「日本一のプロダクトマネージャー集団を目指す」ー部長・SIer中途入社メンバーに聞いた、リクルートにおける新規事業開発室の実態
「日本一のプロダクトマネージャー集団を目指す」
そう指針を掲げて日夜業務にはげむリクルートの新規事業開発室に属する事業開発領域プロダクトデザイン部。(プロダクトデザイン=俗にいうプロダクトマネージャーの職種)壮大な目標を掲げたこの集団には、一体どんな人が集うのか?
今回の座談会は、事業開発領域プロダクトデザイン部(以下、プロデザ)の部長・小田真理子を招き、SIer出身で、現在同部でプロダクトマネージャーをしている須田拓馬と舛本唯一が本音を真剣に語った。「リクルートの新規事業開発室でどんなことをしているのか」「日本一のプロダクトマネージャー集団とは?」と思われる方は、ぜひご一読いただきたい。
◆自己紹介・「リクルートのプロデザ」ってどんな経験が活きるの?
―はじめに、みなさんの職歴とリクルートに転職した経緯、現在のお仕事について教えてください。
須田「僕は新卒で大手SIerに入社し、小売業向けの基幹システムの保守運用から、AI需要予測を用いた自動発注サービスの構築を、プロジェクトマネージャーとして担当していました。前職では4年半ほど勤務して、2021年にリクルートの新規事業開発室へ転職し、まもなく2年が経つところです。
それまでクライアント企業の事業をサポートするビジネスに携わってきた中で、自分が当事者として事業を考えて、作ってみたいという思いが芽生えてきたんです。リクルートに興味を持った理由は、新規立ち上げ期から成熟期にあるものまで数多くの事業を有しているところ。自分が転職を考える際に、興味のある業界が”これ”と絞られていなかったので、社内転職の可能性が広がる企業であることは魅力でしたね。
現在は、家具業界向けの新規事業であるインテリアコーディネーター向けSaaS『MINTERIOR』のプロダクトマネージャーとしてプロダクトグロース(成長戦略の立案・開発)に従事しています」
舛本「僕も新卒でSIerに入社し、メディア業界のクライアントに向けたハードウェア導入の担当としてシステム開発に2年強携わっていました。2022年にリクルートの新規事業開発室に転職し、入社して11ヶ月目です。
須田と同じように、今まで自分が主体となって事業を運営するという経験がなかったので、事業を立ち上げる時のノウハウや、将来、自分が新たな事業を手掛けたいと思ったときに必要なことが学べる環境がいいなと思って入社しました。
現在は須田と同じチームでプロダクトマネージャーとして働いています」
小田 「私は、新卒でITコンサルタントとしてEC領域のクライアントに対してシステム導入のプロジェクトマネージャーや売上増加のためのコンサルティングに携わっていました。そこからコンサルタントではなく、事業サイドでのプロダクト構築や事業グロースを担うことに興味を持ち始めて2017年にリクルートに転職し、現在に至ります。
今は新規事業開発室の全プロダクト(10以上のプロダクト)に携わるプロダクトマネージャー組織をマネジメントしています」
―SIerからプロデザへの転職って意外な気もしますが?
須田「プロデザって僕たちのようなSIer出身の人は結構多いですよ。SIerはクライアントのニーズに応える要件の定義・構築を自分たちで行いますし、その先の実行・検証の経験もあります。
実際、今も新規事業開発で同じようなことをやっているんですよね。このチームに入っていくにはSIerでの経験はとても順応性が高いキャリアだと思いますし、僕は前職での業務の延長線上にあるようなイメージでいますね」
舛本「僕もそう思いますね。もちろん全てが同じではなく、今まで経験してきたことを活かしながら新しいことをやっている感じです。
前職ではクライアントの要件に寄り添って物事を考えていましたが、現在は自分たちが事業創造や成長の主体者として考えます。それゆえに自分の意思で課題設定をしたり、仮説を立てたり、それに対してソリューションの打ち出しができる。なおかつ実行するところから実際の結果を知って実現するところまで担えていることが今のやりがいです。
そして僕たちは新規事業に携わっています。新規事業という特性において、より不確実性の高い問題解決に取り組めていることが、環境が変わって一番価値が高いと感じている点です」
小田 「二人はちょうどシステム知見をもった人材が欲しい時期での採用だったので、たまたまバックグラウンドが似ているよね。当時の事業開発プロデザは上流のビジネス検討や企画サイドのメンバーが多かったこともあり。
とはいえ、状況や時期によって求めるケイパビリティは異なりますし、そもそも事業開発プロデザでは前職の経験やその時点でのスキルセットは基本問わず、スタンスや情熱を重視しているので、前職が営業職や非IT系の人など多様なバックグラウンドの方が多いです」
◆入社前のイメージと比べてどうだった?
