Airレジ ハンディ:業務と消費者の体験を同時にデザインするリクルートの価値検証のリアル @プロダクトマネージャーカンファレンス2020登壇レポート
🕊 はじめに
こんにちは。Airレジでプロダクトデザイナーをしている上妻です。この度、「Airレジ ハンディ」でプロダクトマネージャーをしている川崎が、プロダクトマネージャーカンファレンス2020(以降「pmconf」と記載します)にスピーカーとして登壇したので、カンファレンス参加の様子とともに、川崎の発表とその発表後質疑を共有します。
💁♂️ pmconfの紹介
「見えない未来をリードする」をテーマに掲げた2020年度のプロダクトマネジメントカンファレンス。完全オンラインでのカンファレンスとなったため、discordとzoomを駆使しての参加になりました。社内の業務slackでも、 #pmconf チャンネルで活発に発表内容の議論が行われていました。セッション全体を通して、東京都副知事の宮坂さんの行政へのデジタルサービスのPMや、緊急事態宣言、コロナ禍でのグロースのための意思決定を紹介するセッションが多数見受けられ、プロダクト内のみならず、「社会」の状態を踏まえたナレッジ共有が非常に印象的でした。
👨🎓 発表内容のご紹介
早速ですが、川崎の発表内容をご紹介します。詳しい発表内容のご確認は以前こちらのnoteで執筆させていただいたものも含めてリンクを添付します。
🍵 はしやすめ1:発表中の様子
ここで発表中の様子を少しでも共有できたらと、発表中のチャットを少しだけご紹介します。
fig1. 発表中にあげられた課題に共感する皆さん
fig2. 発表中の"人間API"のというフレーズに盛り上がる皆さん
✍️ Ask the speaker
発表後の質疑に関してを、これからの段落では、主にご紹介していきます。発表後すぐに、discordのボイスチャンネルでシームレスに行うことができたため、限られた時間でしたが非常に濃厚な質疑となりました。質問していただいた皆様ありがとうございました。
Q1. MVPのところの価値と対価のグラデーションのところですが、複数要因をどのように「GO」と判断しているのでしょうか?点数化するなど?」
A1. まず、GO/NGは最終的に買ってもらえるかどうか。支払額の中身には構成があります。どんな価値がどのくらい出れば、いくら支払ってくれるのか、そのしきい値とロジックの把握がまず必要です。ただ、「買ってくれる」だけわかっても、再現性がありません。「なぜそれを買ってくれるのか」を理解し、再現できることが必要です。価値を出すための因果の要因がどうなっていて、その要因部分をソリューションが安定して生成できているか、これが説明可能であれば、GOの判断ができます。
Q2.「プロジェクにいたメンバーの人数やロール、かかった時間は?」
A2. フェーズによって異なります。
企画:1ヶ月程度
ほぼ川崎1人稼働 90%
プロトタイプ:開発は2週間
PdM(ほぼ100%)
デザイナー(50%)
エンジニア4人(一時的にほぼ100%)
MVP :開発4ヶ月、検証3ヶ月
PdM(100%)
UXデザイナー2人(50%, 50%)
エンジニア4人(100%)
Q3. 課題の深掘りは複数いた方がいいの?1人でできたの?
A3. 基本1人で動いていたが、相談相手はいた。具体的には、他のプロダクトマネージャーや店舗の方、飲食コンサルの方など、多方面にご相談させていただきながら動きました。
Q4. 最初から価値検証にこれほど力をかける体制にだったのでしょうか? こういう体制にするために(特に経営陣辺り)どのようなアプローチがあったのでしょうか?
