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【体験談】適応課題解決のカギを握るナナメンター論

はじめに

この記事は、リクルート プロダクトデザイン室 アドベントカレンダー 2023 9日目です。社会人4-5年目の2名の筆者が年の瀬の振り返りをする中で、新卒時代の「ナナメンター」との関わりが自分達の成長のきっかけになったよねという話になり、この場を借りてまとめてみたいと思います。


この記事を書いている人

上村 魁(うえむら かい)。東京大学大学院情報理工学系研究科卒業。大学院時代は不妊治療手法の研究開発に取り組み、卒業後2020年リクルート入社。入社後は『SUUMO』のUX改善を担当後、2022年より『Airレジ』の機能開発を担当。加えて、プロダクトデザイン室横断でAIを用いた社内業務改善や価値提供を推進する『AI活用PJ』のチームリーダーに従事。趣味はGeoGuessrで世界を旅すること。

郭 桐(かく きり)。ボストン大学金融専攻卒業。2019年リクルートに新卒秋入社した後に人事組織にてエンジニアの採用を担当。2021年の1年だけ香港の証券会社でトレーダーとして働いた後にリクルートに出戻りし、今は『Airペイ』の新規サービス開発に従事。趣味はゲーム実況を見ること。

こんな人に読んでほしい

  • 新人のメンターになる方

  • これから社会人になる方や新卒1年目の方

「ナナメンター」とは

社員が自走して業務遂行するために、多くの企業ではメンタリング制度を導入しており、これはリクルート プロダクトデザイン室でも例外ではありません。
ここでの自走とは、業務スキルを習得し、自分自身で業務の意味づけをして主体的に動くスタンスを身につけることを指します。
前者の業務スキルの獲得は、業務メンターがサポートすることが多いかと思います。プロダクトデザイン室には、それとは別に、後者のスタンス獲得にメンティーと伴走しながら取り組む存在として、業務で直接関係しない別部署の社員が「ナナメンター」としてアサインされる仕組みがあります。

図にするとこんな感じ


筆者たちの1年目

筆者2名は入社当時、はやく一人前になって成果を出してやる!と意気込んでいました。そのうえで、研修やOJTを通してスキル(ロジカルシンキング、プレゼンetc…)さえ磨きさえすれば、自ずと成果も出せるようになるだろうと考えていました。
しかし、日々が過ぎるなかでいまいち思うように仕事が進まない感覚が続き、悶々としていました。何かにつけて「自分の能力不足だ」「この人とは考えが合わない」と安直に考えてしまう場面が多く、今思えば、それは技術的課題と適応課題*を区別して認識することができていなかったのだと思います。

*Ronald Heifetz教授(ハーバード大学)が提唱している、技術的課題(Technical Challenges)と適応課題(Adaptive Challenges)。これがどんなものなのかは後述します。

例えば上村は新卒当時、いち早く自走したいという考えで、周囲にあまり相談せずにタスクを進めていました。自分の中ではそれで責任を果たしているつもりでしたが、蓋を開けてみれば、施策の効果が全然出なかったり、起案が通らなかったり、結果として多くのタスクで品質課題や遅延を生じさせてしまい、挙句の果てには先輩方にほとんどのタスクを巻き取られてしまう始末でした。
そのようななかで、ふと隣の部署の先輩から言われた「結局、自分が一番カワイイんじゃない?」という言葉に衝撃を受けました。
当時の自分は「自走」=「自分でやること・自分が成長すること」と勘違いしており、その背景には「周囲に迷惑をかけるのが怖い・無能だと思われるのが怖い」という感情があること、そのような自分都合で、タスクの背景にある事業上の目的を直視できていなかったことに気付かされました。と同時に、自組織はその目的に対し一丸で取り組むチームなのだという認識を強く持てるようになり、周囲を巻き込みながら取り組みを進めるようになるきっかけになりました。

郭も新卒1年目、大きな成果を残してやるぞと意気込むなかで、最初に渡された仕事は「ある特定の業務の改善点を定性的に洗い出すこと」でした。「些末すぎて、これをやっても成果に繋がらないのでは?」という気持ちをマネージャーをはじめ周囲にぶつけていました。
そんな郭に対してナナメンターは週次のよもやま*で私の気持ちをひたすら聞いてはうなずき、全部受け止めてくれました。そのなかでナナメンターからふと「なんで今の仕事を任せられたんだろうね〜。どう思う?」と投げかけられ、衝撃が走りました。
これまでは自分視点で相手や組織を見ており、逆に組織視点から見た自分について考えたことはありませんでした。ナナメンターの何気ない問いかけがきっかけとなり、組織の現状と相手の発言の背景を自分なりに考えるようになりました。結果、やりたいことただそのままぶつける1年目から「今組織はどういう状態で〇〇が必要だと考え、自分ができることはXXだから△△を任せてほしい」と自分からマネージャーと会話できるようになり、納得した状態で仕事に取り組めるようになりました。

*「よもやま」とは職階や職種にとらわれず気軽に会話や相談をできる、リクルート独自の1on1ミーティングのこと。

適応課題という壁

筆者2名の失敗談に共通していた適応課題は「事業や組織から期待されていることは何か?」を本当の意味で相手側の立場になって目的を理解することができておらず、自分の内側の解釈で仕事を進めていたことでした。
そしてこの課題は、いわゆるスキルや知識が身に付いたとしても解決することが難しかったのではないか?と思います。自分の中のものを主語にして問題解決策を考えるだけでは、いつまでも相手とのズレや溝をうまく捉えることは難しいからです。筆者たちの失敗験談からも分かるように「自分が」という主語を使うことから抜け出せず、相手の立場になって考える/事業の目的に照らし合わせて考えるということはできていませんでした。

