「動かすデザイン」に込められたリクルートのDNA
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「動かすデザイン」に込められたリクルートのDNA

リクルート プロダクトデザイン室

こんにちは『SUUMO』のデザインマネジメントグループのマネージャーをしている村本です。

今回は2020年4月に立ち上がったリクルート横断のデザイン組織、デザインマネジメントユニットの組織フィロソフィー「動かすデザイン」の作成過程について、お話ししたいと思います。

2021年4月のリクルート統合を見据え、それまで各社(リクルートライフスタイル、リクルート住まいカンパニー、リクルートジョブズ、リクルートキャリア、リクルートマーケティングパートナーズなど)に散らばっていたデザインチームが横断組織化され「デザインマネジメントユニット」ができました。

なぜ今、組織フィロソフィーが必要だったのか

組織フィロソフィーをつくった目的は2つあります。

一つは「組織として目指す方向をそろえること」です。リクルート統合に伴い、各ブランド間の戦略的連携を見据えデザイナーも横断的な連携が必要不可欠になっていきました。それまでは各社のデザイン組織で様々なバックグランドを持った個性的なデザイナーが活躍していましたが、統合後はパートナー含め総勢100名を超える大きな組織になり、共通した指針がないままだと組織としての連携が困難になるため、デザイナーの目線を合わせていく必要がありました。

もう一つは「デザインの力で事業貢献するため」です。昨今ではプロダクトの機能やUIが同質化していく傾向にあるため、デザインやクリエイティブの力を戦略的に事業に取り入れることで競合と差別化していこうとする動きがあります。リクルートでもデザインやクリエイティブの力を事業に取り込んでいくため、デザイナーにも「モノをつくる力」だけではなく、リクルート特有の合理を求められる環境で「コトをすすめる力」も求められていきました。こうした「つくる力」と「推進する力」両方を大切にする独自の組織カルチャーをつくり、デザインの力を事業に還元していくことがフィロソフィー作成のもう一つの目的でした。

高い価値を魅力的に伝える

こういった組織横断ビジョンをつくる際、本来は関係者全員を集めてワークショップを実施し、意見の発散・収束を繰り返し、その集約されていくプロセス含めみんなで共有しながら進めることが大事だと感じていましたが、新型コロナの影響で大人数が集まっての対面MTGができなかったため、役員・部長・マネージャー・メンバーまで、できる限り一人ひとりにリモート会議を設定し地道に意見を集めていくことを行いました。そしてその意見をまとめあげ、みんなに共有しフィードバックやアイディをもらう、というのを繰り返しながら少しずつ意見を集約し、一つの言葉に昇華していきました。

多くのメンバーに共通した意見は、元々リクルートはクライアント課題やユーザー課題を解決することで多くの社会価値を生み出してきた、その強みはメディアが情報誌からデジタルになった今も変わっていない、ということ。しかし一方でデザイン品質がばらつくことで、せっかくの高い価値がうまく伝わっていない場合もあるのでは、という意見も出てきました。そのためには高い価値を戦略レベルで理解し、それをデザインの言語に変換しながらアウトプットする力も必要ですし、逆にビジネス文脈に引っ張られすぎると魅力のないものになってしまうこともある。それを両立させて、元々の高い価値をより魅力的に伝えることができれば、その価値を最大化して顧客に届けることができるのではないだろうか。その役割を私たちデザイン組織が担う必要があるのではないかと考えました。

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デザインの不確実性にどうやって立ち向かうか

また、組織の方向性を定めるにあたり、私たちデザイナーを取り巻く外的環境を可視化するためPEST分析※を行いました。これからの時代、デザイナーにはどんなことが求められ、リクルートのデザイン組織はどんな課題に直面していくのか、といったことをマネージャーやミドル層を中心にブレストしていきました。

そこで上がった課題が、「なんか最近、デザインの不確実性が高まっているよね」ということ。人々の価値観が多様化し、それぞれが自分にあったメディアを選べる時代になっており、サービスを利用するときはリアルとデジタルの様々なタッチポイントを行き来して利用していくこと。そのためデザインに求められるものは、オンライン・オフラインのどちらかではなく、よりターゲットを細分化し、各ターゲットの価値観に合わせたデザインを、それぞれのタッチポイントでつくっていくことが求められていくだろうと。そのためデザイナーには、web・アプリ・LP・広告・販促物など様々なチャネルの制作知見が必要になり、UIUXやヴィジュアルデザイン、紙媒体のグラフィックデザインなど多様なスキルを持っていないと一貫したブランドの醸成は難しくなってきているんじゃなかろうか。そういった価値観の多様化、メディアの多様化によってデザイン業務も複雑性が増していることを「デザインの不確実性が増している」として、私たちが直面する課題として捉えました。この課題に対し、デザイナーの個の力で対応していくことは事実上不可能であり、チームとして対応していかなければいけないと感じました。