A4. 組織的にある程度の合意があったが、大きな企業でもあるので、ROIの提示は意識していました。期限と目的を明確にし、限られたコストで結果を出すという説明を踏まえたコミュニケーションをとることで推進させました。
Q5. Leading Indicatorの設定と、価値・対価の交換が成立するLeading Indicatorの臨界点を見つけることがかなり難しそうだなと感じたのですが、 具体的にどのようなやり方で行われているのでしょうか。
A5. 月並みですが、欠かせないのがデータ分析と観察です。
具体的には、支払額に関しては飲食店のオーナーへのテスト販売で臨界点を見出しました。
例えば人件費の時給換算で算出し、1人分削減できたらいくらの経営インパクトがあり、その効果から考えるといくらまでなら買ってもらえるのか、
そしてその人件費一人分削減するというオーナーの意思決定はどんな時に判断されるのか。
ヒアリングの中で「フロアスタッフが暇そうにしている時にシフトの人数を削減してもいいと思う」ということがわかったとすると、どれだけの注文件数を削減できればその瞬間を作り出せるのか…という思考法でデータと観察を行ったり来たりしながら明確にしました。
Q6. LeadingIndicatorとLaggingIndicatorってKPI/KGIと似ているけれど違うのでしょうか。
A6. 確かに似ているが、直接関与できるのがleading、関与できないのがLaggingという表現で使っています。
Q7. プロトタイプ開発(もしくはMVP作成)にGoをかける際に、ビジネスプラン(推定売上など)のようなものはどれくらいのレベルで作られますか?
A7. GO/NGの判断をする際、MVPを開発した場合のコストは最低何ヶ月で回収できる見込みかを提示して、損はしないからGOにしようという意思決定の流れを意識しました。
Q8. ライザップのような、ある程度長期の価値・対価を検証したい場合、コツなどありますか?
A8. 長期続けてもらうためには、まずは短期で得られる価値が作れないと長期継続してくれません。
ユーザーが長期的に使用するかしないか意思決定をするタイミングで、価値を感じられるようなマイルストンを設定して価値提供します。
☕️ はしやすめ2:社内slackでの様子
他のセッションを聞いている最中、川崎の発表中、弊社の社内slackでは様々な会話が飛び交っていました。その一部をご紹介します。
fig3. オンラインカンファレンスの情報量に圧倒される弊社メンバー
fig4. 川崎の発表に誇らしさを感じる弊社メンバー
🌱 スピーカー川崎のコメント
最後に発表を終えたばかりの川崎に一言コメントをいただきました。
🙋♀️ pmconfでの発表を決めた理由を教えてください。
ちょうど7/30にこのセルフオーダーの製品版をリリースし一区切りを終えたタイミングで、「ここまでの大量の学びを一度しっかり体系化しておきたい」と思っていたところでした。
タイミングよく今年のpmconfは公募枠があると耳にしたので、登壇は初ですがチャレンジしてみることにしました。
🙋♀️ 実際に発表してみた率直な感想を聞かせてください。
また登壇の機会を掴んで発表してみたいと思っています。
直前まで「普段考えていることは当たり前のことじゃないのか、他の人が聞いて通じるのか、そもそも価値があるのか」と疑念を持っていました。
今回たくさんのポジティブなコメントをいただけて、他の方のヒントになるポイントをたくさん発見できました。本望、の一言に尽きます。是非今後も一層学び、経験し、それをシェアさせていただく機会を作っていきたいなと思いました。
🙋♀️ これからのプロダクトマネージャーを目指す、またはスキルアップを目指す皆さんにメッセージはありますか?
人から情報とヒントを得て、紙の上で整理し仮説を得て、事実で学ぶことが大事だと思っています。僕は知識も視野も狭く、飲み込みも遅い方だと思っています。文字を読むのも聞いたことを理解するのも遅い。おまけに人とコミュニケーションを取るのも実は話すことや想定などしておかないと緊張してしまうタイプです。ですがやはり量を経ると、スピードアップしますし、ポイントが見えてきます。これはスキルでも能力でもなく、経験であり獲得した習慣です。まだまだ僕も未熟者ですが、お互いに学びながら、「良い世界にするプロダクト」を作る一助となれれば幸いです。