おもしろARフィルターばかり作っている学生がリクルートに入った結果
こんにちは!
リクルート プロダクトデザイン室 アドベントカレンダー 2022 18日目を担当させていただく狭間祐至です。
本記事では、学生時代から制作活動を行ってきた人間がリクルートのプロダクトデザイン室に入ったらどうなったか、をお話していきます。
結論、入社した結果は
「制作を行うときの考え方が変わり、
社外でのアウトプットの質も向上した」
です。
はじめに、本記事を特に読んでほしい方は下記となります。
< 特に読んでほしい人 >
・クリエイターになりたい。だけど、リクルートのプロダクトデザイン室も興味が少しある方
もし対象と違っても、「へ~~!なんかクリエイターってリクルート向きじゃないと思ってたけど、あの子とか向いてるかもしれない!紹介してみよう!」と思える記事になっていると個人的には思っておりますのでお気軽に読んでください!
よろしくお願いします!
自己紹介
狭間祐至(はざまゆうじ)といいます。大阪生まれの24歳で新卒2年目です。主にUIUX改善のディレクターを担当しています。
また、大学時代から副業で会社を経営しており、TikTokやInstagramで使用できるARフィルターを制作しています。
2020年ころから制作をはじめ、最近ではこんなものを制作しています。
制作したARフィルターを使用して作成された動画の再生回数は42億回以上といっぱい再生されています。すごいですね。
一番好きな自分の作品はだれでも僕の顔になれるARフィルターです。
おもしろいですね。
そんな私は自分のことを「ARフィルターとかいう最先端なものを作れる技術力、企画力を備えたクリエイティビティあふれる最強人間」と思いながらリクルートに入社しました。
入社してから
プロダクトデザイン室に配属が決まり、「自分のクリエイティビティを活かしてプロダクトをデザインしていくぞ!」と意気込み、自信満々に初めての仕事に取り組みました。
初めての仕事はUI改善の仕事だったので、今まで通り自分が思うイケてるデザイン案をいっぱい作ってワクワクしながらレビューしていただく会議に持っていきました。
すると、本当にありがたいフィードバックをたくさん先輩方からいただき、
ALL却下です。
正直びっくりするほどいただきました。
今思い出してもびっくりします。
温かいフィードバックをたくさんいただくのはいいですが、
自分の描いていたものに全くGOが出ませんでした。
なぜ全くGOが出なかったか
今になって当時を振り返ると
① : ユーザーの視点などを全く考えていなかった
②: 自分が制作したものの説明を放棄していた
ということが理由に挙げられると思っています。
正直先輩方にフィードバックをいただく前は 、UIのデザインって「デザインキュレーションサイトで自分にとってイケてると思ういい感じのデザインを集めて参考にして、ツイッターで有名なデザイナーさんが言ってたテクニックを活用し、Figma やXDでサクッと作るもの」だと思っていました。
自分のメンターにその思いを話したら
「自分にとって、ではなくユーザーにとってイケてるものをつくりなよ」
とコメントをいただきました。
それから改心して、自分の「表面上のイケてる」を意思決定の軸にすることをやめ、下記のような行動を人生で初めて心がけるようになります。
ここに書ききれないほどのことを心がけるようになりました。
1万個以上あります。本当です。
すると、これまで全くGOがでなかった案もGOがでるようになり、
少しずつ仕事を前に進めることができるようになっていきました。
そんな初めての体験を通して、私の考え方はどんどんと変化していきました。
また、それはリクルートの本業だけでなく、これまで行ってきたARフィルター制作にも大きく影響をもたらし、行動や思考の変化が起こりました。
ここからはリクルート入社後の経験から発生した、ARフィルター制作に関する具体的な変化を、事例などとともに2つお話しします。
変化① : ARフィルターの IA / UIの検討プロセスが変化した
私はこれまで、リクルートで最初に行った案件のように、これがイケてるであろう、と思うIA / UIを感覚的に検討していました。
しかし、リクルートでの経験から、 「ちゃんと類似のARフィルターを見てメリットやデメリットを考察し、どのようなIA / UIがよいか検討する」ということを意識しはじめるようになりました。
またあわせて、その検討をした結果どのようなデザインにするのかをシンプルな図で作成し、デザイン作成前に共有し相談することも行うようになりました。
