデザイナーの境目でバリューを出す仕事について

この記事は リクルート プロダクトデザイン室 アドベントカレンダー 2022 6日目の記事です。


1.はじめに

執筆者は何者?

 初めまして!上妻真緒といいます。株式会社リクルートのプロダクトデザイン室に所属し、SaaS領域で、『Airレジ』関連サービス『Airメイト』のPdMをしています。2020年に新卒入社し、同年7月『Airレジ』を経て、2021年4月より現職です。

 私は普段、PdM業務を中心に行っておりますが、正式な所属を記載すると、「SaaSプロダクトデザインユニット SaaSデザインマネジメント1グループ」というSaaS領域のデザイナー集団のメンバーです。

これはどんな記事?

 「サービス全体の体験設計や事業企画などのデザインを実行する専門家」「UXに尖ったPdM」「PdMができるデザイナー」になりたい私が、どのような業務を行なっているか紹介します。私と同様の業務を行なっている、または興味がある、デザイナー・PdM・企画職の方々に届いてほしいです。(仲間がほしい!)欲を言うと、「この職種はこんな名前かも!」「こういう名前だと良さそう!」など、私の職種名の案をあれこれディスカッションしたいです!

2.担当している『Airメイト』と開発チームについて

『Airメイト』について

 業務・経営支援サービス「Air ビジネスツールズ」の経営アシスタントツール『Airメイト』は、POSレジアプリ『Airレジ』と連携することで、レジを通した会計の売上にまつわるデータ分析ができるプロダクトです。『Airレジ』と同様、無料で利用することができます。さらに、『Airレジ』以外にも『Airペイ』『Airシフト』『レストランボード』『Airレジ オーダー』と連携することで、売上以外のより多様な観点からの分析が可能になるプロダクトです。


『Airメイト』の開発チームについて

 ざっくり、経営企画職、PdM、デザイナー、クライアントサクセスメンバー各々数名ずつと、十数名の前後のエンジニアから成り立っている開発チームとなります。その中で私は、半分がUXデザイナーの人格として、もう半分がPdMの人格として、日々施策や案件の推進を行っています。


SaaS領域のPdM×UXデザイナーとしての業務

 PdM×UXデザイナーとしての中心的な業務は、デザイン検討中に発生する論点の整理や、プロダクト全体を通した体験設計です。まず、自分個人がPdMとなり推進する案件があります。そちらに加えて、密度に違いはありつつも、『Airメイト』内で要件定義中のほとんどの案件のデザイン検討を他のPdMと一緒に検討しています。そのため、自分を含めたチームメンバーが個別で推進している案件を把握した上で、プロダクトを俯瞰して「今一番必要な体験は何か?」「全体のストーリーを考えた時に抜け漏れていることはないか?」など全体目線を持てるからこその気づきもあってとてもやりがいのある業務です。また、『Airメイト』のデザイナーとしてではないですが、社内のスライドテンプレートのデザインや採用活動での広報物、などデザインの経験が全くないながらも機会をいただき、UIデザイナーとして修行もさせてもらっています。

 

3.SaaS領域で、この職種( PdM×UXデザイナー)が必要な背景

 「PdM×UXデザイナーのできる人材に自分がなるべきだ!」と思ったのは、自分の興味・関心(Will)と現場で必要とされていたこと(Must)が一致したからだと思っています。では、なぜ、PdMとUXデザインの両立が現場で必要とされていたのか、SaaS領域によくあるプロジェクトの2つの特性から説明させてください。

 一言で言うと、「要件定義の上流工程の難易度が高い」プロジェクトが多い環境に対して、PdM×UXデザイナーの強みがマッチしているからです。

「要件定義の上流工程の難易度が高い」2つの背景

 ここでいう要件定義の上流工程とは、ビジネスとして重要な目標を達成するための企画検討を行い、それを実現するまでのデザインや開発を含んだ具体的なソリューション検討へ橋渡しする段階とします。

特にこのフェーズが難しい!とビジネス検討とデザイン検討の橋渡し部分を指している図
特にこのフェーズが難しい!のイメージ

 1つ目は、そもそもの純粋に体験設計の難易度が高いというシンプルな理由です。特にSaaS領域の場合、ユーザーの中長期的な使い心地の良さが事業の利益に直結するため、ソフトウェアデザインの品質が事業に大きな影響力がある領域だと思います。同時に、ユーザーがSaaSに対して求める要求は高くなります。具体的には、業務ユースケースの複雑性、解決する課題の多さにより、一筋縄ではいかない、中長期的な課題の解決が要求されています。それらの背景から、どの案件も、体験設計難易度が非常に高くなってしまう印象です。

