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離れていても繋がれる仕組みをつくる。リモートワーク環境におけるコミュニケーション推進の取り組み

こんにちは!リクルートの樋口です。

コロナ禍の影響でテレワークが主流になってから1年以上が過ぎました。自宅で自分のペースで仕事ができて便利な面はあるものの、メンバーと顔を合わせて話す機会が減ったことによる仕事のやりづらさは、どの組織においても普遍的に存在するものではないかと思います。

個人的な話になりますが、私は昨年5月、働き方がリモートワークになってからリクルートに入社しました。そのため、新しい会社に入ったものの、働く場所は自分の家だから環境の変化も実感できていないし、一緒に仕事をしているチームメンバーの顔もわからない、という状況でした。直接人に会えなくてひたすらPCの画面と向き合うばかりだから、他の人がどんな仕事をしているのかもよくわからないし、こんな状態だけど自分はちゃんとできているのかな、仕事に慣れていけるのかな...と不安を感じていました。

また、会話を交わすタイミングがあらかじめ設定されたWeb通話の時間に限定されてしまうことで、本来対面であれば得られた情報や何気ないやりとりが激減し、仕事をしていくうえで悩みが生まれるというのは、新規参画であるか否かに関係なく、きっと誰にでも起こりうることではないでしょうか。

私の所属するSaaSデザインマネジメントグループでは、このようなリモート環境下におけるコミュニケーション不足による課題を少しでも解消することを目指し、昨年働き方がフルリモートに切り替わった直後から取り組みを行なってきました。現在グループのメンバーは約50名ほどの規模感なのですが、メンバー同士が気軽に声をかけあえる関係性を築くために試行錯誤を重ねています。今回のnoteでは、一緒に取り組みを行っている先輩社員の松野さんとの対話形式で、これまでの活動を振り返っていきます。

同じような課題を抱えている方にとって、少しでも参考になる内容があれば幸いです。

忙しい人のためのまとめ

(1) 主な取り組みは ①自己紹介企画 ②テーマを決めたフリートーク企画 ③Slackでの雑談チャンネルの設置 の3つ
(2) 事前準備のコストをできるだけ下げて、企画側も参加側も気軽に参加できるようにするのが大切
(3) 継続的な取り組みのためには、リーダー層が仕組みとして組織に強く打ち出して推し進めていく必要がありそう

まずは顔見知りになろう

樋口 この取り組み、どうやって始まったんでしたっけ。

松野 コロナ禍でリモートワークになって、メンバーの人となりがわからなくて困っている新規参画者の問題を解消するために、リモート下で交流できる企画を考えたのが始まりだったよね。

樋口 そうですね。私は去年の5月、リモートワークになってから入社したので、新規参画者として困っていることはないか聞かれたことが始まりでした。私のような右も左もわからない新入社員は、仕事について質問したいことがいろいろあるけど、誰を頼ったらいいかわからない。マネージャーは、人をマネジメントする立場にあるから、どんな困りごとがあるか知りたいけど、会社にいるのと違って物理的な距離があるからちゃんと見切れない。そういう課題を解決するために、まずはメンバー全員が顔見知りの状態を作るべき、という話をしていましたよね。

松野 いちばん最初にやったのは自己紹介企画だったよね。

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組織共通の資料共有ツールであるConfluence上に、自己紹介用のテンプレートを作成。グループのメンバーそれぞれに記入してもらい、1チーム5名程度に分かれて、資料を使って自己紹介する企画を行った

樋口 自己紹介企画の評判はよかったですよね。

松野 自己紹介のコンフルはあると良いという事が分かったから、今は新しく入社した人や異動してきた人にも書いてもらうようにオンボーディングのメニューに入れているよ。そうすると継続的に蓄積されていくよね。これまでだったらちょっとした雑談や、ランチに行ったりして知り得たことだけど、今のようなリモート下ではテキストに残して、読んだ人同士で共通点について会話するのがいいと思う。私は学生時代にバトントワリングをやってたと自己紹介に書いたら、それを見てくれたデザイナーさんに「私もバトントワリングやってるんです!」と話しかけられたりしたよ。業務外の話もできると、お互いの距離感が少し縮まって、その後話しかけやすくなるよね。