正直、面倒くさい作業ではありますが、このような手順をしっかり踏むことで、クライアントと納得感を持ちながら案件を進行できるようになりました。
その結果、以前はよく発生していたように、クライアントから制作終盤で指摘を受け手戻りが発生するようなことがなくなり、逆に工数が削減されることも起こりました。
そして、上記のように仮説をもってデザインを行うことで、ユーザーが私達の意図とは違う使い方をしていた場合に、何が悪かったのかを考えることが可能になり、次の制作を行う際に発生しないように改善を行うことも可能になりました。
最初はかなり時間がかかる作業でしたが、この流れは慣れてしまえば短時間で行うことが可能になり、今では欠かすことができない重要な作業となっています。
変化② : ARフィルターをよりユーザー視点を考えて変化させた
私のメンターからいただいた「自分にとって、ではなくユーザーにとってイケてるものをつくりなよ」という名言。
その名言を業務外活動であるARフィルター制作にも当てはめてみました。
ユーザー視点に立つべく、改めてARフィルターのユーザーペルソナを見直した結果、そもそもARフィルターには
・「ARフィルターを使用して動画を撮影するユーザー」
・「ARフィルターが使用された動画を見るユーザー」
の2種類のユーザーがいることに気づきました。
私はこれまで、ARフィルターの機能を作る際、ずっとARフィルターを使って動画を撮影する側だけを意識してきました。
しかし、「ARフィルターが使用された動画を見るユーザー」にとってイケてるかどうかも踏まえて考えてみると、好ましくない事例も発見することができました。
制作に関わった、TikTokで制限時間内にまばたきをするゲームの動画が投稿できるARフィルターの事例で説明します。
もともと私は「ARフィルターを使用して動画を撮影するユーザー」の視点に立って考えていたため、私は 「録画ボタンを押下してから3秒程度カウントダウンがされてからゲームをスタートされる」という仕様を「その方が親切である」という理由で採用していました。
しかしこの仕様は「ARフィルターを使った動画を見る側」の視点に立つと、最初のゲーム開始までの3秒間、準備場面をみることになります。最初がどうしても、そこまで動きが無く単調な動画になってしまいます。
TikTokはかなりのユーザーが最初の2秒で動画を変更する / しない を決定するアプリと言われています。そのため、2秒で「ARフィルターを使った動画を見る側」を楽しませなけば動画はスワイプされ、別の動画を見に行かれてしまい、TikTok内での再生数は上がりません。
そのため、最初の3秒が単調であったことは正直悪手であったことに気づきました。
そのことに気づき、「親切だから」という理由で付け加えた「録画ボタンを押下してから3秒程度カウントダウンがされてからゲームをスタートされる」という仕様を除却し、「録画ボタンを押下すると即ゲームがスタートする」という仕様を採用するように変更しました。
その結果、3秒程度カウントダウンされていたときよりはるかに再生数が伸びるようになりました。
上記のような経験から、とことんユーザー視点に立って考える、という考え方は企業として提供するプロダクトだけではなく、ARフィルターのようにクリエイティブな領域でも活きるのだと考えさせられました。
以上がリクルート入社後の経験より、これまで行ってきたARフィルター制作においても起こった2点の変化です。
終わりに
私は リクルートに入り、今まで全く持っていなかった視点を諸先輩方から学んだことで、制作を行うときの考え方が変わり、社外でのアウトプットの質も向上した、と考えています。
入社前は正直なところ、クリエイターはリクルートのような大きな企業に入ると面白くなくなる、と思っていました。
確かに、今の自分は以前の自分からしたら、少し面倒くさい考え方をするようになったかもしれません。
でも、私は今の自分の考え方が好きです。確かに仕事としてやるべきことは増えましたが、その代わりに自分自身の考え方が大きく変化し、その変化の中で多くの気づきを得て、実際にアウトプットも改善することができました。
これまでとは全く違うフィールドのため私自身、まだまだ未熟な部分は多々ありますが、非常に刺激的な日々を送らせてもらっています。(ステマっぽくなっていますが本心です)
最後になりますが、もしこの記事で少しでもリクルート プロダクトデザイン室に興味を持たれた方は、ぜひリクルートプロダクトデザイン室の、他のnoteも読んでみてください!
めちゃくちゃおもしろいです!