Config 2024に現地参加して、リクルートのデザイナーが持ち帰り考えたこと
こんにちは!
2024年6月、サンフランシスコで行われたイベント「Config 2024」に、デザインマネジメントユニットから13名が参加しました。
私たちは、リクルートのデザインを統括する社内横断組織に所属しており、参加したメンバーはそれぞれ異なる領域のサービスを担当しています。組織の詳細についてはこちらをご覧ください。
今回は「Config 2024」で得られた学びと、それを踏まえてリクルートのデザイナーとして今後チャレンジしたいことをシェアさせていただきます。
Configとは
ConfigとはFigma, Inc.が主催する年に1度のグローバルイベントで、昨年度と同様、サンフランシスコのモスコーニセンターにて開催されました。
今年は12,000名以上の来場者が世界中から集まり、オンラインでは65,000人以上が参加。2024年6月26日(水)、27日(木)の2日間で約90ものセッションが実施され、非常に盛りだくさんな内容となりました。
会場には、受付でもらったキャンバスバッグに好きなワッペンを選んでつけてくれるブースや、FigJamのボードを模した壁にスタンプやメモを自由に貼れるブースも。セッション以外にもワクワクする体験が用意されており、イベントの空間を楽しめる様々な工夫が凝らされていました。
セッションについて
Keynote
セッションの冒頭を飾ったFigma社によるKeynoteは、今回も大きな盛り上がりを見せました。
「Figma AI」をはじめ、新しいUIやスライド作成機能など、嬉しいアップデートが発表されました。(詳細はこちら)
特にFigma AIは、デザイナーの働き方に大きな変化をもたらすでしょう。AIがデザインの基礎的な部分をサポートしてくれることで、デザイナーはUXやブランド戦略などの、より高度な課題に取り組むことができるようになります。これは、ゆくゆくはデザイナーの社内のプレゼンスアップにもつながるはずです。
AIを活用したデザインフローの改善は当社でも実施をしていますが、今後はより一層AIを使いこなすスキルや、AIが生成したデザインを評価・修正する能力が求められるようになると感じています。
多様なテーマ
今回のConfigでは、以下のような多様なテーマでセッションが構成されていました。
AI & Innovation
Building Products
Design Craft
Product Management
Dev & Code
Design systems
デザインというテーマを深掘りするとともに、エンジニアリングやプロダクトマネジメントといった横の領域のテーマも扱われ、Figmaというプロダクトがデザイナーだけでなく、プロダクト作りに関わる様々な職種にとって重要なツールとなっていることがうかがえます。
こうした多様なテーマ設定と幅広い視点からの知見や経験の共有により、私たちは多くの学びと刺激を得ることができました。
Config 2024での学びとチャレンジしたいこと
ここからは、いくつかのセッションをピックアップし、私たちがそこから得た学びと今後チャレンジしたいことを紹介します。
Courage against conformity(Emily Sneddon & Taamy Amaize, COLLINS)
このセッションではデザインエージェンシー”COLLINS”から、デザインアプローチの考え方を学びました。
デザイナーが直面する課題として、時に革新的なアイデアが受け入れられないということがあります。そんな時にアイデアをアイコニックな物事と掛け合わせることで、”Irresistible Future(待ち望まれた未来)”を創ることができると語っていました。
そのための具体的なアプローチがこちらです。実際のケーススタディは本編をご覧ください。
Config 2024: Courage against conformity (Emily Sneddon & Taamy Amaize, COLLINS) | Figma
セッションではVIデザインを事例としていましたが、プロダクトデザインにおいても通ずるところが大きいと感じました。
一次情報を元にプロダクトを設計する。このプロセスはまさに”Reveal a new perception(新しい認識を明らかにする)”の連続です。社内外や別業界のUXを分析し新機能の開発に活かす。これは”Seek a parallel context(似た文脈を探す)”の考え方で、新たな概念をユーザーにフィットする形で届けることに繋がっています。
例えば、当社転職支援サービス『リクルートエージェント』でもスマホゲームのUXを参考に、1画面1メッセージのシンプルなオンボーディングを検証していました。デザイナーの役割は”Embody new actions(アイデアを具現化する)”のみに留まらないのだと改めて認識できたセッションでした。