―実際に入社してみて、感じたことはありますか?
舛本「Sler時代に要件の根底をクライアントが提示してくれていた状況は、楽なことだったんだな、と今感じています。現在はクライアントら要望を聞くのではなく、メンバーと深掘りして自分たちでつくり上げていく。ゼロからのスタートなので、とにかく考えることが多いですね」
須田 「業務時間における”考えている時間”が長いと感じていますね。前職では大量のタスクに追われている感覚がありましたが、今は考える時間がそれよりも多くなったと感じています」
舛本「業務を遂行する時間と、自問自答する壁打ちのような時間が半々くらいの割合でしょうか。採用面接の短い時間でも、面接官だった小田と話す中で、自分が思っていることの解像度を上げられるような問いを何度も投げかけられたんです。
面接の時間だけでも自分が成長できたように感じましたし、もし入社したらこのような機会が増えていくのかなと期待できました。入社して、その時の感覚を大いに実感しています」
―一緒に働く人に対して感じることはありますか?
須田「多様なキャラクターの人がいるなと感じています。もちろん職種の違う人との関係もありますが、同じ職種でもこれまでの経験から考え方まで全く違い、驚くことが度々あります。
自分の観点では考えつかない角度からの意見が出てくることもあるし、アウトプットに至るまでの考え方を聞くと「こういう思考回路で考えるんだ!」と全く違う道筋を辿っていて驚くことも。それがとても新鮮ですし、「勉強になるな」「とてもいい環境にいるな」と思っています」
舛本「さらに、ここにはその多様な人たちが協力してくれる環境があると感じます。マーケター出身や営業出身など、様々な領域で自分よりも経験や知識がある人がたくさんいるので、誰に聞いても参考になる意見がもらえる上に、その人たちの誰に聞いても嫌な顔をせず相談に乗ってくれます。
前職では同じ業界の同じ視点の人とのコミュニケーションが中心でしたが、全く違う角度からの意見をたくさんもらえるのでありがたいですね」
小田 「確かに新規事業開発室のプロダクトデザイン部においては多様なキャラクターが多いですね。そんな中キャラクターが違っても、同じような成長意欲とマインドを持っている人が近くにいることで「隣でこいつ、すごく頑張っている!」という意欲が促進されるし、「あいつすごいな」「僕はここが足りてないな」という気づきも生む。だから異なるキャラクターの人がいて、繋がり合うことで良いシナジーを生んでいるなと感じています」
◆明確に「やりたいこと」を持っていなきゃダメ?
―新規事業の立ち上げや企画提案の経験がない人でも、入社して活躍できるのでしょうか?
小田「活躍できます。新規事業を成長させるのに一番大切なのは“内発的動機付け”だと思います。本人の「やりたい」という思いがあるかどうかです。やはり強い思いがあると、本人の成長にも、ひいては事業成長にも違いが出てきます。
ですので、それぞれのメンバーが考えていること、思いや意思を醸成することに力を入れています。問いを立てて、思いをプレゼンテーションしてもらい、それを聞くことを重視していますね」
須田「また、前職と大きく違うと感じるのは、リクルート全体がボトムアップ型の組織だということ。上の人が「これやったらいいじゃない」と指示するのではなく、「何をやりたいの?」と聞かれ続けます。
それがぼんやりとした「こうやりたい」という答えだったとしても、否定せずに聞いてくれる。さらに「なぜそう考えるのか」と問いをくれて自分の意見をシャープにする手伝いをしてくれるのがありがたいですね。
ですので、どんな人が来ても心配はいらないと思います。僕自身も明確な”やりたいこと”がなく入社した一人ですからね」
舛本 「もともと“これ”という考えを持っていなくても、周りの情熱や雰囲気から自然と底上げされていくんですよね。この事業を良くしていきたいと考える人たちが真剣に議論を交わし続ける環境の中にいれば、「もっとこうしてみたい」「あれをやりたい」などの思いが誰にでも芽生えてくると思います」
小田 「舛本くんは、「何をやりたい」というよりは「こんな社会人になっていきたい」という思いを持って入社しているしね。やりたいことがすぐに語れなくてもいいんです。でも、「成長したい」「何かを変えたい」など自分のことでも他の小さなことでも何かしらの想いや情熱があることが大切。
そこから時間をかけていくらでも自分の本音や思考を深掘りしていくことができるから。そのボトムアップをみんなで相互にサポートしています」
◆「最速・最高・最大」のテーマで、プロダクト開発においてベストを尽くす
―プロダクトマネージャーとしてはどんな指針で仕事に臨んでいるのでしょうか?
