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セーフィー様&リクルート勉強会レポート 「Air ビジネスツールズ」 プロダクト開発の現場

こんにちは、『ゼクシィ』でプロダクトマネージャーを担当する川端です。
今回は、リクルートとクラウド録画カメラの開発・運営を行うセーフィー様との合同勉強会の様子をレポートします。

勉強会はセーフィー様のオフィスで実施され、リクルートから「Air ビジネスツールズ」を担当するSaaS領域プロダクトデザインユニットの組織紹介・案件の実例紹介・その他組織でのユニークな取り組みを共有し、その後質疑応答・交流会という流れで開催されました。


「Air ビジネスツールズ」の組織紹介

まず行われたのは、「Air ビジネスツールズ」を担当するSaaS領域プロダクトデザインユニットの組織紹介でした。

「Air ビジネスツールズ」は今年でブランド発足から10周年を迎え、ブランドサイトも一新されたばかりのサービスです。(「Air ビジネスツールズ」の紹介と10周年のブランドサイト開設への思いを綴った記事はこちら)

https://blog.recruit-productdesign.jp/n/ncd2df5d4c85e

「Air ビジネスツールズ」のビジョン・ミッション

サービスの一つである『Airレジ』は、アカウント数73.5万(2023年3月末時点)、高校生から80代の青果店オーナーまで、幅広いユーザーを持つことが特徴です。
『Airレジ』からはじまった「Air ビジネスツールズ」はこの10年間で17にまで増え、それらのプロダクトや業務の企画・設計・デザインをSaaS領域プロダクトデザインユニットとデザインマネジメントユニットで担当しています。

「Air ビジネスツールズ」のプロダクトや業務の企画・設計・デザインを担当するSaaS領域プロダクトデザインUとデザインマネジメントU

事例紹介

「Air ビジネスツールズ」のデザインプロセスを、1.特定の業務の課題を解決するデザインプロセスと2.事業者の方の業務全体を理解するプロセスの二種類に分けて紹介しました。

1.特定の業務の課題を解決するデザインプロセス

『Airレジ』では、以下のようなプロセスで日々機能改善が行われています。

特定の業務の課題を解決するデザインプロセス

『Airレジ』でプロダクトマネージャーと務める浜田からこのプロセスに則って実際に行われた二つの事例について紹介しました。

①「在庫変動履歴」機能の事例

一つ目の事例は、主にAirレジを利用する小売業向けの機能拡充を目的として作られた、在庫数が「いつ・なぜ・いくつ変動したのか」を記録できる機能です。

Airレジの在庫変動履歴機能の説明

「在庫変動履歴を確認できる機能が欲しい」という要望は以前から多数あったものの、まず考えたのは「根本での困りごとは結局何なのか」という内容でした。

実際に履歴を確認したいという要望が出ている3店舗に対して、「なぜ履歴を確認したいのか」「今はどのように代替しているのか」「在庫が変動する業務には何があるか」をインタビューで深掘り。小売業特有の課題を理解したうえで、解決すべき課題を的確に定め、そこからあるべきUIを検討しました。

課題の設定(≒解くべき問い)を間違えると、UIも大きく変わってしまうので、ここで適切な問いを立てられるかどうかが、プロダクトマネージャーの腕の見せ所だと思っています。

対象とする課題と解決策の選定

実際にデザインを作成した後は、これまでの『Airレジ』の使い勝手を毀損していないか、打ち手が業務課題に対して効果的なのか、を紙芝居形式のプロトタイプでユーザーに使ってもらい確認しました。

