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成長のカギは先頭集団にピンを立て、必死で食らいつくこと。PD室長のキャリア戦略

戸田洋平(とだ・ようへい)。リクルートが展開する200以上のサービスの企画や改善を統括する部門横断的な組織、プロダクトデザイン室の室長を務めている。
 
エンジニアからキャリアをスタート。リクルート転職後は、当時まだ珍しかったスマホアプリの企画開発を担当するなど、テクノロジーを先取りしながらキャリアを構築してきた。
 
遠い先のキャリアに目をやるのではなく、登る山を次々と見つけるようにステージを変えながらステップアップを果たしてきた戸田さん。これまでの足跡をたどるインタビューを通して、キャリアに悩むすべての人たちへのメッセージをもらった。



大学院でデータ×経営や人工知能を学び、エンジニアに

―最初に、戸田さんのご経歴について教えてください。学生の頃は何を学んでいたのでしょうか?

理系の大学院で、経営を科学する学問を学んでいました。経営には会計やファイナンスをはじめ幅広いテーマがありますが、僕は「組織運営を可視化して最適化する」という分野を専攻していました。
 
また、それ以外にも興味の赴くまま色々なことを学びましたね。当時はインターネットビジネスの機運が高まっていたこともあり、テクノロジーやビジネスについて、最終的には人工知能を研究するようなりました。
 
第三次人口知能ブームが起こる谷間の時代ではあったのですが、じつはその頃に僕が学んでいた技術が最近盛り上がっているディープラーニング技術に繋がっているんです。そのまま研究を続けていたら、今頃は大金持ちになっていたんじゃないかな(笑)

―大学院卒業後は、どのような進路を選ばれたのでしょうか?

幅広い領域でテクノロジーを活用して、日本の競争力を高める仕事をしたいと考え、ITコンサルタントを志望しました。
 
僕が社会に出た2000年代前半にDXという言葉はありませんでしたが、テクノロジーでコスト削減などを通して企業の経営を支援する仕事は魅力的でしたし、それが日本を元気にすることにつながるだろうと考えたんです。
 
そこで、ITコンサルティングサービスを提供する企業に入社しました。

―そこではどのような仕事を任されましたか?

まずはエンジニアからスタートして、徐々に上流工程の仕事へと進んでいきました。業務最適化とコスト削減を実現するためにテクノロジーをどう活用するべきか、必死に勉強しながらスキルアップに励みましたね。
 
そのうち、テクノロジーはコスト削減だけでなくセルサイドの施策、つまりマーケティングにも活用できることに気付きました。それからテクノロジー×マーケティングの領域を目指すようになり、社内異動でマーケティングコンサルタントに軸足を移したんです。
 
転向後は4マス(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)の広告クリエイティブ効果について、アクションや購入までのプロセスをトラッキングして反響を個別に分析し、ターゲットの見直しなど含めてPDCAを回すコンサルを経験しました。その他にも、クライアントのEコマース立ち上げや営業支援ソリューションの開発などにも携わりましたね。

「スマホアプリの台頭」が新たなキャリアの転機になった

―新卒入社した会社に約5年勤務したのち、初の転職でリクルートへ入社されてますが、前職を辞めた理由は何だったのでしょう?

事業会社でヒリヒリした仕事をしたかったからです。事業会社を外部から支援する形では消費者からのフィードバックなど、断片的にしか把握できないことが多くもどかしくて。自分のアイデアや提案と消費者とのつながりをダイレクトに実感したいと思うようになり、転職活動をはじめました。

―リクルートを選ばれたのは、なぜですか?

当時のリクルートは、全社を挙げて従来の情報誌ビジネスからインターネットにシフトしようとしていました。
 
世の中に新しい価値を打ち出していこうとしており、その姿勢に惹かれましたね。また、一緒に働く人から刺激を受けて成長できそうな環境にも魅力を感じて、リクルートを選びました。

―リクルートに転職してから現在までの約16年、どんな仕事をされてきたのでしょうか?

最初はリクルートの多種多様な事業のネットシフトに向けて、サービス領域を横断したUX担当として3年ほど関わりました。それから『ホットペッパーグルメ』のUX担当を経て、2011年にスマホアプリの開発担当になりました。

当時は「これからスマホがくる」と語られるようになった頃で、アプリの領域でナンバーワンを取るというミッションが降りてきたんです。

そこで、各サービス領域からメンバーを集めてプロジェクト化し、僕がプロジェクトリーダーになりました。UXだけではなく、集客、CRM、開発までアプリ全体を統括する立場です。 

はじめはリクルートが展開している既存サービスのアプリ化を手がけ、その後はインバウンドで日本に旅行に来た人が使えるアプリや、O2O(Online to Offline)アプリなど全く新しいサービスのスマホアプリ開発にもチャレンジしました。

スマホアプリという全く新しいプラットフォームが出現したときは、初めはまったく戦い方が分からないのですが、スピーディーかつダイナミックにトライアンドエラーを重ねることで、勝ち方が徐々に見えてくるということを実体験から学び、未知の環境での向き合い方のヒントを得ることができました。

その後、子会社の代表や『ゼクシィ』や『カーセンサー』領域のネットビジネス推進室長などを経て、リクルートに統合されるタイミングで、現職であるプロダクトデザイン室の室長へと至ります。

―今は室長として、どのようなお仕事を?

