“組織や場”をデザインするのが面白い。「プロダクトデザイン室」の魅力をnoteで発信する理由
暮らしを彩るプロダクトをつくるため、新卒でリクルートへ
――鹿毛さんは2011年にリクルートに入社しました。なぜ、リクルートを選ばれたのでしょうか?
暮らしに関わるプロダクトデザインに携わりたいと思ったからです。僕は、慶應大学の法学部に所属していたのですが、学生時代は法律以外のことも学んでみたくて、興味の赴くままに環境情報学部の建築やインタラクションデザインの授業に出ていました。そのときに参加したのが、デザイン思考を用いたサービス開発の研究をしているゼミです。すごく面白くて、大学院は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に進学しました。
その大学院時代にちょうどiPhoneが普及しはじめて、スマホアプリの開発にも挑戦するようになりました。たとえば、飲食店や公園を訪れたとき、その場所ならではの音楽が流れてくるアプリなどですね。試行錯誤をしながら色々なプロトタイプをつくっていく中で、日々の営みの体験をデザインすることがすごく楽しいと感じるようになって。それから、「毎日の暮らしにワクワクする瞬間をつくれる、プロダクト開発の仕事をしたい」と思うようになったんです。
――リクルートのどこに魅力を感じましたか?
ライフスタイルからライフイベントまでのサービスを幅広く展開しているところです。あと、「やりたいと思ったことをやらせてくれる会社だな」と感じられたのも大きかったですね。就活をしていた頃は、紙のメディアからWebへの移行がはじまっていた時期。学生時代にデジタル系のプロダクトを手がけていたので、即戦力として裁量を持たせてくれるんじゃないかなと期待をしていましたし、入社してみると実際にその通りでした。
――なるほど。では、入社からこれまでの歩みを教えてください。
入社してすぐの頃は、チケット共同購入サービスの『ポンパレ』のUIデザインを担当していました。2年目のときに、通販のショッピングモール『ポンパレモール』のUIデザインから実装までを任されました。同時期に、社内でUXデザイン組織が立ち上がり、自分もメンバーとして参加。それから『Airレジ』をはじめとする業務支援のSaaSプロダクトを担当するようになり、今にいたります。
夢中になった野球に通じる「チームでプロジェクトを達成する喜び」
――今はどのようなお仕事をされているのでしょうか?
立場としては、いわゆる管理職です。プロダクトデザイン室には、企画から開発ディレクションまでを専門にする「プロダクトデザイン」、デザインに特化した「デザインマネジメント」の2つの組織があり、それぞれのアウトプットをレビューしたり、組織の中長期の成長戦略を練ったりしています。
――プロダクトをつくる仕事から、組織のマネジメントへと軸足を移されているということですよね。
そうですね。ただ、プロダクトをつくらなくなったからといってデザインから完全に離れたわけではなく、デザインの対象が変わったという感覚です。もちろんプロダクトの「UI/UX」と「組織」は異質なものですが、共通するところもあります。組織がプロダクトだとすると、メンバーはユーザー。プロダクトデザインにおける「ユーザーは何を考えているんだろう。何を叶えたいんだろう」という発想の起点や、「じゃあ、どういうプロダクトなら期待に応えられるんだろう」という思考のプロセスは、組織のデザインにも応用できます。
――どのようなところにやりがいを感じますか?
人の成長や場をデザインできるところでしょうか。デザイナーとしてやりがいを感じる瞬間は、実際に現場でユーザーがプロダクトを使っているところを目にしたとき。ユニット長としては、自分の期待値を超えた施策が生まれてくるときですね。僕とメンバーの間にはマネージャーが何人かいるのですが、僕が「こうなるだろうな」と予想していたことをチームとして超えてきて、加速度的にいろいろな施策が生まれたときは、「仕事、面白いな」と感じます。
――チームでプロジェクトを達成するところに面白さを感じているということですよね。
そうですね。僕、小学校から高校まで野球をやっていて、キャッチャーだったんです。余談ですが、高校時代は春のセンバツにも出場しました。当時からいろいろ情報を整理して、ゲームを動かしていくのが好きでしたね。自分でガンガン点を取ったり指示を出したりというよりは、各メンバーが自分の意思で努力して、その結果、予想しなかった結果がでる方が楽しかった。その楽しさは、今の仕事に通じているかもしれません。
色々な切り口からプロダクトデザイン室の魅力を知ってほしい
――今、力を入れていることのひとつに、この『プロダクトデザイン室の公式note』があるとのこと。そもそも、なぜnoteを運営しようと思われたのでしょうか?
SaaS領域のデザイナー採用強化のためにはじめたのがきっかけですが、採用の課題をプロダクトデザイン室全体でも抱えていたので、今ではプロダクトデザイン室全体を対象として運営しています。リクルートって、世の中的にはまだまだ「モーレツに頑張る営業会社」と思われているふしがあって、現実とギャップがあるなと思ったんですよね。なので、採用にあたっては、プロダクトマネージャーやデザインディレクターがどういう仕事をしているのか、きちんと発信する場所が欲しいなと思ってスタートしました。
リクルートは自社で『リクナビ』をはじめとする採用サイトを持ってはいますが、現場で働くプロダクトマネージャーやデザインディレクターがコンテンツを発信することで、求職者の人に「こんな組織があるんだ、面白いじゃん」と気づいてもらいたいなと。キーワード検索できるnoteなら、プロダクトマネージャーやデザインディレクター志望の人とのタッチポイントを増やせると考えました。
――主に、プロダクトデザイン室のメンバーのインタビュー記事と、メンバー自身が書いた記事の2つのカテゴリを用意されていますよね。この意図とは?
まず、メンバーのインタビュー記事については、新卒・中途入社問わず、すごく個性的な人が多くていろいろな経験をしているので、そのユニークさを伝えたいと思って配信しています。面接をしていると「リクルートの人と接点を持ったことがきっかけで、面白い会社だなと思って応募しました」とおっしゃる方が何人かいたので、人の魅力をコンテンツとして打ち出す価値があると思っています。
メンバー自身が書いた記事については、リクルートって事業のバリエーションが豊富なので、事業による特徴や具体的な仕事内容を伝えたいと思ってコンテンツ化しています。また、プロダクトデザイン室ならではのUIデザインの手法や、データビジュアライゼーションのイロハといった記事は、よく読まれています。他にも、イベントのレポートなど、リクルートの内側を理解してもらいやすい情報も定期的に配信しています。
――メンバーが書いた記事は、かなり力が入っていますよね。
そうですね。僕も書くことがあるんですけど、結構大変で(笑)。でも、ありがたいことに、メンバーは専門性が高くて、とでも読み応えのある記事ばかりです。僕自身、文章にまとめることで、思考の棚卸や振り返りになります。あと、署名が載るので、セルフブランディングの一環で取り組んでもらえたらなと思っています。
――今後、メディアをどのように成長させていきたいですか?
コンテンツの数は継続的に増やしていきたいなと思っています。いろいろな切り口の記事を増やして、「これとこれを読むとAirレジのデザインについて体系的に理解できる」というカテゴライズもできるんじゃないかなと。あと、リクルートの卒業生として活躍されている方も多いので、そうした方に執筆してもらうなど、より読み応えのある記事をたくさんの人に届けられると思っています。