 2つ目は、抽象度が高い状態でアサインされることが多いという理由です。業界全体を見てもSaaS領域は、投資フェーズにあったり、ベータ版だったり、事業としてまだまだ走り出しの段階であり、成長フェーズにあるプロダクトも多い領域です。そこでは、「こういう機能が絶対に必要だから早く開発しよう!」という、ビジネス側としてはスピード感のある素晴らしい意思決定が繰り広げられています。一方、プロダクト開発側としては、「高品質なものを、早く、ユーザーに届けたい!けど、検討する事がまだまだたくさんある!」と、PdMとして活躍しがいがあります。あえて良くない表現をすると、ただでさえ責任範囲の広いPdMにより強い負荷がかかってしまいます(それがチャレンジングな環境であるとも言えるので、一概にデメリットやリスクではないと思います)。

 以上の2つの背景から、「体験設計難易度が高い上に、抽象度高い状態でアサインされるため、具体的な検討を推進するPdMに大きな負荷がかかる」状況が、「上流工程における難易度」を高めています。

乗り越えるために必要なプロセス

 では、この壁をどう乗り越えるか?私自身もこの環境でチームの協力を得ながら、PdM×UXデザイナーとして、注力しているポイントは、以下の2つです。
 1点目は、情報を収集して、整理することです。定性・定量の情報の収集だけではなく、それらを正しくわかりやすく活用できる情報にするために整理すること(ユーザーリサーチ、アドホック分析、データ分析などの手法)です。単に具体的で粒度の異なる情報がたくさん手元にあっても、プロダクトやサービス全体を通した体験設計はできません。一次情報を適切に整理して、プロダクト全体の「線」や「面」で見た時、KPI達成のため、筋の良さそうな仮説は?課題は?と俯瞰する検討プロセスが重要だと感じます。

散らばった情報がある中で、より良い未来を作るんだ!の図
散らばった情報がある中で、より良い未来を作るんだ!のイメージ

この検討プロセスは、PdMの一般的な守備範囲とも言えますが、UXリサーチャーやアナリストや、ビジネスサイド(BizDevで分かれた際のBiz側)のようなスキル・立ち回りが求められる場面もあるなぁと思います。


 2つ目は、現実的かつ理想の状態を具現化することです。抽象度の高い案件では、機能要件の議論が空中戦になりやすいです。また、要件全てを満たす理想の状態をあれもこれもと設計しているうちに、開発リソースや納期の観点から、非現実的な案となって検討が手戻りする場合もあります。そうならないように、抽象度の高い理想の状態を要求としてドキュメンテーションし、1段1段具現化していきながらその要求の確からしさを確認します。ドキュメントでは具現化が難しい時は、4コマ漫画のようにユーザーの心理状況を表してみたり、図やフローチャートで表現してみたり、手書きでデザインイメージを作ったり、キーワードを単語で羅列したりと、できることは全てやります。そうして出来上がったアウトプットをエンジニア、UIデザイナー、他のPdM、ビジネスサイドのメンバーなどに壁打ちさせてもらって、ステークホルダー同士の目線を合わせ、質の高い意思決定をサポートします。


さまざまな具現化方法のイメージ
さまざまな具現化方法のイメージ

 こちらも、特にまだまだ成長フェーズにあるプロダクトにおけるPdMの動き方に近いと思いますが、UXの要件定義にかなりコミットするため、PdMというより、デザイナー、UXディレクター、デザインディレクターのような動きをしているなぁと思うことが多いです。

4.最後に

PdMの責任範囲と専門性が高いので、もっと切り分けた方が良いのでは?派

 PdMという職種もかなり人口が増えてきています。エンジニアやデザイナーのように、それぞれ何に特化しているPdMなのか?どこに責任範囲を持っているPdMなのか?など切り分けて考えることが、人材育成観点からも、プロダクト成長観点からも大事だと思います。

 「体験設計難易度が高い上に、抽象度高い状態でアサインされるため、具体的な検討を推進するPdMに大きな負荷がかかる」という状況を、「ほんの一部の超人PdMのアサインで解決する」のではなく、「ジョブを切り分けて協働したチームで解決する」ようにする方がヘルシーだと思っていますし、自分のチームも所属組織も、そうしていければいいなと思っています。(まだまだ勉強や経験が足りないところもありますが…)

 私は半分がUXデザイナーの人格として、もう半分がPdMの人格として、プロダクト全体の体験設計や事業企画などのデザインを実行していきたいと思っておりますので、ぜひ仲間だよ〜!って方いたら、この仕事に興味ある〜!という方がいたら、下部に記載の採用サイトからエントリーしてみてください!

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