メインは組織の制度設計や人材の育成です。一人ひとりの能力をどう計測し、どのような能力を補うのかを考えながら育成システムなど組織運営の仕組みをつくっています。
 
自分の手でプロダクトを手掛ける仕事からは離れていますが、一部の領域ではアウトプット品質の責任者として第一線の仕事に引き続き携わっています。

先頭集団にピンを立て、差を縮めることで成長につなげる

―戸田さんは若手の頃からキャリアビジョンをしっかり描かれていたのでしょうか?

数十年単位で描いていたわけではありませんが、常に自分の市場価値を客観的に捉えて、どこにピン(目標)を立てて成長するかを考えていました。
 
たとえば、ITコンサルタントであれば、自分の価値を高めるのは「専門性」。そこで、自分が担当している仕事の先頭集団にピンを立て、自分に足りない差分を埋めるために必要な学びや活動を取り入れて、近づいていくようにしていました。
 
具体的には必要なスキルセットを洗い出して、専門書を読んだり資格を取ったり。それと同時に、仕事のアウトプットで認めてもらったり、上司に機会を求めたりして、先頭集団に辿りつこうとしていましたね。

―先頭集団に入ってからは、どんなアプローチを?

新たなピンを探しました。ある程度のところまで到達すると、やはり次に行きたくなるんですよね。データ活用が盛り上がってきたタイミングでは「データを活用した機能や基盤開発」、スマホが出てきたタイミングでは「スマホアプリのマーケティングと企画開発のスペシャリスト」というピンを立てました。
 
それを達成し、事業開発を担当するようになってからは、「事業開発のスペシャリストを極める」というピンを立てました。その後、マネージャーになってからはプレイヤーとして先頭集団にピンを立てるのではなく、「チームで事業をつくること」に専念するようになったという感じですね。

―ピンを立てなくなったのは、なぜですか?

ある程度の立場になってからは自分がどうこうではなく、これから事業をつくっていく人を育成するべきではないかと。そのほうが、世の中により多くのインパクトを残せると思ったんです。
 
以前は自分がディレクションしたり、状況をすべて把握したりしていないと気が済まなかったのですが、マネージャーになってからは考えが変わりましたね。
 
自分でアイデアを供給し続けるのは限界があります、でも、新しい世代を育成できる組織という仕組みがあれば、新しい才能がどんどん育ち、次から次へと斬新なアイデアが生まれ続けるはず。キャリアのフェーズは変わりましたが、現在の組織づくりの仕事はめちゃくちゃ楽しいですね。

リクルートで培ったスキルはどこでも通用する

―今は新しいサービスを出しても、それが陳腐化するスピードがとても速いです。プロダクトマネージャーやプロダクトデザイナーに興味がある、あるいはすでに仕事をしている人の中には、ミドルエイジに突入してからのキャリアに不安を感じている人もいると思います。そうした人たちにアドバイスできることはありますか?

自分のスキルや市場で求められていることを見定めて世の中に価値を提供できている人は、多少変化が起きたとしてもこれまでの経験を次に生かすことができます。例えば、プロダクトマネージャーやプロダクトデザイナーも、突き詰めれば「カスタマやクライアントの困りごとを発見して解決する仕事」です。これは、どんなに社会が変化しても普遍的な価値なのではないでしょうか。
 
あとは、自分のトラックレコード(過去の実績や履歴)に残る大きな実績をつくることも重要だと思います。僕の場合は、スマホアプリの立ち上げに携わったことが大きな実績でした。スマホアプリがまだ普及していない時代に“戦い方”を確立したという実績は、どこに行っても活きましたから。

―時代が変わっても、普遍的なものは必ずある。それを見定めた上で磨いたスキルや経験は陳腐化せず、積めば積むほど価値になると。

そうですね。プロダクトデザイン・マーケティング統括室では常に世の中にないもの、新しいものを模索しながら、日々クリエイティブな仕事をしています。たくさんの挑戦の機会が用意されていますし、個人が視座を高めるにはうってつけの職場ではないでしょうか。

たまに、リクルート以外の職場で働いたことがないメンバーから、「リクルートでの経験って他社で通用しますか?」と聞かれますが、もちろん活かせると思います。

―それはなぜでしょう?

リクルートの事業は全国のカスタマーやクライアントを動かすという、世の中的にものすごくハイレベルなことをしているからです。全国で使えるということは多種多様なニーズや課題と対峙しなければいけません。限られたエリアやターゲットと対峙するのとでは複雑度が格段に異なってきます。

プロダクトデザインを通して習得できる課題設定や解決策の導き方などのノウハウは、営業だろうが経営者だろうが、すべての仕事に通じることです。リクルートでハイレベルなノウハウを身につければ、間違いなくどこでも通用すると思います。

―今まさにキャリアに悩んでいる人は、たくさんの機会が用意されているリクルートで全力疾走してみるのも一つの手かもしれません。最後に、戸田さんが考えるリクルート向きの人材を教えてください。

「自分で未来をつくってやろう」と思っている人ですね。誰かに言われるがまま仕事をしたり、コピーや真似事で満足したりせず、自分で課題を設定し、それを解決する方法を考えたい人。

そんな新しい未来をつくろうと挑戦している人をリクルートは求めていますし、実際にそういう人が輝いていると思います。

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