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京大で宇宙を研究していた大学院生がリクルートに入社してPdMになった話

この記事は、リクルート プロダクトデザイン室 アドベントカレンダー2022 4日目です。

初めまして、小柴鷹介です。京大の大学院で宇宙の研究をした後、2022年4月にリクルートに新卒入社し、現在は『SUUMO』でPdM(プロダクトマネージャー)をしています。

この記事では、宇宙の研究を通して身についたスキルや考え方が、全く別分野であるリクルートのPdMという仕事において、どう活きるのかについて書いています。「リクルートの仕事やPdMの仕事は自分とは関係ない!」と思われている方や、「興味はあるけど今やっている分野とは別の分野に飛び込んだら自分は何者になるのだろうか?」と思っている方にぜひ読んでほしいなと思っています。

研究の話

宇宙の研究では、天体のデータ解析をしていました。僕が解析していた天体は、超新星残骸と呼ばれる天体です。超新星残骸は、 星が最期に爆発(超新星爆発)した後に残る天体で、数万年光り輝きます。我々に身近な話だと、オリオン座のベテルギウスが超新星爆発を起こす可能性があり、非常に注目が集まっています。

代表的な超新星残骸の一つ
引用:https://solarsystem.nasa.gov/resources/822/cassiopeia-a-supernova-remnant/


天体のデータは、光を観測して取得したもので、光の強さや場所の情報が入っています。現代の天体観測機器は非常に高性能なため、遠く離れた天体からの光も取得でき、上の図のような解像度の高い画像を取得することができます。上の図において、色の違いは光のエネルギーの違いに相当し、どの元素が光を放っているのかがわかるのです。ちなみに、この天体は、地球から約1.1万光年離れているのですが、それほど離れている天体のことを研究できることにロマンを感じます。

また、研究の一連の流れは、以下のようになります。

  • 仮説を立てる

  • データを解析する

  • 得られた結果をもとに議論する

  • 学会や論文で結果を発表する

研究においては、議論が非常に重要です。他の人と議論をすることで、自分の考えが醸成されていき、論理も一貫してきます。研究を始めた当初は、議論に慣れずにコテンパンにされていましたが、大学院生は少なくとも一度は経験があるのではないでしょうか笑。でも、最終的に、研究の結果が形になる時は、非常に嬉しい瞬間で、喜びもひとしおです。

就活の話

僕がリクルートに入社した理由は、宇宙事業を立ち上げるために必要なスキルが身につけられると思ったからです。リクルートは、宇宙分野とは関係がありませんが、就職活動の時から、起業を促進するような社内雰囲気があるのを感じていました。それはリクルートが謳っている「求ム、起業家精神」や「圧倒的当事者意識」などのキャッチフレーズにも表れています。また、就職活動中に話した社員の方全員が自分の言葉で想いを語っていて、自分の目標やビジョンを相手に伝える姿に感銘を受けました。これは、事業をする上で重要なスキルだと考えています。

次に、PdMになった理由をお話しする前に、そもそもPdMとは何か、というお話をしたいと思います。下の図は、プロダクトに関係する基本的な要素を示したもので、PdMを語る時にしばしば用いられます。開発者とユーザー、ビジネスがプロダクトを中心に繋がっていて、それらの間に事業開発やマーケティングなどの多様な役割が存在します。これらの繋がりを健全に機能させることがPdMの責任である、とされています。PdMは、プロダクトをマネジメントする際に、開発者やユーザー、ビジネスのそれぞれの観点で検討する必要があり、また、それらを繋ぐためにはどんな役割が必要なのかを理解しなければいけません。

プロダクトに関係する基本的な要素
引用:https://productlogic.org/2014/06/22/the-product-management-triangle/

僕がPdMになった理由は、PdMの仕事内容が事業を創ることに通じていると思ったからです。PdMの本質は、解くべき課題を見極めて、プロダクトを通して人々の“不”を解消することだと思います。どんな課題に対してどんな解決策を提供するのかを考える力は、事業を創る際に役立つと考えています。宇宙事業をする前に、まずはリクルートのプロダクトを通して、PdMで求められる力を身につけよう、と思いました。

