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デザイナーの自走=圧倒的当事者意識説―「デザイナーが自走できる組織」イベントレポート

こんにちは。「Airレジ ハンディ」プロダクトデザイナーの高橋 朋子です。リクルートライフスタイルはheyとグッドパッチとともに「デザイナーが自走できる組織」を開催し、私も参加したのでレポートをお届けします!
イベントのレポートの後、最後に「デザイナーの自走=圧倒的当事者意識説」というイベントの考察を書いています。

🎯テーマ

デザイン経営、BTC型人材などに関心が寄せられる今、デザイナーの役割と身につけるべきスキルが変わりつつあります。「デザインは表面的なものではなく課題解決の手段である」という理解が進んだことにより、デザイナーが自ら創り出す時代への変革期です。(イベントページより)

上記の時代背景を踏まえ、今回は、hey、リクルートライフスタイル、グッドパッチの3社が集い、「デザイナーが自走する組織」をテーマに、会社説明とテーブルセッションを行いました。

💁‍♀️前半:各社のリードデザイナー登壇

前半30分は、各社のデザイン組織をリードしているメンバーが登壇し、デザイナーが自走できる組織づくりのために取り組んだ施策や、これからつくろうとしている未来のデザイナー組織について発表しました。

👇リクルートライフスタイルの登壇資料

リクルートライフスタイルからは、Air事業ユニット UXデザイングループのグループマネージャーの鹿毛雄一郎と、同グループで飲食店向け新規サービスのUXデザインとAirシリーズ横断のデザインガイドラインを担当している柿本泰人が登壇しました。

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鹿毛からは、会社紹介・組織紹介として、組織の概要や、デザイナーが自立して仕事できるように組織として取り組んでいることを発表しました。

Air事業ユニット UXデザイングループには、様々なバックグラウンドやスキルをもっている個性豊かなメンバーがいます。メンバーの中で、リサーチなどを通じて課題発見が得意な人をUXリサーチャー、仮説検証とデザイン実装が得意な人をプロダクトデザイナー、コミュニケーションデザインが得意な人をアートディレクターと呼び分けています。
Airシリーズには約10個のプロダクトが存在していますが、プロダクトチームごとの組織能力を見てデザイナーのアサインが決まっています。

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柿本はデザイナーのセルフキャリアマネジメントというタイトルで、自身が2018年7月にリクルートライフスタイルに転職した経験をもとに、リクルートライフスタイルでやりたかったことと実際にリクルートライフスタイルでどのように働いているのかを発表しました。

デザイナーがプロダクトマネジメントに関わり、PDCAサイクルの各工程に携わる取り組みについて具体的な事例を交えて紹介しました。
「Airレジ ハンディ」および飲食店向け新規サービスのプロダクトデザインでは、「ユーザの課題はなにか」をとても大切にしていて、課題発見のためにお店の業務を観察したり、実際にデザイナーがお店で働いて体験したりしています。
実地調査だけでなく、データ分析やサービスブループリントの制作を通じて、課題の把握や深堀りも行っています。

「そのデザインで課題が解決できているか」という観点では、ProtoPieなどを活用して動くモックを作ったり、Testflightやプロトタイプを飲食店に持ち込んでテスト運用をして検証しています。

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heyからはリードデザイナーの松本隆応さんが登壇されました。
自走するデザイン組織において過剰で中央集権的レビュープロセスは逆に生産性を下げるので、ガイドラインと建設的なフィードバック文化を醸成してデザイナーがオーナーとして責任を持てるようにしていると話されていました。

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グッドパッチからはクリエイティブディレクターの難波謙太さんが登壇されました。
難波さんは、デザインの価値は課題の本質を追求し企業の思想を明文化しユーザー体験と一貫した思想で繋ぐことだと話されていました。グッドパッチは、デザインの力を証明するをミッションに掲げていて、クライアントワークではデザインパートナーとして関わられているとのことでした。

🕺後半:登壇者&参加者でグループセッション

後半は、参加者も交えてグループセッションを行いました。

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参加者を4グループに分け、ケータリング片手に、3社+デザイナー特化支援サービス「ReDesigner」の4テーブルを10分ごとに回っていただくワールドカフェの形式でグループセッションを行いました。

リクルートライフスタイルのテーブルでは、登壇した鹿毛と柿本の他に、アートディレクターの戸田亮佑、「Airレジ ハンディ」プロダクトデザイナーの熊澤兼一、高橋朋子(私)がセッションに参加しました。

