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目線を揃えることで、ブランドが浸透する。 リクルートで社内へのブランド浸透に取り組んだ話

はじめに

こんにちは。リクルートの「Airレジ」「Airペイ」をはじめとするAirのサービスでインターナルブランディングを担当している金指です。

みなさんは、「インターナルブランディング」という言葉をご存知でしょうか?今回は、Airのサービスでのインターナルブランデイングの取り組みをご紹介します。

インターナルブランディングの話の前に、そもそも「ブランド」とは何でしょうか?
ある商品・サービスが、消費者・顧客によって識別されているとき、その商品・サービスを「ブランド」と呼びます。識別されているだけでは購買につながりません。購買につなげるためには、ブランドイメージが、ポジティブでプラスであることが重要です。

そして、「(消費者・顧客に)こう思って欲しい」と「(消費者・顧客が)こう思う」を一致させるための活動のことを「ブランディング」と呼びます。

「ブランディング」といえば、一般的にアウター(エクスターナル)ブランディングと呼ばれる、顧客に対して行う活動を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、ブランディングする商品やサービスを支えているのは、社内で働く社員ひとりひとりです。
そのため、ブランディングを成功させるためには、
①消費者・顧客向けに行うアウター(エクスターナル)ブランディング
②社内向けに行うインターナルブランディング
という2つの活動を通して、一貫したブランド価値を提供することが必要です。

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もう少し、「インターナルブランディング」について説明していきましょう。

インターナルブランディングとはなにか?

インターナルブランディングは下記のような定義があります。

ブランドを中長期的な観点から組織全体に浸透させると同時に、従業者がブランド・ビジョンに共感し、体現できるように取り組む全社的な活動
 ー「一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会」による定義

インターナルブランディングを実施することで下記のようなメリットがあります。

・自社ブランドに対する正しい理解
・従業者満足度の向上
・商品・サービスの品質や生産性の向上
・顧客満足度の向上
・離職率の改善
・優秀な人材が確保できる

一方、実施しない場合は、下記のようなリスクがあります。

・従業者満足度の低下
・商品、サービスの品質の悪化、生産性の低下
・顧客満足度の低下

このようなメリット、デメリットがある中、私たちAir事業ではどうして「インターナルブランディング」に取り組んだのでしょうか。

Air事業が置かれていた状況

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これらは、リクルートが運営する「Airレジ」「Airペイ」をはじめとする業務支援サービス(以降「Air事業」)です。
Air事業では、2013年11月の「Airレジ」リリース以降、多くのサービスが生まれてきました。また、事業成功のスピードを最大化するため、これらのサービスを事業運営上の特性や対峙しているユーザーに応じて、異なる事業ユニットに分かれて運営をしています。

ただ、サービスや人が増えれば増えるほど、組織が分断され、情報がうまく共有されなかったり、人によって事業のコンテクスト(歴史や背景など)の理解がばらばらだったりしていました。

そこでどのサービス、どのユニットにいてもAirの事業に携わるだれもが知っておきたい知識や考え方を理解できるようにするために、インターナルブランディングに取り組みました。

実際に取り組んだこと

※Airのブランドについては、こちらの記事を御覧ください。

1. 事業の歴史、考え方、大事にしている価値観をまとめた
「Air Orientation」 

これまでAirのサービスが生まれた背景や歴史については、各組織で断片的に情報が共有されている状態でした。特に、新しく事業に参画した人は、背景知識が十分でないまま案件に取り組んでいました。
 ただ、そうするとどうして今サービスがこの状況なのか、どうしてその意思決定がされているのか、そしてAirがどうしてブランドを大切にしているのかが伝わらないまま、異なった方向の起案をしたり、案件をすすめたりといったこともありました。

そこで、組織や役割によって視界は違えど、事業の歴史や考え方と行った根幹の部分について目線を揃えることを目的に「Air Orientation」を作成しました。

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内容は、「何を目的にはじめたか」から「何を目指しているのか」や「今、どんな状況なのか」など事業の過去、現在、未来までの話を盛り込んでいます。

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「03 何を目指しているのか」より抜粋画像11

特に、Air事業ではブランドを大切にしているので、「大切にしていること」としてAirのビジョン・ミッション・バリューについて紹介しています。画像12

この「Air Orientation」を組織長自らが新しく事業に参画した人に説明します。
全4回実施し、94%の方が満足したと回答する結果となりました。

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また、「早い段階で意義や目的を知ることができた」「理解しやすかった」などのコメントが多く寄せられ、事業の根幹をなす部分について目線を揃えることができました。

アンケート結果

2. 私たちが目指す世界を伝える「Air ブランド・ビジョンムービー」

「Air Orientation」やキックオフなどで言葉として伝えるだけではなく、よりイメージがつきやすいように、実際に使っている顧客の生の声を通して、Airのブランドが目指す世界観を伝えています。

3. Airのサービスが対峙する顧客を日常的に意識する接点づくり

組織の中には、時間的・物理的制約のため、顧客に会いに行けない人たちがいます。そういう人たちも含め、Airに関わる全ての人たちが顧客をありありと想像できるように、日常的な接点で、わかりやすく伝えられるようなコンテンツで顧客のことを伝えています。

・使っている店舗を訪れた情報を社内でシェアするSlackチャンネル「#air_store」
Airのサービスを使っているお店に、サービスを導入したきっかけや使い心地、改善点など生の声をみんなで聞いてシェアするチャンネルを設置。
多くのサービスに関わる人が参加し、活発に投稿したり反応したりしています。

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・「#air_store」のストーリーをトイレマンガにした「空声人語」
顧客要望をプロダクト開発に活かすために大切な3つのことの記事でも登場したこちらのマンガですが、実は社内のディレクター、デザイナー、庶務さんなどの有志が描いてくれています。
有志で描かれたマンガは、トイレの壁に貼ってあり、貼り替えると他の事業の人たちの間でも話題になるくらい、ついつい読んでしまう漫画となっています。

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・ブランドミッションをより深く理解する「自分らしいお店づくりストーリー」
普段みなさんもお店の方とお話されることはあると思いますが、「どうしてオーナーさんがそのお店を開くに至ったのか」はなかなか聞く機会がないと思います。
ただ、私達のブランドミッションは、「お店を取り巻く煩わしさを減らし、自分らしいお店づくりができるようにする。」です。その「自分らしいお店づくり」を、オーナーさんの業務だけではなく、どういう人生、どういう想いでお店を運営されているのかを通して、より深く理解するコンテンツとなっています。

Airレジ マガジン

このようにブランドを理解してもらうことからはじまり、ブランドにより共感してもらえるように、そして日常的に意識してもらい、自らが体現できるよう、様々な角度から施策を実施しています。

今回ご紹介した取り組み含め、インターナルブランディングの施策は、一度つくって終わり、やって終わりではなく、継続的に取り組んでいく必要があります。

今後も、Air事業に関わる全ての人が、ブランドを体現できる環境づくりを進めていきたいと思います。そして、Airのブランドビジョンである「商うを、自由に。」が実現した世界に近づいていけたらと思います。

そして、この記事がインターナルブランディングに取り組む方の参考になれば幸いです。







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