仕事の話

現在は、『SUUMO』の分譲マンション領域でプロダクト改善に取り組んでいます。僕が担当しているPdMの仕事内容は、大きく2つあります。1つ目が、ユーザーが使いにくいと感じている、すなわち目下の課題となっているところを、UI改善によって解決するものです。例えば、入力項目が多くあるフォームにおいて、入力の心理的負荷を下げるようにする施策などが該当します。2つ目が、UI改善に留まらないプロダクトグロースへの取り組みです。例えば、見学予約の日程を決める際に、確定までにやり取りが必要だったところを即時に予約が確定するシステムを導入する施策などが該当します。

リクルートのPdMの醍醐味は、普段使ったことがあるプロダクトに対して、自分主体で変化させていけることだと思います。リクルートが提供しているサービスのほとんどがライフスタイルに沿ったものであり、多くのユーザーにサービスを提供しているため、自分もいちユーザーであることが多いです。さらに、リクルートでは、「これをやりたい!」と意思を表明することで、案件として検討が始められることが多いです。また、案件の推進にまつわる意思決定は主に自分に任されているため、自分の意志でプロダクトを変えられる可能性が大きいのです!

実際にこれまで働いていて、PdMとしての仕事は以下の3つに分解できるのかなと思います。

  1. ユーザーの課題を特定すること

  2. その課題に対して適切な解決策を検討すること

  3. 解決策を実行するために優先順位をつけること

PdMの仕事はこれに尽きると思います。各フェーズでは、周りの人とコミュニケーションを取りながら進めていく必要があり、デザイナーやエンジニアと話す場面や、実際にユーザーヒアリングを実施したりします。この過程で身に付くスキルは様々あり、ユーザーやクライアント、事業企画担当などの複数観点で物事を捉えるスキル、ステークホルダーとの合意形成能力などが挙げられます。

研究を通して身についたスキル/考え方はPdMで活きるのか

色々と述べてきましたが、この章が一番伝えたい章です。宇宙の研究を通して身についたスキルや考え方は、PdMの仕事をする上でどう活きているのでしょうか。研究と現在のPdMの仕事で共通しているところを2点述べたいと思います。

活きる事その1

1つ目は、論理的思考力です。研究にもPdMの仕事にも、答えがないため、自分の考えや結果がいかに答えらしいかを示す力が問われます。そこで必要なのが論理的思考力です。研究においては、データの定量的側面と物理的な定性的側面を自分で考えた上で、有識者と議論をすることで論理的思考力が培われます。PdMの仕事でも、定量・定性の両面からなぜその課題に取り組むのかを説明し、UI/UXを検討する際も、徹底的に「なぜ」を繰り返し、議論を重ねることで自分の案を論理立てていきます。このような、自分の論理をいかに構成していくか、というスキルは研究でもPdMの仕事でも求められます。

活きる事その2

2つ目は、データ分析スキルです。研究においては、データを分析して結果を出していくので、必須のスキルになります。PdMにおいても、案件を実施する意義についてデータを用いて定量的に評価したり、どの画面がボトルネックになっているかなどの課題を特定する際にデータ分析スキルが必要になります。また、画面のUI/UX改善の施策をした後に、結果的にユーザー行動が改善されたのかどうか振り返る時にも、データ分析スキルが必要です。

他にも、研究で身についたスキルは、徹夜する力などが挙げられますが、リクルートではこのスキルを発揮するタイミングはおそらく無いでしょう笑。

終わりに

全くの別分野においても、共通して求められるスキルがあると思います。また、別分野を経験しているからこそ活きることもあると思います。みなさんもぜひ他分野に飛び込んでみてください。

また、今回のnote執筆を機に、就活当時のメモを見返しました。振り返ると非常に恥ずかしいですが、そこにはこんなことが書かれていました。「リクルートに入ったら何者になるのだろう。いや、何者にでもなれるのがリクルートなのかもしれない」と。

宇宙事業を立ち上げるという野望を叶えるために、当時の気持ちを胸にこれからも日々邁進していきます。

この記事を読んだ方が、少しでもリクルートのPdMに興味を持っていただけていれば幸いです。

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