ハーバード大学のRonald Heifetz教授は、適応課題について以下のように述べています。

“適応課題は、人々の優先事項、信念、習慣、忠誠心を変えなければ対処できない。発見を導くような高度な専門性だけでなく、ある凝り固まった手法を排除し、失うことを許容し、改めて成功するための力を生み出さなければ前に進められないのだ。”

昨今のリモート勤務環境では、意識しなければ業務外の雑談時間などの交流を確保することが難しいため、特にこの課題が顕在化しやすいように感じています。

ナナメンターは適応課題解決のカギを握る存在

筆者の失敗談で言えば、ナナメンターは「メンティーが自分自身や組織をメタ認知するきっかけを提供する」ことで適応課題を解決してくれました。
まさにこれこそがナナメンターの存在意義なのではないか、と筆者は考えます。
個人-組織間あるいは個人間で、同じ目的や同じ事象に対する認知の差分が存在しているとき、そのズレや溝を埋める必要がありますが、特に目の前の課題でいっぱいいっぱいな新人の力だけではそれが難しいことがあります。時には筆者のように、冷静さを欠いて感情的になってしまうこともあるでしょう。
そのような状況において当時の筆者のナナメンターは「あなたはなぜそう思うのか?」「相手がそう思っている背景/この事象が起こっている背景は何か?」といった問いかけから、メンティーと周囲に認知の差分があるのではないかという仮説をぶつけ、いま・ここには答えのない適応課題の解決のための一歩目を踏み出すヒントを与えたうえで、その解決方法を一緒に模索してくれました。


これからナナメンターになる人へのメッセージ

これからメンターを担当する方に向け、筆者2名の体験談から得られたナナメンターのポイントについて考えてみたいと思います。
ポイントは「非公式性」と「客観性」の2点なのではないかと考えています。
ナナメンターはメンティーと普段の業務における利害関係がありません。そのため、悩みを家族や友人に相談するように、メンティーが普段は言いづらい感情や考えを自由に表現できるような「非公式な」関係性を作ることができる存在だと考えます。
逆に言えば、ナナメンターはそのような関係性でいることこそが重要で、メンティーからの相談内容について何を業務メンターに共有して何を共有しないのか、あるいはどのように業務メンターに共有するのかの見極めはかなり慎重に行う必要がありそうです。メンティーの発話内容を業務メンターに共有することは短期的なコンディション改善につながりうる一方で、ナナメンターに話した内容が業務メンターに全て伝わってしまうような状況では、メンティーの心理的安全性が損なわれてしまうため、そのさじ加減がナナメンターの腕の見せどころと言えるでしょう(※ナナメンターとしての筆者は業務メンターに何かを共有したことはありません)。

同様に、普段の業務で関わりがないからこそ、ナナメンターはメンティーの業務や所属組織に関する偏見が少ない状態でフラットな意見を提供できる立場にある場合が多いです。あるいは、ナナメンター自身の経験を開示することによって、メンティーが自身や所属組織にはない新たな観点を得ることにも繋がることもあります。
このように「客観的な」視点から問いかけや情報共有を行うことで、メンティーが自分自身・相手・事象を客観的に捉えてその差分を冷静に把握し、自身で主体的に状況を改善するきっかけを作ることができます。最終的にメンティーが自分で考えて成功体験を作ること(あるいは、そう認知すること)がベストで、一度そのような体験ができれば、どのような状況でも主体的に解決できるスタンスの獲得に繋がりやすいと考えます。
今思えば、筆者の当時のナナメンターは「俺は△△だと思う。」「◯◯さん(業務メンター)はXXと言っていた。」のような主観的・直接的主張は極力避け、あくまでメンティーが自分自身で考えられるようなきっかけを作り、そのための材料提供に注力するだけと意識されていたからこそ、その言葉がスッと脳に入ってきたのかもしれません。

おわりに

偉そうなことを書きながら、筆者2名は今、自身が未だに空回りしてしまうことがあり、その度大いに反省しています。
これから社会人になる皆さんや新卒の皆さん、我々の恥ずかしい1年目の失敗談を読んで、気楽にかまえていただきたいです。仕事でモヤモヤしたら、気軽に普段業務で直接関わりのない先輩方に相談してみてください。自分の状況を一から話していくうちに、きっと自分を俯瞰して見るきっかけが掴めるはずです。
これからメンターになる機会がある皆さん、自組織に閉じず隣の組織の新人とも気軽に話してみてください。きっと本人にとっても、自身にとっても良い発見があるのではないかと思います。

筆者2名自身も、今はナナメンターをやる側として模索の日々です。
メンティーにかける言葉が、時にそのまま自分たちに返ってきて心が痛む経験も多々ありますが、良き自戒として今後も自分たちのスタンスを最大限に引き出しつつ、周りにもポジティブな影響を与えられるよう頑張っていきたいと思います。

最後に、これまでお世話になったナナメンターに心からの感謝を申し上げて、本記事の締めくくりとさせていただきます。ありがとうございました!!!




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