小田「“最・最・最”ですね。私たちのミッションとして「最速で最高のユーザー体験をつくり最大成果を追求する」ことを指針にしています。これに尽きますね。
積み上げで考えただけだと、現在の延長線上での限られた発想しか出てこない。でも「最高って?」と考えた瞬間、「本当に今の状態でいいの?」と考えますよね。「それって本当にベスト?」と問われた瞬間、枷が外れます。また、自分たちの自己満足をつくるのではなく、市場変化を予測しながら、世の中やユーザーの本質的なペインと向き合い、スピードをもってPDCAを回していくことが大切だという考えです」
―組織としてのミッションを聞かせてください。
小田「新規事業開発室のプロデザとしては足元の売上ももちろん大事ですが、私たちは次世代のリクルートを担うような、リクルートの事業のポートフォリオを変えられるようなプロダクトをつくることがミッションです。ある種のパラダイムシフトを起こせるようなイノベーションをいかに生み出せるかが最重要なんですよね。
各メンバーには、「私たちはどんな世界が作れているのか」と考えた時に、全員がそれぞれの答えを持っている状態を期待しています。もちろんその答えは同じでなくてもよいのですが、一人ひとりがユーザー体験や提供できる価値に対して追求をしていった結果、その答えを全員が持てている状態にしたいですね。
さらに、それを一人ではなく、チームで持っている状態をつくりたいと考えています。成果もイノベーションも一人では起こせないので、それぞれで相互連携をとりながら個人の力ではなく、チームワークで実現をしていく。互いの力を合わせて確実に実現していく組織にしたいというのが新規事業開発室のプロデザ組織の目標です。
また、世の中でいう“プロダクトマネージャーの育成”にも注力しています。「日本のプロダクトマネージャーの登竜門としてリクルートでプロダクトマネージャーを経験していればどこの組織でも通用する」そんな組織になればいいなと考えています。リクルートには多くのプロダクトがありますが、事業ドメインも事業フェーズもこれだけのバリエーションを持てる会社はなかなか他にないと思いますので」
◆「どんな場所でも生きていける力を身につける」組織
―最後に、リクルートの新規事業開発室の事業開発領域プロダクトデザイン部に転職を検討している人に対してメッセージやアドバイスをいただけますか?
須田「さまざまなバックグラウンドの人がいますが、全員に共通しているのが「事業をよくしたい」という強い思いを持っていることです。単一的な視点だけではなく、事業を多方向から捉えて考えている人にはこの仕事が楽しいと感じられると思います。
さまざまな考え、多様な視点・視野があるから新しいものが生まれる。互いに持ち合わせている「ワクワク」をかけあわせて実現できるチームにしていきたいですね」
舛本 「新規事業は、あらゆることを自分でやらないといけません。これまで経験したことがないことであったり、想定していた担当業務ではなかったりすることが当たり前です。そんな中で「1つのことだけやります」ではなく、「なんでもやってやるぞ!」という気持ちを持って仕事をすれば2倍も3倍も仕事が楽しくなり、非連続な自己成長にもつながると思っています」
小田「ここにくる人には、プロデザでのキャリアを通して自分の人生におけるやりたいこと、得意なことを探して欲しいなと思っています。この不確実な時代、人生長い中で先のことがどうなるかなんてわかりません。だからこそ「自分で選択・判断できる力や実行・実現できる手段」を身につけて欲しいなと思っています。
そのためにどんな機会を提供できるかを考えています。ここに集まる人が自分のキャリアと向き合い、必要なケイパビリティや実績をつくれるよう支援することが私の役目。その延長線上で、この組織の発展があったら嬉しいです。そして、多様なプロダクトを創出・グロースできる幅広いスキルを装着し、どんな環境にいっても通用する最強のプロダクトマネージャーを日本一輩出できる集団を目指したいですね」
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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