本案件は、「在庫の変動履歴が見たい」という”要望の元となる課題がはっきりしない”案件でしたが、

  • 検討初期に業務を分解し、解決する課題を具体的に設定

  • 要件定義段階で、打ち手が業務課題に対してクリティカルに働くかの検証

を行うことで、リリース後にユーザーから不満の声が上がらないような機能を作ることができました。

②「自動つり銭機連携」機能

こちらは他社のつり銭機と連携して、ほぼ全ての現金のやり取りを自動化した、という事例です。

自動つり銭機連携の概要図

この案件ではプロトタイプや、運用設計のプロセスに注力しました。

他社製の機器を使用しているため社内外ともにステークホルダーが多く、目線を合わせながら進めていくことが重要なポイントです。

実機が手元にない状態で、操作方法やUIなどの認識を合わせるため、まず行ったことは各操作におけるフロー図の共有でした。従業員・カスタマー・自動つり銭機・ヘルプデスクといった各アクターのタスクを書き起こしながら、リクルート側がどんな操作フローを考えているのかステークホルダーの中で認識を合わせ、要件化していきました。

ステークホルダー間の目線合わせに使ったフロー図

エラーケースに関しても、アプリが急に落ちた場合や現金が満杯になってしまった場合など、イレギュラー・エラーパターンの洗い出しが多岐に渡りました。一つ一つ考えていくと際限がなくなってしまい、さらに対応ポリシーや文言の微妙なずれも生じ始めたため、

  • プロダクトマネージャー側で業務×エラーパターンで一覧と対応方針作成

  • エンジニアが他パターンも洗い出し網羅性を強化

  • デザイナーが挙動や文言を定義

という順番で進めることで、エラーパターンを整理していきました。
こうしてエラーが起きた際にどのような対応をとるか、統一性のある方針ができました。

エラーパターン定義
エラーパターン定義のプロセス

また複数社で連携する時には、問い合わせなども複雑になることが多いです。問い合わせが来ても、リクルート・(レシートの)プリンターメーカー・自動つり銭機メーカーでそれぞれできることが異なるため、一つ一つ定義していくとキリがありません。
そのため、問い合わせをフロー化し「問い合わせの内容ごとに誰が対応すべきなのか」という議論を始めました。

問い合わせフローの論点整理

こうして、「図や表などの議論のタネとなるような視覚的な情報によって、異なるステークホルダーの間でも、スムーズな議論を行うことができた」という点が、本案件でのポイントです。

2.事業者の方の業務全体を理解するプロセス

「Air ビジネスツールズ」の特徴として、企画・設計・デザインを行う私たちがユーザーそのものになる機会がほとんどないということが挙げられます。こういった背景から、ユーザーの方達の日々の過ごし方や気持ちに共感するための取り組みをいくつか実施しています。
今回の勉強会では「Air ビジネスツールズ」のユーザーである事業者の方の日々の業務全体を理解するためのプロセスとして、業務体験・想いを馳せる会・常駐型リサーチが紹介されました。

業務体験

業務体験

業務体験では、『Air レジ』などを実際に利用いただいている事業者の店舗で、スタッフ業務を行います。
事業者の方が日々どのような環境で業務をしているのか、お客様へのサービス提供をより良いものにするためにどういったことに気をつけているのか、そんな中でアプリが使われるのはほんの一部であることなど。実際に業務を体験することで、私たちが向き合っているユーザーの日常に触れ、より良い課題解決・サービスにつなげていくことを期待して取り組んでいます。

想いを馳せる会

想いを馳せる会

業務体験はあらゆる店舗でできるわけではないため、直接業務の体験ができなくとも、事業者の方に想いを馳せるための機会を作っています。事業者の方にヒアリングを行い、その結果を組織内で共有し、組織全体でユーザーの理解を深めることを目的としています。

事業者の方が朝から晩までどのように過ごしているのかを徹底的に理解することによって「我々のプロダクトが関わるのは1日の内のほんの一部分」ということを改めて理解できます。

そして、自分自身の体験も大切ですが、経験をグループ内で共有することで初めてチーム一丸となってデザインしていくことができます。この想いを馳せる会では、クイズや当日の動画などを使って、「全員で理解する」ことに焦点が当てています。(非常に素敵なポイントだと感じました。)

想いを馳せる会については、こちらのnoteでも紹介していますので是非ご覧ください。

https://blog.recruit-productdesign.jp/n/nafbbff3c9e91

常駐型リサーチ

常駐型リサーチ

常駐型リサーチは、リクルートの旅行事業で行われている数ヶ月の常駐により業務体験を行うリサーチです。(過去にこの内容でプロダクトデザイン室メンバーがイベントに登壇した際には、非常にたくさんのリアクションをいただいています。)