※PEST分析(ペスト分析)とは政治、経済、社会、技術といった4つの観点から外部環境を分析するマーケティングフレームワークのこと。

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多様なスキルを持った
ボトムアップのデザイン組織こそ、最強

先ほど、ユーザーの価値観の多様化が進んでいるといいましたが、デザイナーも同様でスキルや経験が多様化していく傾向にあると感じています。クラシカルなデザインを得意とする人もいれば、課題解決ベースのデザインが得意な人もいる。UIスキルが尖った人もいれば、紙媒体やロゴ作成がうまい人もいる。リサーチから顧客行動やインサイトを可視化し、その解決策をUIに落とし込むまで行う人。デザインからフロント開発まで一貫してできる人、コピーライティングやコンセプト策定が得意なメンバーもいます。そういった様々な武器を持つデザイナーの特性を組織として活かすことができれば、デザインの不確実性を解消していくことができるのではないか。そして、つくるだけでなく、つくったものがユーザーにとって事業にとってなぜ良いのかを周囲に翻訳し、意思を持って推進していくスタンスも大切にしていきたい。そのためにはリクルートのボトムアップ文化をデザイナーも踏襲していくことが一番の近道だと考えました。

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従来、デザイン組織はトップクリエーターがいて、その人を頂点とした品質のあるべき姿を定めるやり方が合理的とされてきたように思います。しかしリクルートはそうではなくて、一人ひとりのデザインディレクターが自身の担当事業と向き合い、デザインの責任者としてQCDを判断していく。一見、非効率で品質低下が懸念されますが、常に高いレベルを求められるがゆえにデザイナー個人が成長し、おのずと「つくる力」と「推進する力」が磨かれ、デザインの力を事業に活かすことができるようになっていくように思います。

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「動かす」その先にあるもの

ヒアリングを重ねるごとにたくさんの意見が出てきましたが、リクルートの業務の中でみんなが感じている課題感や、やっていくべきことは同じ想いが多く、そして結局みんなつくることが好きで、デザインやクリエイティブの力を信じているんだなと感じました。

ヒアリングで出てきた意見の一例を紹介します。

【染み出しが大事】
「上流から下流まで一貫してやりたい」
「他部門、他者と協働するスタンスが大事」
「ブランド、UIUX、ヴィジュアル、エンジニアリング、きっちり分けずに職種が混ざり合っていく」
「染み出す目的は品質を高めるため、ユーザーのため」
【多様性が大事】
「デジタルもアナログも一緒にやっていきたい」
「UIに強い、エンジニアリングに強い、ブランドに強い、誰が一番とかない」
「デザイン×〇〇を掛け合わせる。今の時代、二刀流・三刀流は当たり前」「肩書きはなんでもいいかも」
【つくるスキルと課題解決するスキル、両方必要】
「一個ずつ進めるやり方よりも、デザイナーはつくったものから逆算していく。」
「クラシカルデザインとサービスデザイン、両方大事」
「課題解決する人と、アウトプットする人が一緒であるべき」
「一方でQCDのバランス大事。スピードとコスト判断もできるようにならないと」
【個が生きるチームに】
「大御所がいて全ての品質をチェックする体制でなく、個々が事業に向き合ってQCD判断する」
「個の高い専門性が、活かされるチームがいい」
「なんでも高品質でできる人なんていない。チームでやっていく」
「短期的な定量効果だけでなく、中長期の定性的・感性的なものもチームでやっていく」

などなど

そうやって様々な意見を集約し、まとめたものをみんなに共有し、課題認識や方向性が大きくずれていないことを確認していきました。フィロソフィーの選定にあたってはみんなのアイディアも募集しながらマネージャー間で議論し、最終的にリクルートのDNAを加え、できたのが「動かすデザイン」というボトムアップ型デザイン組織のフィロソフィーです。


動かすデザイン

価値観の多様化が加速する、不確実な社会において
リクルートではデザインがもつ新しい可能性を信じ
一人ひとりがデザインを原動力として
チームやプロダクト、顧客体験やクライアント業務まで
あらゆるモノ・コトを動かし、
世界をより良い方向へと動かしていきます


顧客課題やクライアント課題を解決していくことが社会を変えていくことにつながる、というマクロな視点を持ちつつ、それを実現するためにはまず協働する仲間やチームをデザインの力で動かしていくことが必要。それぞれ得意な武器や領域は違うけれど、多様なデザイナーが生き生きと活躍できる組織でありたい。誰かに舞台を用意してもらって活かされるよりも、自分で意思をもって周囲を動かし、自分のスキルを活かす舞台をつくる。そして自身を成長させる。

失敗することはあるけれど、リクルートでは失敗を許容する文化があるし、失敗を含めての自己成長と捉えています。

自ら動かしたその先は、自らの成長につながっている、はず。



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リクルート プロダクトデザイン室
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