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UXの最前線を体感!「THE UX CONF 2023」カンファレンス参加レポート

こんにちは。リクルートの旅行領域でプロダクトマネージャーを担当する大森、林です。

今回はイギリスのロンドンで開催されたTHE UX CONF 2023 に参加してきたレポートをまとめています。

THE UX CONF 2023とは


THE UX CONFは2017年からロンドンで開催されており、UXの実践を深めるための国際的なイベントです。

今回のカンファレンスはロンドンのサウスバンクセンターおよびオンラインで開催され、私たちはオフラインで現地の熱量を感じながら参加しました!

世界中からUXデザイナーやプロダクトマネージャーが集まり、最新トレンドの共有、実践的なワークショップが行われます。講演者はスライド形式ではなくデモ形式での発表を行い、より実践的に、さまざまなツールを活用してUXデザインについての検討メソッドを共有・議論します。

そのほかにも要件に従ってUIデザイン生成AIと実際のデザイナーが10分間のUI作成で対決するといったユニークな発表もありました。

また、休憩時間や発表の合間には近年話題になっているChatGPTジョークをスライド投影、また会場の参加者全員で簡易的なヨガを行うといった非常に海外らしい取り組みもあり面白い体験でした。

当日の様子


実践的事例紹介と業務への活用

講演全体の中で特に印象的だった内容を感想を交えながら紹介していきます。

ユーザーリサーチは情報管理が命!Notionでリサーチ管理

Notionを使ってユーザーリサーチをするセッションです。ユーザーリサーチをするには、最終ゴール、ゴール達成のためのマイルストーンの管理が必要です。そういったリサーチロードマップの管理の作り方をまず示してくれました。次にユーザーリサーチから得られた気づき(ユーザーインサイト)をオープンなログとして蓄積する様子を見せてくれました。そうすることで、関わる人全員がユーザーに対して解像度を高く持つことができ、デザインがスムーズに進められると感じました。

ユーザーインサイトログの様子

ストーリーボード作るのが大変?それ、Story Tribeで解決するよ

Story Tribeというサービスではストーリーボードを簡単に作成することができます。ストーリーボードとは、ユーザーがサービスを利用するまでの流れを実際に書いてみることでユーザー行動の解像度を高め、ユーザーインサイトを得る目的で作成されるものです。手書きでやっているとそこそこ時間がかかるものなのですが、このツールでは予め人物やシチュエーションが用意されています。それによって、様々なユーザーストーリーを作ることができます。

発想がツールに制限されてしまうのでは?ということも考えられますが、詳細は自由な手書きで作成すればよく、初期段階の検討としては十分有用なツールに思えました。

ストーリーボード作成の様子

上図が実際にストーリーボードを作成している様子です。人物やシチュエーション、小道具にまで様々な選択肢があることが分かりますね!リクルートのような関係者の多い組織でのプロダクトマネジメントになってくると、ちょっとした認識の差を埋めるのにコミュニケーションコストが大きいことがよくあります。そのような中で手軽にイラストベースで話せるようになると、全員のユーザーに対する解像度を揃えることができ、もっと仕事が進みやすくなるなと感じました。

定性調査だけのプロトタイプはもう古い!アクセス解析で定量プロトタイピング!

Useberryというサービスではプロトタイプを作成し、その結果をユーザーにフィードバックを求めるところまで実施することができます。このツールが通常のプロトタイピングと一味違うのは、ユーザーの動作解析機能があることです。通常プロトタイプのプロセスだと「ユーザーに触ってもらって終わり」のように実際にどのような行動をしたのかまで詳細に把握することはできません。Useberryを利用するとボタンのクリック率を計測できるので、プロトタイプレベルでもどこにデザインのネックがあるのかを知ることができます。これは今までのプロトタイピングのあり方を拡張させてくれるようで、とてもワクワクしました!

アクセス解析の様子

よくクリックされている部分が赤く表示されています。定量的に可視化されることで、どこが弱いのか一目でわかるのが良いですね。

デザインブレインストーミングのCrazy8s手法で思考の枠を最速拡大!

