リクルートでの学びで、副業でのゲーム開発の考え方が進化しました
こんにちは。私は美容領域の『サロンボード』や『 ホットペッパービューティー』でデザインディレクターを担当している趙です。
リクルートへの転職から2年半ほど経ち、それまでに9年ほどスマホゲームの開発に携わってきました。以前の職場の知り合いが起業したため、今年11月から副業として再びゲームの開発に関わることになりました。今回は、リクルートでの経験を踏まえて、副業でのゲーム開発方法の進化についてお話ししたいと思います。
以下、大まかな流れです。
自分が経験してきた従来のゲーム開発の流れ
私が経験してきたゲーム開発のほとんどはウォーターフォール形式でした。ディレクターやプロデューサーがやりたいことや詳細な仕様を決め、UIチームが画面遷移やUIグラフィックを含めたUX面も検討して制作し、それをエンジニアに実装してもらう流れでした。
仕様についてもっと良い提案をすることはもちろんですが、お願いされた案件以外でもユーザーとして仕様の調整や追加を提案していました。
ゲーム開発でよく起きる問題
UXや仕様の検討は論理的ではありますが、開発現場でよく起きる問題を2つお話ししましょう。「①面白いことに対しての感覚の違い」と「②自分がターゲットユーザーだと思い込む」という問題です。
問題1. 面白いことに対しての感覚の違い
例えば、エイプリルフールにミニゲームをタイトル画面に実装しようとする場面を想像してください。(ちなみに、エイプリルフールはスマホゲームの開発者にとって、年に一度の「なんでもやっていい」一大イベントです)
以下のような会話が生まれます。
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ディレクター:ログインしたら、キャラクターの顔をスタンプにして押せるのは面白いと思いませんか?
エンジニア:落書きできるのもいいかもしれません!
プロデューサー:うむ。それの何が面白いですか?
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このような芸人さんにネタを説明してもらうような辛い場面が生まれます。結局説明するのも限界があり、決裁権を持っている人と感性が合わなければ物事も推進しづらい問題がありました。
問題2.自分がターゲットユーザーだと思い込む
私が携わっていたゲームは、具体的なターゲットを設定していなかったことがほとんどで、設定されていても「20代男性」など、大まかなものでした。
関係者はほぼ全員、そのゲームを毎日長時間遊ぶヘビーユーザーであり、開発者でもあり、誰よりも思い入れが深かったため、「自分がこの機能が欲しいと思ったら、他の人もそうだろう」という会話が頻繁に発生し、それぞれの感覚で改善案を検討する問題がありました。
リクルートで受けた刺激
ここでリクルートの特徴とも言えるポイントを2点話そうと思います。
1.論理的な会話
私が携わっているプロジェクトでは、ユーザーインタビューなどを通じて、ユーザーのニーズや要望を深く理解し、それを実現するための仕様やUI設計を行う必要があります。そのため、感覚での会話がほとんどなく、何かしらの具体的な根拠を持って提案されます。
2.言語化の重要性
言語化がとても大事な環境で、何かを提案する時はメリットとデメリットや、どのターゲット層のどの課題を解決できるかなどを説明する力も必要です。
デザイン面においても、色から生まれる感情や、アニメーションのスピードなど、どういう理由でこの表現がいいか全て言葉で説明できるようにしています。
リクルートでの経験を得て、ゲーム開発でも似たようなことを取り入れられれば、昔よく感じた問題は解消されるのではないかと思いました。
リクルートでの学びで、副業でのゲーム開発の考え方が進化
リクルートでの経験を踏まえて、以前ゲーム開発で感じた課題を解消したく、やり方を調整してみました。以下に、具体的な進化点をご紹介します。
・「面白いことに対しての感覚の違い」に対して、「抽象的な面白さを人間的な欲求に置き換えてみる」
ゲームをユーザーに楽しんでもらえるように、開発者同士では「これは楽しいか?」「面白いか?」という会話が頻繁に発生しますが、お互いの好き嫌いも把握した上で、意見の食い違いが起きた時はなるべく論理的に説明するようにしています。
例えば、ランキング上位になったらユーザーのアイコンの周りに何か装飾をつける仕様を検討する場面を想像してみてください。
アイコンに装飾をつけるのはかっこいいから良いと思う人もいます。その上で、装飾をつけるメリットの一つは他のユーザーに自慢できることで、その必要性は人間の心理にある「承認欲求」の部分に起因しますので、仕様を入れる妥当性があると判断できます。
・「自分がターゲットユーザーだと思い込む」課題に対して、「ユーザーリサーチを実施してみる」
ゲームのターゲットユーザーに対してユーザーリサーチを実施し、その意見やニーズを把握するようにしてみました。リサーチで得られた結果をゲームの仕様を検討する時に活用しています。
例えば、ターゲットユーザーは普段どういう端末やアプリを使っていて、どういう操作だと慣れていそうかを検討します。また、興味のあるコンテンツや、好みのアートの種類はどういう傾向があるかなども分析してゲームの方向性の参考にしています。
このように、関係者と一緒に論理的な思考をしつつ、フィーリングを分かち合うことを繰り返し、誰かの勘に頼りすぎない構造を目指しています。
最後に
リクルートでの経験を通じて、ゲーム開発の方法について新たな視点を得ることができました。また逆に、ゲーム開発をしている中で出会う課題はリクルートと異なるため、問題解決の引き出しが増え、新たに得た知識をリクルートで活用できるようになっています。違う業界ではあるものの、ものづくりという共通点からいろんな学びを得ることができるのに気づき、ゲームとは違う業界に転職してみる決断は正しかったと思いました。何事も挑戦してみるのがいいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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