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UXリサーチを柔軟に再設計したことで、プロダクトを爆速改善した話

この記事はリクルート プロダクトデザイン室 アドベントカレンダー 2023の 6日目です。

こんにちは、プロダクトデザイン室の飯野です!
みなさんリサーチは好きですか?
僕はリクルートに中途入社してからUXリサーチに携わるようになり、その面白さにハマってます。問題の解像度をあげて理解を深めたり、予想外のユーザーの意見から視野を広げられる経験は、とっても楽しいです。
 
一方で、リサーチは気づきを得た上で、その後のプロダクト改善を達成することまでを目的と捉えることが重要だとも感じています。
そのために「最短で目的を達成するには何が必要か」考え続け、調査設計を柔軟に変更していくことが、リサーチ成功の鍵だと思っています。
 
僕は元々「仮説が正しいか100%検証しきること」に注力したリサーチをやりがちだったのですが、今年参画したプロジェクトをきっかけに、「ある程度確からしい方向性が分かったら、それを深掘りする方針に舵を切る=リサーチを再設計する」ことが重要だと考えを改めました。
 
今日のnoteでは、その時の学びを共有したいと思います。


こんな人に読んでほしい

こんな方々に読んでもらえると嬉しいです。

  • リサーチの目的設計に悩んでいる方

  • リサーチをした後に「なかなか成果に繋げられない」「成果を出すまでに時間がかかる」と悩んでいる方

リサーチの背景


僕は『ゼクシィオンライン招待状』というプロダクトを担当しています。
オンラインで結婚式の招待状を作ることができ、事前にオンラインでご祝儀を送れるサービスです。

サービス詳細はこちらをクリック(https://introduction.online.zexy.net/

 このプロダクトは今年6月にリリースしたのですが、当初は出欠回答をするゲストのUXが悪く、利用途中で離脱してしまう問題が起きていました。

使い方イメージ

一方、その問題が発生している要因がはっきり分かっていませんでした。
原因と思われる仮説は複数あるが、本当にその仮説が正しいのか確証が持てない、という状態です。そこで、どの仮説が正しいか確かめ打ち手を検討するために、リサーチを行うことにしました。

リサーチ設計


リサーチの目的を「どの仮説が正しいか判断すること」と定義し、調査設計を行いました。
例えば、ご祝儀を送る画面で「何の操作をすれば良いか分かりづらい」「1つ前の画面で出欠回答が終わったと思ってしまう」と言う仮説がありましたが、ユーザーにまだなにも聞いていない状態では、確度0%のため、リサーチを通してその確度を上げていくことにしました。
 
調査方法としては、オンラインでのユーザーインタビューを採用しました。
インタビューでは、モックアップ(実サービス同様の画面遷移ができるシステム)を実際に操作してもらい、1画面ずつ詳細な印象を聞き、先ほど出した仮説(課題)が本当に起こっているのか、明らかにする設計としました。
調査期間は3週間と設定し、得られた結果を元に改善案を検討することにしました。

前半終了後、リサーチを再設計


ユーザーインタビュー前半を終えた時の状態は、「なんとなく仮説が絞りこめてきたが、どれが本当の要因か100%確証が持てない」というものでした。
 
この状態に対して、僕は「100%確証が持てないのだから、更に検証を進めて確度を高めるべき」と考え、現状設計のままリサーチ数を増やしたいと考えていました。

しかし、チームで議論した際に「方向性は見えたので、その前提で打ち手を考え、有効性を評価する内容に変更するのが良いのでは」という、調査の目的を変更すべきという意見が出ました。
 
この時ハッとさせられました。
それまでは「リサーチ=仮説を立証すること」だと思っていて、そもそもリサーチでは、打ち手の検証をするものではないと考えていました。
しかし、リサーチの先にあるゴールに立ち返ると、あくまで「課題を解決すること」であるため、100%立証することが本筋ではないと気づきました。そして、ある程度方向性が見えていたら、一段掘り下げた検証(想定している打ち手は課題解消効果があるのか、など)を行う方が、より短い期間でゴールに到達できると感じることができました。

この意見を受け、僕たちはリサーチの目的を「打ち手の検証」に変更しました。具体的には、絞り込まれた仮説に対して打ち手となる改善デザインを変更しモックの作り直しを行いました。また、設問の大幅削除・追加を行い、質問の比重を打ち手検証に大きく割けるようにしました。

再設計後のアクション


こうして臨んだリサーチ後半戦。
より確からしい仮説の打ち手を積極的に検証したことで以下の気づきを得ることができました。

  • 当初の仮説のみの状態では確認できなかった、踏み込んだユーザーの困りごとを確認することができた

  • 打ち手となるデザインによって、ユーザーの離脱が防げることが分かった(目的達成の兆しが見えた)

  • 打ち手となるデザインの、どの要素に効果があり、どの要素に効果が無いか切り分けができた

その結果、必要最低限の要素のみを残したシャープなデザインを作ることができました。

リサーチ後


リサーチ期間内でシャープなデザインを作れたので、調査後に即リリースに向けて動き始めることができ、調査完了から1ヶ月強で開発・リリースを行えました。
結果、問題となっていたユーザー離脱を当初見込みより大幅に改善し、プロダクトチーム内で表彰してもらうことができました。振り返ると、リサーチを再設計したことにより、以下のメリットを得られたと感じます。

再設計メリット①リリースまでの期間を短縮できた

  • 仮説検証リサーチのみだった場合、別途打ち手の議論と評価(更には追加リサーチなど)が必要で、期間が長くなっていたはず

  • ファクトとして提示できる「ユーザーの生の声」を多く得られたので、関係者と打ち手の合意をスムーズに進められた

再設計メリット②改善デザインの方向性が正しいと自信が持てた

  • デザインを作った段階だと「本当にこれで問題が解消できるか」と自信を持てなかったが、打ち手をユーザーに実際に使ってみてもらうことによって、離脱防止効果が確認できたので、メンバーが自信を持てた

  • 結果、リリースまでチームの方針がブレずに走りきれた


まとめ


改めて学びポイントは以下になります。

1.  ビジネスでは、仮説を100%立証することに捉われず、目的達成のために前に進むべき時がある

2.  リサーチ期間中でも、状況に応じて目的アップデートなど柔軟に調査設計を変更すべきである

3.  変更には労力がかかるが、後続タスクをスムーズに進められる・方向性の正しさを強く立証できる等メリットがある


リサーチで100%の納得感が得られないとモヤモヤが残りますが、あくまで目的はプロダクトの成長なので「最短の目的達成のために必要なことは何なのか」を意識する重要性を感じました。
 
これからもリサーチを繰り返し、自分のグロース精度を高めていきたいと思います!
皆様もよいリサーチライフを!



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