Crazy8sという手法は、デザインスプリントと呼ばれる5日間でアイデアからプロトタイプの完成までを完了して、短期間でサービスの課題解決・改善・成果を目指すメソッドのひとつで、頻繁に利用されているアイデア生成のための手法です。

Crazy8sとは、簡単に言うとペンと紙を使ったワークショップ形式のアイデア生成手法です。参加者は、特定の課題に対して多様な解決策を迅速に考え出すことを目指します。今回のセッションではユーザーのオンラインショッピングでの体験を向上することを課題に設定し、具体的なテーマとして、「オンラインで購入した商品が自分に合うかどうかを判断することが難しい」というユーザーの問題に焦点を当て、参加者全員がそれぞれの紙でワークショップを行いました。

ワークショップの流れはシンプルで下記の通りです。

  1. 問題の設定: 「オンラインで購入した商品が自分に合うかどうかを判断することが難しいという問題をどのようにして解決するか」という問題設定を行います。

  2. アイデア生成: 参加者はA4の紙を8つのセクションに折り、各セクションに異なるアイデアを1分以内にスケッチします。このプロセスは合計8分間続けます。

  3. アイデア共有: アイデア生成後、参加者は自分のアイデアを共有し、グループで討議します。これにより、多様な視点からのフィードバックを得ることができます。

講演者のアマラさんはユーザーにとってよりパーソナライズされたショッピング体験を提供することに重きを置き、ユーザーが自身の写真をアップロードし、バーチャルで服を試着できるようにするバーチャル試着技術や、異なる体型の人々が同じ服を着用している写真を共有することで、よりリアルな購入判断をサポートする機能を提案していました。

また参加者の一人は異なるサイズのモデルを使用して商品を表示することで、ユーザーが自分に合ったサイズ感をより容易に理解できるようにするアイデアを提案していました。

ちなみに私はより信頼性のある情報を簡単に集められるようにという思想で、ワンタップで、購入した商品のフィット率を実際に商品を受け取ったユーザーがレビューできるという機能を提案しました。また購入済みユーザーの回答意欲促進のために、ポイントを還元するという機能のセクションを記載しました。

このワークショップを通じて、紙1枚、たったの8分でアイデアが参加者数に応じて簡単に膨らむという手軽さとスピード感に、これは実際の業務でも活かせるぞと思いました。実際にUX検討から画面設計までを一気通貫で検討する業務も多いですし、複数案件を同時並行しているため検討リソースが常に不足している状況では非常に素晴らしい手法だと感じました。また、この手法は短時間でチームメンバー間の対話を深めることもできるので、チーム内の連携促進が手っ取り早く、異なる視点からのフィードバックを得られるので、アイデアを洗練させるという意味でも効果的だと思っています。

実際に講演者がワークショップに取り組んでいる様子

現地で参加してみて感じたこと

まず、全体のセッションを通じて思ったことは、世界では私たちの想像以上に様々なデジタルツールやメソッドが考案されているなということです。UXリサーチ手法がデジタル化されることは、国境を超えて先人の知恵を簡単に借りられる時代であることを意味すると思います。積極的に触ってみることで、そのツールに現れている考え方や工夫点を普段のUXデザインの仕事に取り入れていこうと思えました。

各セッションでの熱量と、参加者同士の意見交換からは、UXデザイン市場の向上に対する期待が感じられ、自分自身の視野を広げる貴重な経験となりました。

また、世界中のUXデザイナーが、限られたリソースをいかに効率化するかということをUXの向上だけでなく自分自身の検討手法の向上にもフォーカスし、創意工夫しながら改善し続けている点に感動しました。

在宅業務も増え、目の前の仕事に一杯一杯になってしまい、思考への新しい体験が薄れがちな今だからこそ、カンファレンスに現地参加して、新しい手法を取り入れていくことの重要性を強く感じた1日でした。

終わりに

このnoteが、UI/UXデザイナーやプロダクトマネージャーの皆さんに新しい視点を提供し、今後のプロダクト開発における一助となれば幸いです。THE UX CONF 2023で得た知見を共有し、共に成長していく機会を持てればと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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