樋口 それはすごくいいですね。私も小学生の時にミュージカルを習っていたと書いていたら、普段業務では絡まない方が「私もミュージカル好きなんです」とDMをくださって、嬉しかったです。

松野 そういう会話があると、仕事で絡む時も初対面感がないから、やりやすくなっていいよね。こういう良いことがあったから、細く長く続けていきたい。

樋口 新しい人が入ってきたタイミングでちょこちょこやるのがいいのかもしれないですね。

共通点のある人同士で話せる場をつくる

樋口 その流れで、共通点のある人はSlackの雑談チャンネルに集まってしゃべろうという流れができましたよね。

松野 同じ趣味がある人は雑談チャンネルに流れたね。

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自己紹介企画や雑談の際に盛り上がったトピックについて、Slackで自由に雑談チャンネルを作成。共通の趣味や興味のあるネタがある人たちが集まってラフに呟いたり、情報交換したりする場として機能している。チャンネルの例としてはサムネイルの「アニメ」チャンネルの他、K-POP好きが集まる「新大久保」チャンネル、最新のデザインに関する情報をシェアする「デザイン情報」チャンネル、経済の動向について熱く議論する「資本主義」チャンネルなどが存在している。

樋口 雑談チャンネルがなにか大きな改善に繋がったのかはわからないけど、実際どうだったのかな?

松野 あれをきっかけに、いろんな人が雑談チャンネルに入って、部署が違う人同士でも絡むようになっていたよ。

樋口 たしかに、松野さんとごはんに行ったのも「新大久保」チャンネルでの会話がきっかけでしたよね。そう思うと、メンバー同士のコミュニケーションのハードルを下げることはできたのかも。

松野 リアルに出社してたら雑談できていたけど、それができないから強制的に会話する場をあえて作ることで、共通点や同じ趣味があるかどうかをきっかけにチームメンバーの交流を深められたという感じかな。最初会話できちゃえばハードルが下がって、そのあと仕事で関わることになった時も気軽に声をかけられるというメリットがあったと思う。

樋口 雑談チャンネルは普段そんなにたくさん投稿されているわけじゃないけど、ゆるい繋がりみたいなものは作れたのかな。

松野 あと、雑談チャンネルを設けることで、普段のミーティングで話すことはなくても、まめにスタンプを押してくれる人が現れて、「この人リアクションしてくれるんだ!」とわかってハードルが下がるという話も聞いたよ。そういう意味でも雑談チャンネルができたのはいいよね。

好きなものをみんなで共有する

松野 そのあとに1つのテーマについてフリートークで話そうという会をやったよね。1回目は好きな本、2回目はおすすめの情報収集アカウントについて。

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 30分間で、決められたテーマについて1人1つずつ自分のおすすめを記入してもらい、記入してもらった内容をもとにファシリテーターが詳細を掘り下げて、お互いの好きなものについて共有する会を実施。1回目の「好きな本」はGoogle Spreadsheetで、2回目の「デザインに関する情報収集アカウント」はより一覧性を上げるためにGoogle Drawingsを使用した。

松野 本については選り好みがあるかもしれないけど、情報をどう得てるかについてはためになる。自分が取りに行けなかった情報を教えてもらって、フォローして情報が入るようになったから、すごくよかったなと思う。

樋口 お互いに仕事に関連するナレッジをシェアする場所をまた設けてもいいかもしれないですね。

松野 「ナレッジをシェア」というと、その人の知識をがっつりパワーポイントに起こしてしゃべらないといけないような印象があるからハードル上がっちゃう。でも、その場で書けばいい程度であれば、主催者も参加者もすごく気軽に参加できるからいいよね。こういう風に、ほぼノー準備でできることは定期的にやってもいいなと思う。

