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プロデザ(PdM)主体の徹底的な1次情報取得から、サービスの目玉となる機能をリリースした話

この記事を書いている人

こんにちは!リクルートの新規事業開発室でPdM(プロダクトマネージャー)をしている、舛本唯一(ますもと ゆいち)と言います。
大学卒業後は、2020年から2022年まで大手SIerで、メディア業界向けのシステム開発におけるプロジェクト管理業務を担当しておりました。
2022年にリクルートへ入社し、入社後は家具業界の新規事業である、インテリアや不動産業界向けのインテリア提案効率化ツール『MINTERIOR』のPdMに従事しています。
いわゆる1→10フェーズのプロダクトの、企画・開発を担当し、日々奮闘しています。

この記事の内容と、読んでほしい人

この記事はリクルートの新規事業を担当するPdMが「プロダクトグロースがうまく行かない状態を1次情報の徹底的な収集から施策推進したことで打破したエピソード」を記載したものです。

下記1つでも気になる点がある方はぜひ読んでみていただけますと幸いです!
「リクルートの新規事業PdMってどんなことしているの?と興味を持っている」
「ユーザー分析や仮説検証の推進がうまく行かず悩んでいる」
「PdMにそもそも興味がある」

以前他業種からの転職をテーマにしたインタビュー記事にも登場させていただきました!
「日本一のプロダクトマネージャー集団を目指す」ー部長・SIer中途入社メンバーに聞いた、リクルートにおける新規事業開発室の実態
リクルートの文化や働き方、他業種からの転職について興味がある方は上記記事も合わせてご拝読ください。


1次情報の取得に注力することをおすすめする瞬間

この記事は1次情報の取得の有益性について記載しております。1次情報の取得は多くのメリットがある反面、デメリットも存在します。
▼1次情報取得のメリット
 ・ニーズやユーザー心情の深い理解ができる
 ・リアルタイムのフィードバックを受けられる

▼1次情報取得のデメリット
 ・時間とコストがかかる
 ・サンプリングの偏りが発生する

メリット・デメリットとこれまでの経験から、1次情報の取得へ踏み切ることをおすすめする瞬間は下記の通りです。
① 定量分析を徹底的にしたが、信頼できる仮説が立てられなかった時
② 分析対象のn数が少なく、仮説の確からしさが怪しい時
③ 1ヶ月〜2ヶ月の分析期間を作っても、事業やチームへの影響値が小さい時

私たちチームが1次情報の取得に踏み切った理由は、①と②に該当します。
営業から共有される現場の声やコールセンターから問い合わせ内容を集約して、課題管理表で管理する方法は、多くのチームで採用されている手法かと思います。私達のチームでも課題管理表の運用から、仮説を立てて検証を進めていくことをこれまで続けてきました。しかし、なかなかアクティブユーザーが伸びず、アクティブユーザー数が伸びないためアクションログを分析しても、筋の良い仮説を生み出すことはできませんでした。
これまでのやり方では、グロースできる未来は見えず、PO(プロダクトオーナー)からも「この2ヶ月間何していたの?」と問われてしまう状態に陥っていました。

現状打ち手無しの状況を適切にPOに伝え、2ヶ月の調査期間をいただきました。常に事業の継続と撤退との戦いをしている新規事業の中で、調査に振り切る時間をいただけたことは非常にありがたいことでした。そういった背景からチーム内では、この調査で作る仮説の検証だけは、絶対に失敗できない危機感のようなものも生まれておりました。笑

1次情報の取得として、実施した手法

私達は下記の2つの施策を、1次情報取得として実施しました。

①プロダクトの利用者へインタビュー
②プロダクト利用者のカスタマーとなりうる対象へのインタビュー

①はいわゆる王道の、プロダクトの実際のユーザーへのインタビューです。ユーザーの業務の理解から、サービスは業務の中でどんな立ち位置なのか?まだ利用が始まっていない場合は、どのポイントに介入余地があるのか、なぜ介入できていないのかをヒアリングしました。またインタビュー後期にはプロトタイプ検証の実施と、インタビュー期間の中でも仮説の確度を高めていくPDCAを回しておりました。

