世界最大のクリエイティブイベント 「Adobe MAX 2024」参加レポート
こんにちは!
2024年10月、マイアミで行われたイベント「Adobe MAX 2024 」に、SaaS領域プロダクトデザインユニットから3名が参加しました。
プロダクトデザインユニットはプロダクトマネージャー、デザインディレクターから成る組織で、私たちが所属するSaaS領域では『 Airレジ』『Airペイ』などのサービスを提供しています。
今回は「Adobe MAX 2024」で得られた気づきや学びをシェアさせていただきます。
Adobe MAX 2024とは
Adobe MAX 2024 とは、アドビが主催する世界最大級のクリエイティブイベ ントで、今年は2024年10月14日(月)〜16日(水)3日間の開催でした。
これまでは毎年ロサンゼルスでの開催でしたが、今年初めてマイアミビーチのコンベンションセンターで開催され、会場内やコンテンツも、ビーチやリゾートを想起させるような演出が見られました。
アドビの最新技術や開発中のテクノロジーの紹介に加えて、200名以上のスピーカーによる数百の個別セッションも実施されるなど、非常に充実した内容となっていました。
Keynote
イベントはKeynoteのプレゼンテーションから始まりました。
全体方針としては、アプリケーションの機能を強化し、アイデア、創造、クリエイションを革新、洗練させていくとともに、日常的なタスクを自動化させていく、と発表がありました。
特に、Fireflyの自動生成機能をより強化することで、的確に、フレキシブルにクリエイターの支援をしていく、ということでした。
さまざまな 新機能が発表されましたが、中でも私たちが注目した機能をご紹介します。
■画像の生成拡張
自動で画角をひきのばすことができます。
画角が足りない場合に、撮り直したり、合成で付け足したりする必要もなくなります。
■ 背景を自動生成
メインの素材に合わせた様々な印象の背景を、自動生成によりリアルな素材で提案してくれます。
■被写体以外を自動検出して削除
被写体以外のノイズや線を自動検出して削除する機能です。デザイナーやレタッチャーにとっては夢のような機能です。
■ 写り込みや背景の削除
消去したい被写体を適当に塗りつぶすだけで、背景と馴染んだ形で、消去された箇所も含めて自然な画像生成が可能になりました。
■ 動画の自動生成
動画でも注目の機能が発表されていました。2025年初めにリリース予定の、プロンプトで動画を自動生成してくれる機能や、撮影した動画を自動で拡張してくれる機能もありました。
動画は音楽に合わせて作成するのが一般的ですが、撮影した尺が音楽に対して足りないことがよくあります。
その場合、音楽を編集するか、動画の方を別の素材を入れて調整するか、最悪の場合撮影をし直す、ということになりますが、この機能を使えば自動で自然な形の動画拡張が可能になるそうです。
以上がKeynoteのサマリです。これらの機能で作業効率が断然上がるのでは、と期待しています。
Sneaks
『Sneaks(スニークス)』 という、アドビの開発者が自ら今開発している機能を発表するコンテンツでも、注目の機能がたくさん発表されていたのでいくつかご紹介します。
■ 音の自動生成
動画に合わせて自動で音を作成してくれる機能です。
動画素材の効果音などに便利だと思いました。
■ 3D自動生成
手書きのスケッチを、自動で3D化してくれる機能も発表されていました。
■ イラストデータの自動3D化
『Adobe Illustrator』のアプリケーション内で、2Dのイラストを自動で3D化してくれる機能です。これまではちょっと角度が違う場合もゼロから作り直していたので、本当に驚きです。
特にキャラクターを採用しているサービスでは、かなり朗報なのではないかと思います。
アドビからも、「生成AIは、これまで創造もできなかったようなスピードと規模で、コンテンツの制作に変革をもたらしつつある」と共有されていましたが、まさにその通りだと思いました。
ちなみに、Sneaksの発表の最後に、アメリカ以外で開催される唯一のイベントとして、「Adobe MAX JAPAN 」が、紹介されていました。
2025年2月13日に東京ビックサイト で開催されるそうなので、興味があればぜひ足を運んでみてください。
Session
私たちが得た気付きや学びとともに、セッションの内容を説明します。
Ideas to Images : A Creative Journey
スペイン出身のデザイナーである Javier Jaén (ハビエル・ジャエン)さんの、イメージを可視化する旅、クリエイティブプロセスについてのお話になります。