自ら事業者の環境に飛び込み、長い時間をかけ現場を知ることで、表面的な業務の把握だけでなく、その深層にあるメンタルモデルまで、事業者の方を丸ごと理解することができるリサーチです。

常駐型リサーチについても、こちらのnoteでも紹介していますので是非ご覧ください。

https://blog.recruit-productdesign.jp/n/nb2dde5d7806b

質疑応答

勉強会の後は質疑応答の時間が設けられました。一部の質問とそれに対する回答をご紹介します。

Q:「Air ビジネスツールズ」のビジョンミッションを定めた目的は?

A: Airブランドのサービスが増えるタイミングで、改めてブランドとしてどのような方向性を目指していくかを言語化しました。「Air ビジネスツールズ」のリーダーたちが集まり、5〜10年後の世界がどうなっているかを考えて、その時に自分たちがどういった世界を実現したいと考えているのか、そのためにどういった価値を提供するべきのか?を議論して決めています。
「Air ビジネスツールズ」のサービスが増えていくなかでも、同じ価値基準のもとで意思決定がされることを目的としています。
それをマネジメントするツールとして、「Air ビジネスツールズ」の「ブランドブック」などを作成して活用しています。

Q:プロトタイプ検証を実施した際に、どういったチーム編成で実施したのか。

A:最低限のチーム編成としては、プロダクトマネージャーの浜田とデザイナーの2名。ただ良い機会ではあるので、周辺のプロダクトマネージャーなども4〜5名くらいは同席することもあります。営業担当ではなくプロダクトマネージャーが直接お客様に対してアポイントを取るところから当日の検証も全て実施しています。

Q:プロトタイプ検証のシナリオについて、プロダクトマネージャーが設計したのか。それともリサーチが得意なメンバーと連携して設計したのか。

A:今回のケースだとプロダクトマネージャー自身が作成しています。ただリサーチ専門のチームもあるので、そういったチームに頼むこともあります。案件担当以外のメンバーに対しても、Slackなどで軽く相談もできるような雰囲気もあります。週次の相談会なども開催しており、そこに相談を持ち込むメンバーも多いです。

Q:飲食店、小売業それぞれで異なる要望が上がってくることもあると思うが、業種によって異なる要望と、システム全体の統一感をどういったバランスで担保しているのか?

A:今回の「在庫変動履歴」機能に関しては、飲食店等はターゲットにしておらず、小売業向けのみをターゲットにして実装しました。案件によってターゲットをはっきりと定めることで、担保すべき機能群を定められるようにしています。ただしターゲット以外のユーザーの操作感を毀損しないか、という観点は必ず持つようにしています。

Q:上記の「ターゲット以外のユーザーの操作感を毀損しないか」という観点はどのタイミングで検証しているのか。

A:リリース対象の機能の影響度合いによります。初期設定画面などは新規のユーザーのみに対してしか影響しないので、リリース直前やリリース後に確認することもある一方、全業態の既存ユーザーで使われる機能であれば、最初の課題深掘りのタイミングでかなり細かく検証をしています。検証をした結果、当初予定していた課題に対する機能開発を実施しないという選択肢を取ることも少なくありません。

懇親会の様子

勉強会後はそのままセーフィー様のオフィスにて懇親会が行われました。
食事を楽しみながら、セーフィー様の展開する様々な商品についてご紹介をいただきました。

店内の客の出入りをカウントするデモ
大型ディスプレイを介してリモート会議でも没入できるシステムの紹介

終わりに

セーフィー様とリクルートでは、扱うプロダクトは全く違うものの、事業を進める上で課題となっている事項は共通のものが多いと感じました。
第二回以降の開催も「是非しよう」という話になっており、今後も他事業からノウハウを積極的に吸収するとともに、自分の担当プロダクトへの関わり方に活かしていきたいと思います!


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