インタビューでユーザーから出てくる意見は、いずれもチームで検討していた課題仮説ばかりでした。しかしユーザーのジョブに紐づいた意見を直接知れることで、「どこまでの深さ課題を解決したらユーザーの行動に変化が起こるのか」、「その課題を解決した時、ユーザーの業務へのインパクトはどのくらいあるのか」を実感することができました。
結果として最速で施策を進めるための、ミニマム必要な機能定義が完了し、最短での要件定義完了へつなげることができました。

②はサービスのユーザーの先にいるカスタマーへのインタビューです。
to Bサービスで to Cを考えるのって必要?って考えるかもしれません。しかしこれは必要だと断言できます。to B SaaSは企業の業務支援、業務改善がテーマです。しかし導入する理由のゴールは企業やユーザーが対するカスタマーへの体験を良くしたい思いからです。私達のサービスは住宅関係者のインテリアコーディネートの業務支援です。つまり住宅購入者(最終的なカスタマー)のインサイトを理解し、満足してもらえるような機能がSaaSには必要です。
インテリアコーディネートを受けたカスタマーなんてどうやって見つけるのだ、、、?と思ったそこのあなた。案外カスタマーは身近にいます。
私達はリクルート社員に対して無邪気にインタビューを実施しました。笑
結果として20人以上の私達のサービスの先にいるカスタマーの声を知ることができました。

*実際に社内へヒアリングの依頼を出したSlack、30人以上からリアクションがありました!

リクルートでは社内インタビューだけでなく施策の横展開なども頻繁に行われております。ナレッジシェアや他の人の施策や考えに協力&意見をするリクルートの文化は、規模を踏まえても日本一の環境であると思っています。特に新規事業をやる身としては、人の協力する姿勢と活かせるこれまでの成功事例はリクルートでないと満たせないオンリーワンの価値であると確信しています!

調査から仮説立て、仮説検証のための施策実施フェーズ

1ヶ月で計50名以上のユーザーやカスタマーへインタビューを実施しました。ここから新たな仮説設定、検証設計に入ります。ここで重要なのは、あくまで定性情報であることを理解し、主観的な偏りやサンプリングの偏りを排除した情報の解釈をすることです。
私は「利用ユーザーの課題」が「カスタマーのニーズ」にヒットしているかを軸に情報の整理、取り組むべき課題仮説の設定、施策実施を進めました。
あくまで情報の解釈の方法は一例であり、ケースバイケースです。
大切なことは、定性情報を信じ過ぎず、それらの情報が意味していることについて自分なりの仮説を作り、投資価値のある仮説であることを証明する論立てをすることだと思います。

下記に仮説と施策の実施の詳細を記載します。思考の参考になれば幸いです。

収集したFACT
・インテリアコーディネーターはプレゼン用の資料作成に時間がかかっている
・カスタマーはスピード感のある提案を求めている
・インテリアの受注までには複数回の打合せが実施されている。完了までに数ヶ月かかるケースが有り途中で断念してしまうカスタマーも一定数存在する

立てた仮説
・インテリアコーディネーターの資料作成スピードを上げることで、カスタマーとのコミュニケーション頻度を上げることが可能。受注までのリードタイムが短縮でき、受注率や満足率向上につながる。

施策
・提案ケースに応じてカスタマイズができるプレゼンボードを自動で作成する機能の実装

結果として、リリースから2ヶ月経過後にはアクティブユーザーは2倍以上に増加、継続してプロダクトを利用し続けるユーザーも3倍以上に増加しました。
営業トークでの武器にもなり、徹底的な1次情報の取得から、サービスの顔となる機能の開発をすることができました!

現在は実際に新機能を使っていただいた結果から生まれた課題や新しいインサイトをもとに、エンハンスに取り組んでいます。

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございました。

今回1次情報の取得の重要性について自分自身も再度向き合う中で感じたことは、「プロダクトのユーザーは様々な意見を持っているが、明確な答えはもっていない」ということです。

共通する潜在的な課題を特定し、ユーザーのジョブの改善からカスタマーや市場への良い影響を生むことが私達SaaSのPdMのミッションであると考えています。そのためにはプロダクトに関わるステークホルダーの隅から隅まで理解し、それぞれのつながりの中で最適な仮説を立てて、施策を推進することが近道であると思います。

ぜひとも目先のユーザーだけでなく、そこまで知る必要があるのか?と思ってしまう範囲まで知りに行ってみると、予期せぬ結果が得られるかもしれません!



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