リクルートライフスタイルのテーブルで、印象に残った議論を紹介します。

🙋‍♂️🙋‍♀️参加者の質問
デザイナーの評価どのようにしていますか?ちなみに(参加者の所属会社では)現状はスキルによる評価をしています。

💁‍♂️鹿毛の回答
ミッションとその達成基準を期初にデザイナーごとに定め、その基準に照らして達成できているかどうかで評価しています。定量的に評価できるものは定量的な指標で、リリースなどがされないものはデザインプロセスの計画に対して達成状況で目標設定したり、リリース前に収集したユーザーからのフィードバックの内容を持って評価しています。また、デザイナーによる仮説検証の結果、想定を覆す新たな発見ができた場合や、秀逸かつ効果的なプロセスを開発し汎用化できる見込みがある場合などに加点評価しています。スキルによる評価はしていないが、アサイン計画や個人の成長目標を定めるためのスキルアセスメントは実施しています。
🙋‍♂️🙋‍♀️参加者の質問
現場に行ったり、ヒアリングしたいと考えているが、進め方がわかりません。具体的にどんなメリットがあるのか、ビジネス担当に伝えることができず、悩んでいます。

💁‍♂️熊澤の回答
「Airレジ ハンディ」の開発初期の段階で現場で検証しなかった結果、ユーザビリティを考慮できていなかった失敗談がありました
チーム内でこういった事例を共有していき、少しずつ調査の重要性の理解を深めると良いのではないでしょうか。
🙋‍♂️🙋‍♀️参加者の質問
デザイン検討の際に、ビジネスサイドの意見に偏ってしまい、本当に良いデザインになっているか不安・疑問を持つことが多いです。そういった場合、リクルートライフスタイルではどのように判断していますか?

💁‍♂️熊澤の回答
Airシリーズでは、短期的なマネタイズを目的としていないこともあり、デザイナーだけでなく、PMやエンジニアも「ユーザーのためになっているか」の視点でデザインを見て、意見をくれます。
それでも意見が分かれる場合は、簡易的につくってリリースして反応を見たり、ユーザーテストやヒアリングで決めることが多いです。自分たちでいくら考えても正解とは限らないため、ユーザーの反応や意見を尊重するようにしています。
🙋‍♂️🙋‍♀️参加者の質問
ディレクターがデザインや開発に関する知識を持っていないため、開発がしづらいです。特にスケジュールの調整が難しく感じます。

💁‍♀️高橋の回答
プロダクト開発のチーム内には開発への理解がない人がいないので、そういう困りごとはないです。
プロダクト開発以外でいうと、Webのプロモーション施策で、マーケティング担当とプロジェクトをしたことがあったのですが、そのプロジェクトの初めに2時間くらいキックオフのmtgを持ったのがめっちゃ良かったです!
そのキックオフでプロジェクトのゴールをすり合わせたり、一緒に具体的な施策案をブレストして優先順位を決めたりすると、お互いの大事にしたいことがわかるし、一緒に作っている実感が湧いたので、仕事しやすかったです。

テーブルセッションで話しきれなかった分は懇親会で話しました。


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🏃‍♂️デザイナーの自走=圧倒的当事者意識説

3社のプレゼンや、参加者と話した中で、「デザイナーが自走する組織」とはどういうものなのか改めて考えました。
私は、プロダクトチームにおけるデザイナーが自走する組織は「デザイナー個人個人が所属するプロダクトの戦略とユーザを理解できていて、プロダクトにとって最善の行動を取れる状態にある組織」と考えました。

デザイナー個人が、所属する会社やプロダクトやプロジェクトのゴールを理解していない場合、
自分に与えられているタスクは何のためにやっているのかわからず「やらされている」と思ってしまったり、
プロダクトやプロジェクトの成功のために自らアクションを起こすことができず上流工程のメンバーの考えの範囲でしか動けなかったりしてしまいます。

登壇した3社とも、デザイナーがプロダクトオーナーと密にコミュニケーションをとり、デザイナーが進むべき方向性を擦り合わせていると感じました。

デザイナーが周囲に自分のやりたいことやスタンスを宣言し、周囲に承認されておくことで、ハレーションを起こすことなく自分の仕事を作っていくことができるようになります。
自分はどうしたいのかを明言し、それに従って行動することは、リクルートの文化である「圧倒的当事者意識」と似ています。
リクルートでは、圧倒的当事者意識を「ATI」と略して使っているほどに言われている言葉です。

👇社内Slackで大人気の「ATI」

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圧倒的当事者意識とは、「自分が経営者だったらどうするか?」と視座を上げて動いたり、何か課題を見つけたらそれを報告するだけでなく解決方法まで作っちゃったりするような、自ら仕事を作っていくスタンスのことを指します。デザイナーにおいてもデザインスキルやユーザ視点を強みにしながら仕事を作っていく姿勢が重要だと思います。

デザイナーの主体的な取り組みを支援するために、リクルートライフスタイルではミッション制度で半期ごとにデザイナーが自らの仕事を規定していますし、heyやグッドパッチでもデザイナーの仕事を裁量のあるチャレンジングなものにする取り組みをされていると感じました。

デザイナーの圧倒的当事者意識、つまり強い主体性が推奨されている組織が「デザイナーが自走する組織」なのではないでしょうか?

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