彼は、ちょっとユーモアのある作品や、印象的で非常にコンセプチュアルな作品を作る方です。『The New York Times』の表紙など、広告系のグラフィックやムービー制作で世界的に活躍されています。
このセッションでは、「課題や目標に対してイメージやアイデアをどう可視化しローンチするかについては、さまざまな プロセスがある」というお話がありました。
ハビエルさんは、「面白いアイデアも必ずシンプルに考える」と語っていました。その上で品質の高いアウトプットを作ることができるのは、引き出しの多さや、彼ならではのテクニック、スキル経験の積み重ねからなるものだと思います。
もう1点は、AIと人間の比較についてです。
さまざまなプロセスにおいて、AI導入はメリットがある一方、注意すべき点もあります。
例えばハビエルさんが、人工知能をテーマにした展示のポスターとムービーのアイデアを、初めてFireflyを使って実験的に取り組んだところ、非常に多くのアイデアが出てきたそうです。
ただ、よく見てみると、非常に似た、同じようで微妙に違うアイデアが乱立しています。
AIに頼りすぎると、こういう世界になってしまうのかな、という学びにもなりました。
では人間はどうでしょうか?
人にしかできないこととして、発想や創造、感情や、ケース別の適切な判断という点が挙げられると思います。それらが、高い品質の体験やコミュニケーションにつながっていくと思いました。
みなさんは日常でつい使ってしまうサービスや、感動した商品はありますか?なぜ使ってしまうのか、なぜ感動したか、その体験にヒントがあるかもしれないと思います。
AIに頼れるところは頼りつつ、そのプロダクトやブランドならではの体験、コミュニケーションを提供し続けることが大切だと思いました。
Content Revolution : Is the Rise of AI a Fall for Creativity?
このセッションは、デロイトデジタルのコンテンツ責任者Jenny Kelly(ジェニー・ケリー)さんと、デロイトのコンテンツ制作責任者Will Rochfort(ウィル・ロクフォート)さんによるセッションで、生成AIの課題と人間の役割、そして共生について語られていました。
AIは早く多くのコンテンツを生成することができる一方、指示の裏にある意図や細かい文脈まで理解することは難しく、時に現実味のないコンテンツが生成されることがあります。これは、AIが単にデータとアルゴリズムを基にコンテンツを生成するものであり、創造の全体像までは把握できないためです。
ここで必要とされるのが「視覚化能力(まだ存在しないものを頭の中で思い描き、意図と文脈に沿った最終形をイメージする力)」を持つ人間の存在であり、AIに欠けがちな意図や文脈を補う役割があります。
AIによって生成されたコンテンツに対して「期待や意図に沿ったものになっているか?」という視点から判断しながら、コンテンツ生成をハンドリングする役割が私たちには求められています。
近年、プラットフォームの多様化やパーソナライゼーションの重要化を背景に企業におけるコンテンツ需要は増加しており、私自身も業務の中でそれを実感することがあります。
セッションの中ではAIと人間の共生によるコンテンツ供給チェーンについても触れられていました。需要の増加に対応していくために、私の担当サービスにおいても当社のAI活用指針に則ったうえでAIによる効率化と人間による補完を行いながら、量と質を両立したコンテンツ制作を実現していきたいと考えています。
会場の様子
Creative Park
イベント会場中央に位置するCreative Parkには、パートナー各社による展示やグッズストアだけでなく、クリエイターによるポップアップストアが出店されるなどAdobe MAX 2024 ならではの空間で大賑わいでした!
Keynotes & Sneaks
Creative Parkの隣のメイン会場ではKeynotes 、Sneaks が開催され、アドビの最新技術や開発中のテクノロジーの紹介に加えて、トップクリエイターによるプレゼンテーションも実施されるなど、学びの多い時間となりました。
おわりに
今回のAdobe MAX 2024 では最新技術はもちろんのこと、AIをはじめとする技術トレンドを踏まえて個人や組織がどうあるべきか、という点についても多く語られており、気づきと学びの多いイベントとなりました。
Adobe MAX 2024 への参加を通じて得られた視点や知見を活かしつつ、今後もプロダクトデザインに励んでいきます!
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