企画側も参加側も気軽にできる仕組みが大切

樋口 松野さんが言ってくださった通り、企画側の負担が大きくないように工夫できたのはよかったな〜と思っています。雑談企画って、みんなそんなに乗り気じゃなかったらどうしようとか、準備する側は精神的な負担が大きくて(笑)。 そのために通常業務の合間も割いて、すごく準備しなきゃいけなかったら、気持ちが持たないと思います。コミュニケーションって必要なんだけど、どれくらい必要なのかわからないし、人によっては「別にそういう場はなくてもいい」思っていたりしそうだから。そのうえ、その取り組みの結果としてどういう成果が出るのかがはっきりとはわからないから、求められていないかもと思いながら企画するのは結構きついなと感じていて。その中で気軽なノリでできると、準備側のコストが下がるからとっつきやすいし、参加する側も身一つで参加できるから、本来解決したかった課題にライトな感じでアプローチできているのはよかったと思います。

松野 たしかにね。参加側も身一つで来られるっていうのはよかったよね。事前ワークとかをやらなくていいから。

樋口 気楽さは結構大事なような気がしましたね。負担になった瞬間に腰が重くなると思います。雑談の場って必要だけど、なくても回るものだから、少しでも面倒だと「じゃあいいや」となってしまう気がします。そうなると、もともと知り合いの人同士は大丈夫だけど、新しく参加した人たちが感じる悩みを解消する仕組みができなくて、後々になって問題が発生するというのはあり得ますよね。

継続するためには組織全体として取り組むこと

樋口 課題に感じていることは、継続できていないことかな。単発ではいろいろやっているけど、継続的な取り組みとして定期的になにかやる感じにはなっていない。誰かが企画しないと何も起こらないという状態ではあるから、仕組みとしてどうにかできる点はないかなとは思います。

松野 いまは限られた人だけで、余力でやるような感じになっているけど、継続的にやるなら事務局を設けて、かつマネージャーを巻き込んで、時にはトップダウンで集合させて、ということがないと難しいだろうな。会社としてやる取り組みです、という枠組みがないと。

樋口 そうですね。そういう流れにしたいという動きはあると思うけど、どういう形で行うかも難しいなと思います。いろいろな取り組みが共有されているけど、マッチするかどうかは組織の文化に依存するから、同じ取り組みがどこでもうまくいくわけじゃないし。もしかしたら、やっていることを組織横断で共有することしかできないのかもしれないけど...。

松野 そうだね、今は共有して、やってみたいと思ったらやってみてねという感じになっているよね。それぞれチームの性格も違うから、自分たちに合うようにカスタマイズしてやる感じになるのかな。

樋口 今後やるべきと思っていることは、気軽に直接雑談できる場をつくること。フルリモートの参画が増えていく中で、誰に何を聞いたらいいかがわかったり、ちょっとした相談とかを話しやすい関係性を築ける場をつくるのは大事だと思う。今は現場依存になっているから、組織として必要性が広く認知されて、やるべきことが上からちゃんとした形として提案されるといいと思います。

松野 あと、いろんな人が集まって話す場では、ファシリテーターの力が重要だよね。間を持たせるのは難しいからドキドキするけど、その場を回す人がいないと場が進まないから。この間の雑談企画では、樋口さん頑張っていたよね(笑)

樋口 反応が見えないから不安だけど、強い心を持つことが大事ですよね。今後またやることがあったら、ラジオのパーソナリティーになったつもりで頑張りたいと思います(笑)

さいごに

これまではSaaSデザインマネジメントグループという枠組みの中で、仕事上のコミュニケーションをより円滑にするための取り組みを行なってきました。ただ、デザイナーという立場だと、いろいろな部署の方と関わることが多いので、今後はグループに閉じることなく、よかった取り組みは他の部署に広げていき、会社全体としてのより働きやすい環境づくりに繋げていけたらと考えています。

こんなストレスの多い状況だからこそ、それぞれの人が悩みを抱えこむことがないように、距離は離れていても風通しの良いコミュニケーションができるような仕組みが組織に根づくよう、これからも工夫を重ねていきたいです。

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