The art of obsession:crafting a culture of excellence(Jenny Arden:Zillow CDO)
このセッションでは、アメリカ最大の不動産サイトZillowのCDOである Jenny Ardenが、企業の成功においてデザイン組織が「デザインの黄金時代」を目指すことの重要性を説いていました。デザインの黄金時代とは、デザイン組織が最高の作品を生み出し、それがユーザーの生活に大きな変化をもたらす時期を指し、これを経験した企業はその後も高いレベルのデザインを追求し続けるとされています。
ジェニーは、デザインの黄金時代に向かうためにデザイナーに必要な3つのマインドを強調しています。
まず、デザイナーはAI時代においても、細部へのこだわりを持ち続けることが重要だとし、人間だけが成し得るその感覚を活かすべきだと述べました。
次に述べられたのは、デザイナーは自分の仕事が会社のビジネスに与える影響を理解し、デザインの価値を全社で共有できるようにすることが大切であるということ。
最後に、デザイナーは社会のニーズを察知し、変化や進歩に対応するデザインアプローチを提供する役割を担うべきだとしています。
リクルートのデザイン組織がより未来のソリューションを創造できる存在になれるよう、デザインマネジメントユニットの一員として、この講演からまなび得たマインドを意識していこうと思います。
The broken promises of design systems (Cam Worboys, Head of Design, OS at Cash App)
このセッションでは米国モバイル決済サービス”Cash App”から、デザインシステムが実現すべき役割について学びました。
デザインシステムが陥りやすい問題として、現場でどのように役立っているかがわからないままデザインシステムが作りっぱなしになってしまうことがあります。ここで「デザインシステムはあなたの仕事にどのように役に立っているか?」という基本的な疑問に立ち返ることで、単なるUIコンポーネントライブラリーに留まることなく、デザイナーが良いデザインをするために必要な仕組みを考えることができると語っています。
セッションでは「良いデザイン=良い判断ができた結果」と捉えることで、デザインの余白を残しつつもデザイナーがブランド体験をUIに落とし込める”レシピ”の必要性を説いています。
デザインシステムがデザイナーの役に立ち続けるためには、デザインシステムの使われ方を含めた運用の観点を避けて通ることはできません。
当社教育サービスの『スタディサプリ』でもデザインシステムが複数のプロダクトチームで使われ続けられるような運用やアップデートを検討、検証していました。デザインシステムだけでは価値を実現し続けられないことを改めて理解することができたセッションでした。
そのほかの素敵な体験
最後におまけになりますが、セッションのほかにサンフランシスコで体験した印象的なことについて共有します!
Figma社のオフィスツアー
今年は日本からのConfig参加者が多く、オフィスツアーは抽選制でしたが、幸運にもリクルートから4名が参加できました。
Figma本社は、サンフランシスコの北側、ホテルや美術館、公園などが立ち並ぶエリアの一角にあります。1907年築の重厚な外観のビルの中に、Figmaのクリエイティブな空間が広がっていました。
オフィスはワンフロアで構成され、カラフルでハイセンスなインテリアが印象的でした。至る所にアートや書籍が飾られ、クリエイティビティを刺激する工夫が凝らされていました。会議室には著名なデザイナーの名前が付けられており、遊び心も感じられました。
Figmaのオフィスは、そこで働く人々の創造性や情熱を反映した、ユニークで刺激的な空間でした。このような環境でこそ、Figmaのような革新的なプロダクトが生み出されるのだと感じました。
無人の自動運転配車サービス「Waymo」
サンフランシスコの街中の体験で特に印象的だったのは、「Waymo」という、無人の自動運転配車サービスです。
運転手がおらず、アプリで簡単に配車依頼ができるWaymoは、UIも洗練されていました。配車された車は自動でドアロックを解除し、乗車中は360度センサーが周囲の状況をリアルタイムで表示してくれました。運転も駐車も非常に正確で、安心して利用できました。
Waymoは現在、世界でも限られた都市でしか利用できません。サンフランシスコに行く機会があれば、ぜひ体験してみてください!
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。
日常ではなかなか気付けない、長期的・俯瞰的な視点で、デザイナーとしての自分達の立ち位置や在り方を考えるきっかけとなり、よい刺激をたくさんもらうことができました。
今回のイベントで学んだことを糧に、これからもデザイン業務に励みたいと思います。
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